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2021年03月22日

バイト先でパワハラを受けたときはどうすればいい?相談窓口と相談の仕方<法律監修>

バイト先でパワハラを受けたときはどうすればいい?相談窓口と相談の仕方<法律監修>バイト・パート先で理不尽な命令をされたり、暴言を吐かれたりして悩んでいませんか?「自分が受けている被害がパワハラに該当するのかわからない」「パワハラだとしたら、どう対処すればいいの?」と判断に迷うこともあるでしょう。ここでは、バイト・パート先で起こりがちなパワハラの事例を挙げるとともに、パワハラを受けた場合の対処方法、相談窓口を紹介します。

パワハラに該当する基準とは

パワハラと言っても、どこからがパワハラになるのか正確にはわからないという方が少なくないでしょう。

厚生労働省の定義によると「職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう」とされています。

さらに、厚生労働省では「パワーハラスメント6類型」として、以下の行為をパワハラとしています。

<パワーハラスメント6類型>
1.身体的な攻撃(暴行・傷害)
2.精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・怒鳴るなどの暴言)
3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4.過大な要求(業務上、明らかに不要または遂行不可能なことの強制)
5.過小な要求(合理性なく能力や経験とかけ離れた仕事を命令/仕事を与えない)
6.個の侵害(プライバシーに過度に立ち入る)

ただ、ここに挙げたものがパワハラのすべてを網羅しているわけではありません。実際にはいろいろなケースがあり、厚生労働省の定義に該当すると認められた場合にはパワハラにあたることがあります。

バイト・パート先でパワハラにあたる事例

では、バイト・パート先で起こりがちなパワハラの事例にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

「身体的な攻撃」の事例

・書類を投げつけられた
・仕事が遅いからと突き飛ばされた
・丸めたポスターで叩かれた

「精神的な攻撃」の事例

・毎日のように怒鳴られた
・「休んだらクビにする」と脅迫された
・辞めたい旨を伝えたら「辞めるなら今後は無視するから」と言われた
・ミスをしたら数時間にわたって叱責された
・上司に悩みを相談したら、全員の前で「情けない奴がいる」と罵倒された

「人間関係からの切り離し」の事例

・従業員全員が参加する懇親会に自分だけ呼ばれない
・すぐ近くにいるのに、他の人にしか話しかけない
・仕事に必要な情報を共有してくれない

「過大な要求」の事例

・明らかに達成できないノルマを課された
・明らかに勤務時間内では終わらない量の仕事を押しつけられた
・仕事を教えてもらっていないのに社員と同じ業務を押しつけられた

「過小な要求」の事例

・ミスをしたら「もう何もしなくていい」と言われ、仕事を与えられなくなった
・事務のバイトなのに、まったく関係ない倉庫整理ばかりやらされる

「個の侵害」の事例

・携帯電話をのぞき見された
・家族やプライベートなことをしつこく聞かれる

 

バイト・パート先でパワハラを受けた時の対処法

バイト・パート先でパワハラを受けた場合は、一人で我慢せずに適切に対処することが大切です。対処方法には以下のものがあります。

パワハラの事実を記録する

パワハラを受けた日時や場所、相手の言動、見ていた人など、その場の状況をできるだけ詳しく記録しておきましょう。あとになって専門部署や公的機関などに相談したい場合にも役立ちます。たんなる感情的なコメントではなく、客観的な事実として残しておきます。

家族や友人に相談する

精神的に追い込まれてしまうと、正しい判断や行動ができなくなってしまうものです。パワハラを受けたら、まずは家族や友人など信頼できる人に相談してみましょう。

社内の相談窓口に相談する

当事者同士で解決できそうにない場合は、社内の相談窓口に相談する方法があります。大きな会社であれば、人事部や総務部が窓口になっていることが多いでしょう。2020年6月1日よりパワハラ防止法(*)が施行され(中小企業は2022年4月1日から)、企業には、パワハラの相談窓口を整備することが義務付けられています。

公的機関に相談する

どうしてもバイト先には相談できないという場合や、社内で解決できないというときには公的機関に相談してみましょう。ハラスメントに対応してくれる主な機関は以下になります。また、都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会に調停の申請をすることも可能です。

バイト・パート先を退職する

パワハラがおさまらない場合は、そのバイトやパート先を辞めるという判断も間違いではありません。より良いバイト先との出会いが待っていることもあるでしょう。ただし、無断欠勤をしてそのまま退職するというような無責任な行動はNGです。もしも辞めることを告げても受け入れてもらえない場合は、公的機関に相談してください。

パワハラ防止法により、相談しやすい環境に

2020年6月に施行されたパワハラ防止法(※)によって、バイト・パートにはどんな影響があるのか見ていきましょう。

パワハラ防止法は、職場内のパワーハラスメントを防ぐことを目的に、企業に対して雇用上必要な措置を講じるよう義務付けた法律です。企業に課された義務は、大きく分けると次の4つになります。

<パワハラ防止法の概要>
・企業(事業主)はパワハラに対する方針を明確にして周知・啓発すること
・苦情や相談に対して適切に対応するための体制を整備すること
・パワハラがあった場合は迅速かつ適切に対応すること
・相談者や関係者のプライバシーを保護するとともに、相談したことなどを理由に不利益な扱いをしないこと

これまではパワハラについての悩みがあっても、誰に相談すればいいのかわからないというケースがあったかもしれません。

パワハラ防止法により、事業主には相談や苦情に対して適切に対応できる体制を整えることが義務付けられました。勤務先は新たに相談窓口を設け、従業員の皆さんに周知する必要がありますが、不明な場合は確認しておきましょう。

パワハラには正しい知識で対応しよう

パワハラ防止法が制定された背景には、パワーハラスメントによる深刻な現状があります。「上司だから」「バイト先に居づらくなるから」などの理由で、「これってパワハラ?」と思っても何もしないというケースが少なくありません。

しかし一方では、仕事をするうえで必要となる指導や訓練もあり、パワハラとの線引きが難しいことがあります。正しい知識を持つとともに、判断に迷うような場合は周囲に相談したり相談窓口を活用したりして、早い段階で解決するようにしましょう。

*正式名称:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)
※2020年4月15日時点の情報です。

監修:冨塚祥子(トミヅカ社会保険労務士事務所)

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