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2016年12月14日

12月14日は「麵の日」!20代でそば職人になった麵女子の仕事とは?

みんな大好き、麵類!麵といえばラーメン、うどん、そばなどいろいろありますが、女性が麵を打っているお店って案外少ないですよね。そこで、大学時代からそば職人を目指し、26歳でそば店『蕎楽亭もがみ』を開店させた麵女子の最上はるかさんにお仕事内容やはじめたきっかけを聞いてみました!

12月14日は「麵の日」! 20代でそば職人になった麵女子の仕事とは?

「お店を持つなら若いほうがいい」と考え、就活をストップ

現在31歳の最上さん。数名のアルバイトと店を切り盛りしている

現在31歳の最上さん。数名のアルバイトと店を切り盛りしている


––最上さんがそば職人を目指したのは何歳の頃ですか?

そば屋さんでアルバイトを始めたのが大学4年生の頃で、卒業と同時に正社員になりました。バイト時代を含めて5年半ぐらい働いて、26歳のときに自分のお店『蕎楽亭もがみ』を開店させたんです。

––そもそも、そばを選んだ理由は?

子どもから大人までに愛されている食べ物だから。「そばが嫌い」という人はあまりいないじゃないですか。私の場合、そばを打ちたくて店を持ったのではなくて、店が持ちたかったからそばを選んだんです。

––え!? どういうことですか?

高校生から将来は自分のお店を持ちたいと考えていて、大学生でカフェのバイトを始めたんです。楽しいんですけど、もっと時給がいいバイトがしたいと思って、銀座のクラブでバイトを始めました。そこで、接客業のおもしろさに目覚めちゃいまして(笑)
クラブの接客は指名があればあるほど給料に反映されて、キャストひとりひとりが個人事業主みたいなものなんですよね。自分の営業方法によって売上が良くも悪くもなるそのシステムにとても興味を持ちました。あとは純粋に接客が好きだったので人と会話できる仕事にも魅力を感じたのもあります。

大学生3年生になって就職活動を始めましたが、どうにもしっくりこない。企業に入るのがイヤなわけではないのですが、一度、入社してしまうと私の性格上、どっぷり企業につかってお店を開くという夢が後回しになる気がしたんです。

お店を持つならそれなりに体力もいるだろうから、少しでも若いうちにチャンレジしたほうがいいと考えて就職をやめました。

「お店を持つこと」が一番。そばを選んだのは二番目の理由から

神楽坂の路地裏にある知る人ぞ知るお店。内装も最上さんがいちからすべて考えた

神楽坂の路地裏にある知る人ぞ知るお店。内装も最上さんがいちからすべて考えた

––“自分のお店を持つ”と決めてからそばを選んだんですね。

はい。条件はみんなから愛される食べ物で流行りすたりがないもの。“そば”“鮨”などいろいろ考えたのですが、早くお店を出したかったので修行時間が短そうなもの…と思ったときに“そば”かなと。

––おもしろいですね! 勝手なイメージですけど「女性そば打ち職人」と聞くと「昔からそばが大好きで、憧れてこの世界に入りました!」というタイプなのかと思っていました。

でも“そば”と決めたからには徹底的にそばを食べ歩きましたよ。大学生なんてそばの知識なんかまったくないですから、有名店から町のそば屋までとにかく自分の足を使っていろいろなお店を周りましたね。

––それで出会ったのが『蕎楽亭』だったんですね。

一口食べて感動しました!そばも天ぷらもなんておいしいんだ!」と。そして職人さんがキリッとカッコよく働きながらも、和やかで自由な雰囲気があって、とても居心地がよかったんです。店内には石臼があって、カウンターでお客さんがお酒とつまみを楽しみながらシメにそばを食べる。すごく粋な店だなと思い「ここで働きたい!」と直談判しました。

修行時代はまかないや定休日にそばを打ち練習を重ねる

そばはこねる作業が一番難しい。力の加減ひとつで味わいが変化していく

そばはこねる作業が一番難しい。力の加減ひとつで味わいが変化していく

––修行時代は大変でしたか?

大変と思ったことはなかったですね。アルバイト時代はホールがメインで正社員になってからそば打ちをさせてもらえるようになりました。ただ、お客さまに出すそばは打たせてもらえないので、お客さまに出すそばの切れ端を集めて、まかない用に練り直して打ったり。あとは定休日にお店を借りて練習用の粉で打っていました。

打ったそばを親方に食べてもらって感想やアドバイスをいただいていました。ウチの親方は頭ごなしに怒ったりするような昔気質の職人ではなく、そばの味よりも店の経営方法など独立してからのアドバイスをしてくれることが多かったですね。私が落ち込んでいると「大丈夫!」と励ましてくれるような方で。のれん分けもしてくれましたし。

––『蕎楽亭』はミシュランで星を獲得した有名店ですが、そののれん分けだとプレッシャーもあったのでは。

開店当初は「蕎楽亭ののれん分けはどんな店だ」みたいなお客さまは多かったですね。それも女性職人の店ですし、いろんな意味で注目されたのは事実です。ネットで叩かれたりもしたし、ホント、傷つきましたよ(笑)。でも、開店して1年ぐらい経ったら常連さんもきちんとついたし、売上も伸びてきました。

女性で大変だと思うことはほぼナシ。むしろ得することがたくさん!

リズミカルな動きでそばをのばしていく、まさに職人ワザ!

リズミカルな動きでそばをのばしていく、まさに職人ワザ!

––最上さんの現在のお仕事内容を教えてください。

当店は「手打ちそばでシメる小料理屋」がコンセプトなので営業は夕方から。仕込みは大体お昼過ぎぐらいから始めます。まずは石臼を手引きしてそば粉を製粉。そば粉は1kgずつに水を500~600g入れてこねていきます。

そばの世界では「切り3日、のし3ヵ月、こね3年」と言われていて、そば粉と水の配分を考えながらこねるのが一番難しい。こね終わったら、生地を回転させながら均一にのしていき、最後に切り分けます。ウチのそばはシメに食べやすいよう細めでのど越しがよく香りのバランスを意識しているのが特徴ですね。

そばの仕込みが終わったら、他の料理の仕込みもはじめます。営業中は料理は私ひとりが担当してホールはアルバイトの方に任せています。

––“女性職人”ということで大変なことはありますか?

「女性は板場に入るな」とか「手の体温が高いから料理は向かない」とかいろいろ言われたりしますけど、そう思う人もいれば、そう思わない人もいます。そう思わない人がいる限り、女性職人がいてもいいと思うし、可能性があるなら誰が何にチャレンジしてもいいですよね。

私の場合は女性職人で大変だなと思うことは、そば粉が重いとかゴミ出しが重いとかその程度(笑)。反対に得していることが多いですよ!

––たとえばどんなことが?

こうやって取材をしていただけるし、テレビや雑誌でお店を取り上げてもらえることも多いです。それにサービス業は女性の方が細やかで気がつくことも多いので、お客さまからかわいがられますしね。おかげさまで開店してからお客さまがひとりも来ない日はないですし、赤字もありません。

そば職人は子どもが産まれても続けられる一生の仕事

毎日打つそばは天気や気温によって微調整するほど繊細な食べ物だそう

毎日打つそばは天気や気温によって微調整するほど繊細な食べ物だそう

––それはスゴイ! 最上さんは一生、そば打ち職人を続けていこうと思っていますか?

一度だけ店を閉店しようと思ったことがあります。29歳で娘を出産したとき、数年お店を休もうかと思ったんですが、親方が「赤字でやめる以外は、絶対にやめてはダメ」と言ったんです。

それで11月に出産して、翌年の4月には復帰しました。そうしたらすぐお客さまが帰ってきてくれたんですよ。新規客も増えて売上もすぐにもとに戻った。親方が言ったようにお店は続けることが大切なんですよね。育児とお店を両立できるか不安もありましたけど、今は娘のために頑張ろうという新しい気持ちが芽生えて、すごく充実しています。

––まさに一生の仕事を見つけたわけですね。最上さんにとって“働く”とはなんでしょうか?

「働かざるもの食うべからず」。生きることそのものだと感じます。でも、人はお金だけでは働けない。働くことで喜びがあったり、楽しみがあったりと仕事で得られる充足感がないと続かないですよね。ある程度のお金が稼げて、人生の糧となるような喜びを与えてくれるのが働くことだと思います。

––最上さんが仕事で喜びを得るときはどんなときですか?

月並みですけど、お客さまから「おいしかったよ」の言葉を聞けたとき。そばを打っているときよりも、お客さんの顔を見ながら料理を出している時間が好きですね。でも、基本的に仕事をしているときはいつも楽しいです。

失敗を恐れすぎないで、一歩を踏み出せば思いは実現する!

思い立ったら即、行動派の最上さん。悩むより動くのが先決!

思い立ったら即、行動派の最上さん。悩むより動くのが先決!

––最上さんのようにやりたい仕事を見つけて、実現させるコツがあれば教えてください。

ウチで働いているアルバイトの大学生も「やりたいことが見つからない」ってよく言っていますよ。彼らを見ていて感じるのは、仕事でも恋愛でも「絶対に失敗したくない」という気持ちが強すぎて一歩が出ないんですよね。

まだ見ぬ失敗を恐れるより、可能性にかけて一歩を踏み出すことが実現のコツです。恐れずに進んでいくと、高い壁にぶち当たった時に必ず助けてくれる人がいますから。一歩を踏み出せないことに言い訳ばかりしていると、同じマインドの人しか寄ってこなくなって、ますます殻にこもっちゃいますよ!

そして「まだ大学生だし」「若いし」なんて思っているかもしれないけれど、そうでもないですからね(笑)。20代なんて本当にあっという間。早く動いたもの勝ちですよ!

■プロフィール
最上はるかさん(31)

大学3年生のときにミシュランひとつ星の『蕎楽亭』でアルバイトを始める。大学卒業後は正社員となり、そば打ちから店舗経営のノウハウを学び26歳で東京・神楽坂に『蕎楽亭もがみ』を開店。現在、2歳の愛娘をもつワーキングマザーでもある。

■取材協力
蕎楽亭もがみ

http://mogami.kyourakutei.com

取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造