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2015年02月09日

【『もしドラ』著者・岩崎さんの悩み相談】Q. 上から目線は悪いことなのでしょうか?

上から目線

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』作者の岩崎夏海さんが、混沌とした現代をどうとらえればいいのか? を書き綴っていく社会評論コラム。この記事は岩崎夏海メールマガジン『ハックルベリーに会いに行く』よりお届けします。

A.ときと場合によりけりです

「上から目線」は、良いものと悪いものとがあります。ときと場合によりけりですね。そのことについて、以下に説明してみます。

まず、「上から目線」とは何かというと、それは「ポジションを取ろうとする行為」なんです。

簡単な例でいうと、人から「年齢はおいくつですか?」と尋ねられたとします。そのとき、「いくつに見えますか?」と聞き返すのが「上から目線」です。これは「逆質問(逆質)」といって、ポジションを取ろうとする行為の最たるものなんですね。

なんで「ポジションを取ろうとする行為」になるかというと、質問に答えなければいけない――というのは「ポジションが下」だからなんです。

質問というのは、どんな場面でもする人が上で、される人が下です。学校や会社でも、先生や上司は生徒や部下に自由に質問できますが、生徒や部下は、原則として「質問はあるか?」と促されたときか、あるいは「質問してもいいですか?」と予め断ってからしか質問をしてはいけません。

これに対して、対等な立場のコミュニケーションというのは、将棋のように質問を交互にくり返していくことで成立します。お互いが平等に、上になったり下になったりすることで、関係を展開させていくんですね。

対等な立場(非「上から目線」)には、そういう不文律のルールがあるのですが、希に(いや、最近は頻繁にかもしれませんが)「上にばっかり立ちたがろうとする人」がいるんです。そういう人を、「上から目線」というんですね。

ところで、ちょっと話は逸れますが、ネットでよく見かける「遊戯王」のギャグで、「ずっとおれのターン!」というのがあります。これは、「遊戯王」の世界で「ずっとおれのターン!」が実現すると、ルールもへったくれもなく「ずっとターン」をする人が勝つので「あんまり」だ――という意味です。「遊戯王」で実際にそういうシーンがあったため、その人の言説を「トンデモな言い草だ」と批判するときによく使われています。

ずっと俺のターンとは (ズットオレノターンとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

これは、将棋にたとえると分かりやすいんですが、「ずっとおれのターン」を発動すれば、例えば駒の並べ方を覚えただけのド素人でも、名人の羽生善治さんに簡単に勝てるんです。つまり、それはもはや将棋ではなくなり、身も蓋もなくなるんですね。

話を戻しますと、先述した「逆質」というのは、将棋において「ずっとおれのターン」を発動させるようなものなんです。つまり、相手の質問するターンを奪ってしまっている。

で、ここからが本題なのですが、世の中には「ずっとおれのターン」を意識的に出している人と、無意識に出している人とがいるんです。

意識的に出している人は、例えば合コンなどで興味のない男から「歳いくつ?」と尋ねられた女性が、それ以上会話を成り立たせたくないために「いくつに見える?」と逆質するケースがあります。これは、まあ仕方ないというか、効果的なので、特に非難するものでもない。

しかしながら、それとは逆に、これを無意識に使ってしまう人もいるんです。無意識に、相手を押さえ込もうとする人。相手の優位に立とうとする人。

そういう人は、不安を抱えている人が多いです。自分が上に立っていないと不安なんです。だから、イニシアチブを握ろうと思って、つい「ずっとおれのターン」を発動してしまう。普通の会話の中で、つい逆質してしまう。

しかしながら、それはものすごい逆効果なんですね。ほとんどの場合で相手から愛想をつかされるので、上には立てないばかりか、ずいぶんと見下されます。結果、その人の不安はますます増大してしまうことになるんです。

そういうふうに「ずっとおれのターン」を発動すること――すなわち「上から目線」は、意識的に出していればなんの問題もないですが、無意識に出していると、いいことは一つもないです。

で、それをやめる方法は、ただ一つ、自分が「上に立っていないと不安を覚える」性質があるということを認識すればいいのですが、ただ、それはなかなか難しいんです。なぜかというと、そういう人に限って、「自分は下から目線だ」ということにプライドを持っているので、それをなかなか受け入れられないからです。

 

企画:プレタポルテby夜間飛行

◆岩崎夏海メールマガジン「ハックルベリーに会いに行く」
毎朝6時、スマホに2000字の「未来予測」が届きます。このメルマガは、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称『もしドラ』)作者の岩崎夏海が、長年コンテンツ業界で仕事をする中で培った「価値の読み解き方」を駆使し、混沌とした現代をどうとらえればいいのか?――また未来はどうなるのか?――を書き綴っていく社会評論コラムです。ご購読・詳細はこちら

岩崎夏海岩崎夏海(いわさきなつみ)
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。