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2016年06月24日

やりがいは? 報酬は? 着ぐるみバイト「中の人」のお仕事、気になることを全部聞いてみた

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写真素材:Gratisography


数年来のブームを受け、全国各地に増殖した「ゆるキャラ」。多くは着ぐるみタイプのマスコットで、そこには当然ながら「中の人」が存在する。しかし、その仕事内容についてはベールに包まれている部分も多い。そう、着ぐるみだけに。

いったいどんな人が、何をきっかけに「中の人」になるのか? 資格などは必要なのか? アルバイトは募集しているのか? 報酬は? やりがいは? 夏はしんどくないのか? ……などなど、知られざる着ぐるみのおシゴトについて、その道のプロに根掘り葉掘り聞いてみた。

「中の人」こと、“着ぐるみアクター”ってどんな仕事なの?

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写真素材:Gratisography


いつ、いかなるときも笑顔を絶やさない着ぐるみ。その愛くるしい表情から「中の人」の心情を伺い知ることはできないが、じつは人知れぬ苦労などもあったりするのではないか?

というわけで、やってきたのは東京・吉祥寺にあるゴーゴープロダクション。着ぐるみショーの企画・演出・上演、さらには企業などの求めに応じて着ぐるみの造形製作、イベントへの出演者派遣なども行う、「着ぐるみ専門会社」の第一人者だ。

自身も元・着ぐるみアクターで、現在は後進の指導にあたる齋藤智美さんに、着ぐるみに関して気になることを全部聞いてみた。

 
●着ぐるみアクターに向いているのは「背が低い人」

Q.1 そもそも、着ぐるみアクターってどんな仕事なんでしょう?
A.各イベント会場で着ぐるみのキャラクターを演じたり、踊ったりするお仕事

「うちの場合だと、主に“ダンサー”と“キャスト”に分かれます。ダンサーはヒップホップやジャズなど、本格的なダンスを着ぐるみで踊るスキルが求められますね。イベントでのパフォーマンス以外に、Jリーグの試合のハーフタイムに踊ったりと、スポーツ関係の仕事も多いです。一方、キャストの方はダンスなしで、キャラクターを演じるお仕事です」(齋藤さん、以下同)

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写真提供:ゴーゴープロダクション

Q.2 着ぐるみアクターには、どんな人が向いているんでしょうか?
A.最もチャンスがあるのは「背が低い人」。閉所への耐性も重要

「まず重要なのは身長ですね。テーマパークにいる着ぐるみって背が低いキャラクターが多くないですか? 小柄な方が威圧感なく、子どもとコミュニケーションをとりやすいからなんです。

うちもダンサーの応募資格は155cm以下ですし、業界的にも低身長の方のほうがニーズはあります。キャストの場合だと180cmを超える大柄のキャラクターのニーズも出てくるのですが、基本的には小柄な女性が求められています。逆に160cm台、170cm台の平均的な身長の方はマッチする仕事自体が少ないです。

あとは、狭いところが大丈夫な人。着ぐるみって中に入ってみると想像以上に視界も狭いですし、圧迫感もある。なかには息ができなくなるくらいパニックになってしまう人もいますので、その耐性がないとそもそも務まりません」

Q.3 未経験でも大丈夫ですか?
A.基本的には「経験がある人」が有利。でも、探せば未経験可の募集も

「うちは未経験の方は基本的にお断りしています。たとえばキャストの場合、“キャラクターの仕事経験がある方”が応募の条件です。クライアントはわざわざプロの事務所に依頼されるわけですから、まったくの未経験の子を派遣するわけにはいきませんので。

ただ、イベントによっては特別なパフォーマンスを必要とせず、経験も特に問われない仕事を募集されているケースもあるようです。テーマパークなどの着ぐるみも未経験可のことが多いですね。

他には着ぐるみアクターを養成する学校などもありますし、それらを糸口に経験を積み、本格的にやりたくなったらプロダクションに所属するという流れが一般的ではないかと思います」

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なお、プロスポーツのハーフタイムショーなど、パフォーマンススキルが求められるアクターの場合、「3年以上のダンス経験」といった厳しい応募資格が設けられているそう(写真提供:ゴーゴープロダクション)


 
●顔が見えない着ぐるみだからって、誰でもいいわけじゃない?

Q.4 着ぐるみアクターのアルバイトって、いつ募集しているんですか?
A.大きなイベント時にはアルバイトの募集も

「うちでも新しいアクターの方は随時募集しています。大きなイベントに合わせてアルバイトの求人広告を出したりと、わりと普通の募集の仕方です。選考を通過すると『所属』という形になり、仕事の内容に合わせてキャスティングをする流れですね。現在はダンサー、キャスト合わせて現在100名以上が在籍しています」

Q.5 いったん「所属」になれば、定期的に仕事がもらえるんですか?
A.スキル次第。なかにはクライアントご指名で仕事が入る“エース”も

「いえ、所属すれば必ず仕事をもらえるわけではなくて、やはり仕事をよくふられる人と、まったくふられない人に分かれてしまいますね。着ぐるみって外見は一緒だから誰がやっても同じだと思われがちですけど、じつはアクターのスキルによってパフォーマンスに明らかな差が出る仕事なんです。うちにも『この人じゃなきゃダメ』と、ご指名で仕事が入るエースが何人かいます」

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写真素材:Gratisography

Q.6 エースは何が優れているんでしょう?
A.現場の状況を的確に察知し、アピールする力。“売れる人”は、とにかく爪痕を残す

「演じ方や動き方など、現場によって求められることを的確に察知するスキルですね。また、本当に勘が働く人はその場の状況で一番“おいしい”ところをかぎ分けることができる。たとえばテレビカメラがいたらいつの間にか映り込んでいるとか。キャラクターをアピールする術を心得ている人は“売れる”と思います。

やはり上手な人は、その人にしかできないキャラクターを持っていますよ。みんなが知っているような人気マスコットの“中の人”は、ずっと1人のアクターが演じていることが多いはずです」

 
●着ぐるみアクターのキャリア、気になる収入は?

では入ってからの待遇はどうなのか? 下世話で恐縮だが、着ぐるみアクターの「収入」について聞いてみた。

Q.7 ズバリ、着ぐるみバイトのお給料ってどれくらいなんですか?
A.スタートは日給7500円~1万円

「固定給はなく、仕事の度にギャランティをお支払いしています。アクターとしての入口、ダンスなしのグリーティング(ふれあい)の場合は日給7500円(交通費・食事別途)ですね。ダンサーは日給1万円プラス各種手当てがつきます。リハーサル手当て3000円など、細かく設定されていますね」

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Q.8 売れていくとギャラも上がるんですか?
A.活躍に応じて年1回昇給あり。一部のスターはかなり稼ぐ

「年に1度昇給があり、活躍に応じてギャラが上がっていきます。それこそ名指しで仕事が入るような人、CMに起用されるような人は5~6倍違いますね。アクターさんの多くは他にも仕事を持っていて、土日のイベントの時だけ副業的に着ぐるみをやるケースが多いんですが、一部のスターの方は着ぐるみ一本でかなり稼いでいます。

本当にひと握りですけど、夢のある仕事だと思いますね。なかには学生バイトから入って着ぐるみアクターの魅力に目覚め、そのまま“仕事”にしてしまう人もいるくらいです」

Q.9 若くても稼げますか?
A.“稼ぎ頭”は20代のダンサー

「20代でも売れっ子でバリバリ稼いでいる子はいます。ダンサーの全盛期は20代から30代前半くらいまでですね。体力的に厳しくなってダンサーからキャストに転向する人もいますし、本人次第で長く続けることも可能な仕事だと思います。キャストの中にはママもいますし、60代の方もいますよ。

キャストは特に人間力、コミュニケーション力が問われますので、人生経験豊かな年配の方は頼りになります。ちなみに、その60代の方は着ぐるみ一筋、数十年の大ベテラン。テレビの有名子ども番組で20年以上にわたって“中の人”を務められるなど、大変な大御所です」

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イベントは土日に集中するため、平日は別の仕事を持っているアクターが多いという(写真提供:ゴーゴープロダクション)

 
●たいへんだけど、なんだかんだ楽しいお仕事

では、収入面以外の「やりがい」という点ではどうだろう。単刀直入に聞いてみた。

Q.10 着ぐるみアクターって楽しいんですか?
A.色んなキャラクターを演じる楽しさ、プロとしてのやりがいを感じられます

「たとえば普段はあまり自分が出せない大人しい人でも、着ぐるみに入った途端スイッチが入るというか、違う自分になれる快感がある。もともとクラブでヒップホップとかをガッツリ踊っていた子が着ぐるみダンスにはまって、今では着ぐるみを作るところから関わっているなんてケースもあるくらいです。それに、色んなキャラクターを演じられる楽しみもあると思います。

企業さんによっては自社のキャラクターに細かい設定があったりして、たとえば“ヘコヘコお辞儀をしてはいけない”とか、その性格までインプットして演じる必要がある。たとえアルバイトだとしても“プロの仕事”を求められますので厳しい面もあります。でも、そのぶんやりがいはありますね」

ちなみに、着ぐるみの中は夏も冬も暑いらしい。また、企業が用意する着ぐるみの中には一度も洗濯しておらず、耐えがたい異臭を放っているものもあるという。やはり激務には違いない。しかし、やりがいや売れっ子になった場合の報酬など、頑張った先の対価を思うと、なかなか魅力的なお仕事といえるかもしれない。

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夏の野外も過酷だが、冬の屋内も着ぐるみの中に猛烈な熱気が充満し、蒸し風呂状態になるという(写真提供:ゴーゴープロダクション)

●取材協力
ゴーゴープロダクション

http://www.myquee55.com/

取材・文/榎並紀行(やじろべえ)