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2015年03月10日

新環境での友人作りについて【精神科医・名越先生のカウンセリングルーム】

友達の作り方

テレビでおなじみの精神科医・名越康文(@nakoshiyasufumi)が心の悩みにズバッと答える! この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

お悩み:自分から話しかけるのがニガテ…新環境で周囲に馴染めるか不安です

この春大学進学で上京する予定の高校3年生です。人見知り、というほどではないのですが、自分から話しかけるのがニガテな性格です。春からは初めての一人暮らしで家族や友人と離れて、東京の人たち(地方出身者もいるでしょうが)の話題や空気に馴染めるか不安です。また、新しい環境で友人がほしいと思う半面、面倒くさいと思う気持ちもあります。こんな消極的な私ですが、どうしたらうまく周りの空気に溶け込むことができますか?(新1年生・工学部・男子)

引っ込み思案には、ふたつの原因がある

引っ込み思案で悩んでいる人は、しばしば2つの、少し異なる悩みを一緒くたにしてしまっていることが良くあります。ひとつは自分自身が抱えている「引っ込み思案な性格」をなんとかしたい、という悩み。そしてもうひとつは、「自分が引っ込み思案であるということに、ついついこだわってしまう」という悩みです。

この2つ目の悩みである「ついこだわってしまう」というところは盲点になりがちです。性格そのものの悩みと、そのことにこだわってしまうことは、本来別のことなのに、ごっちゃにしてしまいがちなのですね。もし、そのことに自覚がないようなら、この機会に、ちょっと自分の心の動きを見直してみることをお勧めします。

もちろん、それだけ不安に感じておられるのですが、程度はともかく、客観的に言って、引っ込み思案な傾向を持たれていることは間違いないでしょう。しかしもし、一日のうちに何回も、何十回も、そのことについて不安を覚えたり、思い煩ったりしているようであれば、それは少し「特殊な状態」かもしれません。

いわば、妄想的に、自分の性格や、それがもたらす悪影響を心配することに囚われているということですね。

解決策のひとつは、「聞き上手」になること

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仮に、「ついこだわってしまう」という程度がさほどではなく、本当に性格的な部分だけが問題なのであれば、引っ込み思案な人に対する対人関係上のアドバイスとしては「聞き上手になりましょう」ということがあります。

引っ込み思案で人見知りが激しい人ほど、コミュニケーションを取るときに「自分から楽しい話をしなければいけない」ということを考えてしまいがちです。でも、本当は、コミュニケーションの現場で求められるのは「聞く」ということです。多くの人は、上手な聞き手に話を聞いてもらうことを求めています。話に耳を傾け、うなづいてちゃんと反応し、たまには、相手の話を広げるように言葉をつなぐ。

そういうふうに、コミュニケーションの目標設定を「聞く」ということにスライドさせると、それだけでも引っ込み思案な性格に思い悩まなくなる人も少なくありません。

「こだわってしまう自分」を意識してみよう

ただ、質問者の方は「春からの大学でのお友達とのコミュニケーション」という、まだ何も起きていない未来の人間関係に対して漠然とした不安を抱いておられます。この場合、性格そのものというよりも「ついこだわってしまう自分」のほうを問題にしたほうがいいかもしれません。

例えばご質問の中にある「東京の人たちの話題や空気」というのは、いったい何でしょう。

僕は生まれ故郷の奈良から大阪に移り住み、45歳のときに東京に移ってきてから10年になります。しかし、「東京の人の話題」とか「東京の人の空気」というものを明確な形として感じたことはありません。

というのも、「東京」や「地方」といったファクターよりも、個人が持っているパーソナリティのほうが、よっぽどコミュニケーションに与える影響は大きいからです。東京だろうと大阪だろうと、目の前にいるのが「僕が好きな人」なのか、「僕と合わない人」なのか、ということのほうが、その場でのコミュニケーションが楽しいものになるかどうかに与える影響は、ずっとずっと大きいのです。

考えてみれば、当たり前の話ですよね。でも、「地方vs東京」という対立構造、あるいは「地方<東京」というヒエラルキーを無意識のうちに妄想してしまうと、しばしばそんな「当たり前」が見えなくなってしまいます。

コミュニケーションにおいて大切なことは、目の前に現れたのが田中さんであれば、彼・彼女が東京出身であれ、地方出身であれ、「田中さんときちんと向き合う」ということに尽きます。それを思い定めておけば、自分の中にある劣等感をリセットすることも、そう難しくないのではないか、と思います。

コミュニケーションに自信をつけておくためのトレーニングとは?

あいさつ
さて、この質問をいただいたのは2月はじめです。ですから、春からの大学進学まで少し時間がありますよね。そこで最後に少し、初対面の人とのコミュニケーションに対する自信をつけておくためのトレーニングをご紹介しておきます。

それは「挨拶」です。朝起きたら家族や、あるいは学校で顔を合わせた仲間に、明るく、すがすがしく「おはよう!」という。別れ際には「それじゃあね」「また明日ね」と、明るく挨拶をする。

おはよう、こんにちは、さようなら。この3つを人より1.5倍、さわやかに言えるようにしてみてください。

ある程度自信を持って、明るい声でこの3つが言えるようになれば、初対面の人とのコミュニケーションなんて恐るるに足らず、です。ただ、これを言うためには、日頃から体調を整える必要もあるでしょう。朝起きたときに最悪の気分だったら、はきはきとおはよう、ということは非常に難しくなる。

言い換えると「朝からきちんと挨拶を言う」というのは、簡単なことのようで、毎朝、心身のコンディションを整えるという、非常に重要なテーマにもつながっている、ということですね。

では、朝から心身のコンディションを整えるにはどうしたらいいか。ここから先は、よろしければ僕の本を読んでいただければ幸いです(笑)。

企画:プレタポルテby夜間飛行

<関連書籍情報>
『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』名越康文 著/1500円+税

驚く力書影 - コピー毎日が退屈で、何をやってもワクワクしない。テレビを見ても、友達と話していても、どこかさびしさがぬぐえない。自分の人生はどうせこんなものなのだろう――。そんなさえない毎日を送るあなたに足りないのは「驚く力」。
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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。