スマートフォン用サイトを表示

アルバイトや転職に役立つ情報が満載!最新のお仕事ニュースなら【タウンワークマガジン】

2021年12月03日

やりたいことがない…と悩む就活生へ。「とりあえず就活」のススメ

やりたいことがない 就活生就活にあたって自己分析するものの、やりたい仕事は見つからず、ESも埋まらない…そう悩む学生も多いのではないでしょうか? 千葉経済大学教授でキャリア形成を研究している中嶌 剛さんは、やりたい仕事がなくても「とりあえず就活」で大丈夫だと言います。とりあえず就活とは?うまくいかせるコツや、そもそもやりたいことは必要なのか、などを聞いてみました。

就活で「やりたいこと」は必ずしも必要ではない

就活において「やりたいこと」が必要であるかは研究者の間でも見解が分かれています。私、個人の意見としては「やりたいことは、探してみる価値はあるけれど、必ずしも必要なものではない」と考えています。
やりたいことがある人ほど進路が決まりやすいという研究結果がありますが、希望が狭すぎると方向転換ができず、進路未決定になる学生も多いのです。
また、就職するために本当にやりたいことを深く考える前に、不安や焦りから無理矢理決めてしまうと、その後に「これでいいのか」と迷いが大きくなる人もいます。
大学生活という限られた時間の中で、本当にやりたいことを見つけるのはなかなか難しいものです。大学3、4年生2000名を対象としたある調査の結果によると、就活で正社員を目指している人は約8割、その中で明確な「やりたいこと」があると答えた人は6割程度でした。つまり、正社員希望者でも4割は明確なものがないまま就職しているわけです。

やりたいことが無い人は「とりあえず就活」がおすすめ

そこで私が提唱しているのが「とりあえず就活」。明確にやりたい仕事がなくても、とりあえず就活をしてみることです。就活は誰しも初めてですから、わからなくて当たり前。わからないからわかるまで動かないのではなく、とりあえず動いてみればわかってくる、というのが私の持論です。では、どのように動けばいいのか、「とりあえず就活」のコツを紹介します。

就職の目的を深堀りして自分の希望を明確にする

まずは、自分がなぜ就職したいかを考えましょう。「正社員になりたい」「大きな企業に入りたい」など漠然と思っていることを、なぜそう思うのか理由を掘り下げていきます。例えば、「正社員になりたい」なら、その背景には、安定しているから、給料が高いから、社会的信用が大きいから、大事な仕事を任せてもらえるからなど様々な理由があるでしょう。このように目的や目標を、そう思う理由で細分化していくと自分が働く上で何を望んでいるのかが見えてきます。

職種→業界→企業の順で研究をする

多くの学生が就活の際、業界研究から始め、企業を選択する傾向がみられますが、私は「何をするか」という職種から先に考えることを勧めています。どのような商材を扱うかは業界によって変わりますが、職種の仕事内容は共通しています。例えば、営業や販売はどの業界でもお客様相手の仕事なので、業界が異なっても根本的なスキルやスタンスは変わりません。自分にできること、得意なことが活かせる職種を選ぶことで、入社後にスキルを身に着けやすくなります。
営業なのか、事務なのか、販売なのか、自分がどんな職種・働き方がしっくりくるのかを考えましょう。そして次に、その働き方を実現できるフィールドを探すために業界研究をおこない、業界に属する企業を比較しながら第一志望を選択していく。この順番で自分の目標を定めていきます。

OB・OGに会って確かめる

ある程度、業界や企業が定まったら、その業界にいるOBやOGに会って、自分が望む働き方ができるのかを聞いたり、自分が描く未来像に当てはまっているかを確認するのもおすすめです。実際に働いている人のレベルや雰囲気をつかむことは、学生感覚から抜け出すためにも効果的です。そこで、自分の目標と違うなと感じたら、他の選択肢を考えてもいいでしょう。また、その目標を起点にして、隣接する領域の業界・業種に目を向けてみることも有効でしょう。

就職した後でもやり直せる

「とりあえず就職」をした後に、思っていた仕事と違うと感じたならば、私はもう1回やり直せばいいと考えています。今は生涯1社の時代ではないですし、やり直しは決して失敗ではありません。「積み減らし」という言葉がありますが、これは経験を積んだうえで、減らしていくという考え方です。初めての経験では、失敗はつきものですが、この失敗はムダではなく、次に同じ選択をしなければ、その先よりよい選択ができます。ただ、注意してほしいのは、経験もせずに答えを出さないこと。仕事においても、すぐに辞めてしまうのではなく、ひと通り与えられた仕事を経験してから判断しましょう。判断基準のひとつとしては、自分の成長が大いに見込める、目指す夢へのステップにつながるなど、将来の展望が見える職場や職業であるかを考えてみるといいと思いますよ。

まとめ

やりたいことがなくても、就活はとりあえず動くことが大切と中嶌さんは言います。動く中で見えてくるものがたくさんあるため、まずは自分が理想とする働き方から考えてみてはどうでしょうか。

■Profile
中嶌 剛
(なかしま・つよし)
千葉経済大学経済学部教授、博士(経済学)、社会保険労務士、キャリアコンサルタント、専門社会調査士。専門は労働経済学、キャリア形成論。著書に『とりあえず志向とキャリア形成』『若者の曖昧な進路選択とキャリア形成-とりあえず志向の実証的探究』などがある

取材・文 中屋麻依子

早速バイトを探してみよう