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2014年12月30日

『赤毛のアン』で英語づけ〜〝発想の転換〟が運命を変える~その③│茂木健一郎

★いかがでしょう? 

冒頭、マリラが言う「やかんの中の魚」(a pretty kettle of fish)は、面倒なこと、やっかいなことを表す慣用句です。なぜ、やかんの中の魚が面倒なことを表すようになったのかについては、諸説あるようです。いずれにせよ、食べるにしても、食べ終わったあとも、面倒なことは確かですね!

マリラが、「孤児院に送り返すしかない」と言うのに対して、マシューは、「まあ、そう考えるしかないだろうな」(Yes, I suppose so)としぶしぶ言います。

supposeという単語は、thinkやbelieveとは異なって、確信が持てないけれども、とりあえず言っている、というような状態で使う動詞です。マシューのこの表現に、マリラは、当然びっくりし、「そう考えるしかないだろうな、ですって」と詰め寄ります。

日本語には、thinkとsupposeのように、一語でニュアンスの違いを伝えるという発想がないかもしれません。従って、supposeのような動詞がどのような状況で使われるかは、このような具体的な文章を読んで初めてつかめるのです。

そして、このあと、マシューは重大な発言をします。アンが何の役に立つのかと聞くマリラに対して、「私たちが、あの子の役に立つかもしれないじゃないか」と言うのです。

ここに、「赤毛のアン」全編を通しての、重要な、そして感動的な転換点があります。マシューとマリラは、自分たちに役立つように、孤児院から男の子をもらおうとした。ところが、発想が変わって、自分たちがアンの役に立つことができるのではないかと思うようになっていく。このような深く流れるヒューマニズムこそが、『赤毛のアン』という作品の魅力なのです。

この名文!

“We might be some good to her,” said Matthew suddenly and unexpectedly.

「私たちが、あの子の役に立つかもしれないじゃないか」 マシューは、突然、まったく予期せぬことを言った。

  
企画:プレタポルテby夜間飛行

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『赤毛のアン』で英語づけ〜〝発想の転換〟が運命を変える~その②│茂木健一郎
『赤毛のアン』で英語づけ〜〝発想の転換〟が運命を変える~その①│茂木健一郎

『「赤毛のアン」で英語づけ』茂木健一郎 著赤毛のアンで英語づけ
高校一年のときに「赤毛のアン」を原書で読むことによって英語力が飛躍的に高まったという茂木さん。「とにかく最初から最後まで読み通す」ことで、自信をつけて「英語脳」を身につけることが英語力向上の秘訣。本書を一冊読めば英語力も自然とアップし、「赤毛のアン」という物語が持つ魅力にも触れることができます。 名文で「英語脳」を強化する! !
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脳科学者・茂木健一郎茂木健一郎
脳科学者。1962年東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。『脳と仮想』(小林秀雄賞)、『今、ここからすべての場所へ』(桑原武夫学芸賞)、『「赤毛のアン」で英語づけ』など著書多数。