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2016年06月03日

俳優・斎藤工インタビュー「アルバイトでも何でも仕事を続けることで、いつしかそれが自分の“職業”になる」

斎藤工インタビューメイン
モデルから俳優、そして映画監督として活躍している斎藤工さん。最新出演映画『高台家の人々』では少女漫画から抜け出したようなエリートイケメンを熱演しています。

そんな斎藤さんですが実は、数年前までは映画業界で働くことを夢みながらアルバイト生活をしていたそう! なぜ夢を叶えることができたのか。そして夢を叶えた今の仕事への思いやスタンスを聞いてみました。
 

20代半ばまでのアルバイト生活で“働く意味”を知った

――斎藤さんはモデルや俳優の仕事をしながら20代の半ばまでアルバイトをしていたそうですね。

斎藤 新聞配達のアルバイトをしていて朝刊を配っていました。このアルバイト時代に“働くこと”の意味を身をもって学んだ気がします。

――働くことの意味ですか?

斎藤 同じ地区を担当していた配達員の方は年齢も境遇も様々で、僕のようなアルバイトもいればこの仕事で生計を立てている人もいらっしゃいました。長年やっている方が「あの家は犬がいるから気を付けて」とか「この家は物音に敏感だから慎重に配達して」などいろいろな情報を教えて下さって、すごく勉強になったんです。アルバイトだろうが社員だろうが、仕事を続けることでそれが職業になってくるんだなと実感しました。当時は僕自身も将来に対して悩みながらバイトをしていたので、先輩方がどんな風に仕事に取り組んで、どのような生活をしているのか、ということに触れて“働くとは続けることだ”と働く意味を見い出せたんです。
 

自分の理想に“ハマらず”ジレンマを抱える日々

斎藤工インタビューサブ1
――アルバイト時代は将来に対してどんな悩みを持っていたんですか?

斎藤 幼い頃から映画が好きで、将来は映画業界で働きたいと思っていました。いきなり作る側を目指すのではなく、役者を経験してから監督になったほうがおもしろいと思い、役者を目指しましたが、やればやるほど自分がハマらないんです。

――ハマらないとは、合わないということでしょうか?

斎藤 自分が目指しているものにハマらないという感じです。僕が好きな役者さんは原田芳雄さんのような独特のどこか土の匂いみたいなものがするような人で、僕にはその要素がまったくない。映画業界に一歩足を踏み入れたら、監督をはじめスタッフさん、役者など圧倒的な才能を持った人たちばかりなわけです。その中で自分はどこにでもいるタイプだし、目指している俳優の素質もないことに大きなジレンマを抱えていました。

――幼いから映画が大好きだったからこそ、斎藤さんの中でしっかりした理想があって、そこに到達できないくやしさ、みたいなものでしょうか。

斎藤 そうですね。“好きだったからこそ”というのはあります。

――好きな仕事に就いても悩むことは多いわけですね。

斎藤 もちろんですよ。転職願望もありますし(笑)。

――転職願望ですか!?

斎藤 役者ほど不安定な仕事はないですからね。オファーがなかったり、オーディションで受からなかったら職業として成り立ちませんから。
 

仕事でうまくいかないのなら、自己プロデュースを疑え

斎藤工インタビューサブ2
――でも、実際にはここ数年、オファーは切れずに多くの作品に出演されていますよね。ご自身ではなぜだと思いますか?

斎藤 役者としての欲望をあまり持たないようにしているからではないでしょうか。

――え!? 役者をはじめ自己表現をする仕事って「あれがしたい」「これがしたい」という欲望がないと続けられないのでは?

斎藤 その欲望が強すぎると、したいことができなかったときに大きなジレンマを抱えたり、自己が広がらずに悩みを抱えたりするんですよ。自分が思う“こんな役者に見せたい”という思いよりも、周りが“この役を斎藤にやらせてみたい”と思った発想を信じるほうが自己が広がると思うんです。

以前、三池崇史監督の『愛と誠』という映画に出演させていただいたとき、ヒロインに一方的な好意を寄せ続ける真面目な優等生の役を演じました。正直、この役を見たときに自分とは最も遠いキャラクターで「僕で大丈夫なのか」と思っていたんですが、撮影が終わった後に三池監督から「キミは今後これ以上の役には出会えないぐらいこの役にマッチしていた」と評価していただいたんです。

この経験をきっかけに自らの欲望よりも、他人の判断にゆだねることも大切であると思うようになりました。自分のことなんて、案外、自分で理解していないものです。ですから“自分はこうだ”と思うほど、それを信用してはいけないと思っています。もしも、仕事や人間関係がうまくいかないのなら自己プロデュースを疑ったほうがいいかもしれませんね。

斎藤工インタビューサブ3
――確かに、自分の“やりたいこと”に捉われすぎずに、周囲の判断にゆだねることで新たな自分の可能性を知ることができるのかもしれません。だからこそ、仕事がうまくまわって途切れずにオファーがくるのでしょうね。映画『高台家の人々』では、エリートで非の打ち所がない王子様のような男性を演じられています。絵に描いたような王子様役の斎藤さんを見たのは初めてで、とても新鮮でした!

斎藤 実際に王子様のような役は初めてです。『高台家の人々』は少女漫画が原作のラブストーリーですが、僕が少女漫画のキャスティングに選ばれるなんて本当に予想もしていなかったです。

――でも、すごく素敵でした。本当に王子様のようで! 新たな斎藤さんの一面を見た気がしました。

斎藤 ありがとうございます(笑)。これまでは自分の内面をどう見せるか、という役が多かったんですが、今回は女性から見て自分がどう見えるかということを重要視して演じました。
 

どんな仕事も続けることで職業になる

斎藤工インタビューサブ4
――斎藤さんは、先ほど言っていたようにいつか役者から“転職”することも考えているんですか?

斎藤 もし、するとしても映画業界から離れることはないと思います。もともと映画監督になりたい思いからこの世界に入っているので。最近は積極的に作品を撮影していて、今年はドキュメンタリー2本、いずれは長編の作品を撮る予定。助監督から監督になった人ができないようなことを、自分のこれまでのキャリアから生み出せたらと考えていますね。

でも、ここまでできるようになったのも続けてきたからだと思っています。実際に役者から転職しようと考えたこともありましたが、この仕事は多くの人が関わって完成する仕事。自分だけの考えじゃ簡単にやめることはできません。そう思いながら続けているうちに、素晴らしい監督や役者の方と出会い、繋がってここまで来ることができた。どんな仕事でも続けていれば職業になる。バイト時代に培ったこの思いは事実だと思いますね。

斎藤工プロフィールカット■Profile
斎藤 工(さいとう たくみ)

1981年生まれ、東京都出身。高校生の頃からモデルとして活動し、雑誌をはじめ国内のショー、パリ・コレクションにも出演。2001年映画『時の香り~リメンバー・ミー~』で俳優デビュー。『愛と誠』『欲動』などの映画作品から、『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』などドラマでも人気を博す。今年は映画『全員片想い』『シン・ゴジラ』など10作品以上が公開される。
高台家の人々パブ写真

(c)2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 (c)森本梢子/集英社

■Movie
『高台家の人々』
6月4日(土)全国東宝系にてロードショー

地味で口下手な平野木絵(綾瀬はるか)は妄想が得意でよく自分の世界に入りがちな女の子。そんな木絵の前に名門「高台家」のイケメンエリートが高台光正(斎藤工)が現れ、いつしか2人は惹かれ合うように。しかし、光正は“テレパス”という人の心を読める特殊能力を持ち、この力が2人の関係を少しずつ変えていってしまう。待望の大人気コミックの実写映画化。

取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造

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