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2017年05月17日

夕霧(DaizyStripper)インタビュー『ピザのデリバリーのバイトで出会った子どもたちの笑顔』【俺達の仕事論vol.8】

夕霧 DaizyStripper インタビュー タウンワークマガジン

日夜、洗練されたメロディやリズムでファンを魅惑し続けるヴィジュアル系バンドのアーティストたち。いまは表舞台で活躍する彼らだが、そこに至るまでには様々な苦労体験や成長エピソードがある。この連載では、そんな彼らが日頃語らない過去の出来事やバイト体験について掘り下げます。

今年で結成10週年を迎えたDaizyStripper。ボーカリストの夕霧(ユウギリ)さんに学生の頃のアルバイト経験を中心にお話を伺いました。今回は特別にシングル「アマカラ」のミュージックビデオで着用したピザショップでのコスチュームで登場していただきました。

 

バイトでのまかないのピザがありがたかった

ーーこの取材のために、わざわざピザのデリバリースタッフのコスチュームで来てくださったということは……夕霧さんにとってのバイト経験で特に思い出深いのは、ピザ屋さんでのデリバリーのお仕事ということになりますか?

期間的なことでいったら、そんなに長くやっていたバイトでは無かったんですけどね。でも、自分にとって思い出深い仕事だったのは間違いないし、去年DaizyStripperとして出した「アマカラ」というシングル曲のミュージックビデオで、たまたま監督さんからの提案でピザ屋さんの格好をしたシーンを撮ったことがあったんです。せっかくなので(笑)、今日はその時の衣装をあらためて着て来ました!

ーーそもそも、夕霧さんがピザ屋さんのデリバリーの仕事を始めたキッカケは?

大学に通っていた頃、友だちにピザ屋さんでバイトをしている人がいて、その話を聞いてやることにしたんですよ。というのも、僕がその当時に住んでいた地元の相場からすると、時給がかなり良かったんです。しかも、定価より安くまかないみたいな感じでピザも食べられるっていうことだったんで、それもお得で良いなと思ったんですよね。

ーーまかないがあるお仕事は学生にはありがたいですよね。

あとは、お店での接客的な仕事と比べると、出前って基本的にはひとりでいる時間が長いじゃないですか。そこも、自分的には仕事として良いなと思ったポイントでした。もちろん、お客さんとも対面はしますけど、商品を手渡す時の一瞬くらいだし。原付を運転するのも好きだったから、楽しそうだなと思ったんです。

ただ、実際にやってみると予想外なこともいろいろありましたね。ちゃんと考えたらあたりまえの話なんですけど、雨の日のデリバリーは辛かったです(苦笑)。

ーーピザ屋さんの原付というと、屋根のついているものが多いイメージがありますが、あの屋根では雨風は防げないものなのですか?

それが、僕が働いていた店舗に関しては屋根付きの原付が限られた台数しか無かったんですよ。だから、長くそこでバイトをしている先輩たちは屋根付きなんですけど、新人は屋根ナシなんです。土砂降りとか、雷雨の日でもビショビショになりながら配達するっていうのは、思っていた以上に大変でした。

 

ワールドカップ開催中のピザのデリバリーはてんてこ舞い

夕霧 DaizyStripper インタビュー タウンワークマガジンーーもう少しすると、梅雨の季節ですし。物流関係、配達関係のお仕事の方々には本当に頭が下がります。

僕はちょうど梅雨時期にそのピザ屋で働いていたから、雨の日にあたる確率も高かったんです。それと、6月っていうとサッカーのワールドカップの開催時期でもあったんで、それも大変でした。

ーーなるほど! ワールドカップ→自宅でTV観戦派が多い→ピザの注文が増える、ということですか?

まさにそれです(笑)。ほんとね、ワールドカップの日のピザの注文数はヤバかったです。ハンパない数を限られた人数でさばかなきゃいけないので、とくに日本戦がある日は「絶対に休まないでください」ってお店から言われて……。だけど、その分日本戦の日は時給が100円アップするんですよ。

ーー大入り時給になるわけですね。

もう、リアルにてんてこ舞いでしたもん(笑)。俺もじつは、友だちから「今日は一緒にウチでサッカー観ようぜ!」って誘われていたんですけどね。それを泣く泣く断って、「みんないいなぁ……俺もサッカー観たいのに」と思いながら、次から次へとあちこちに一生懸命ピザを届けていたわけなんです。

そうしたら、何枚目かのピザを運んでいる途中、赤信号で停まったとき、その横断歩道の脇にあったアパートの開いた窓から、「ヤッタぁぁぁー!Yeahhhhh!!!」とか「キターー! ゴーーーーール!!」っていう凄い歓喜の叫び声が聞こえてきたときは、正直めちゃめちゃ切なかったです(笑)。

 

お客さんの笑顔や“ありがとう”が仕事のやり甲斐

夕霧 DaizyStripper インタビュー タウンワークマガジンーーサービス業の多くは、人々が楽しんでいる時こそ稼ぎ時になるという良い例ですね。

だけど、やっていて嬉しかったこともあったんですよ。たとえば、お子さんのいる家庭に届けたりすると、水仕事の途中だったのかエプロンで手を拭きながら出て来たお母さんの後ろから、バタバタって子供が家の中を走りながら着いてきて「ピザ来たー!」って喜んでいる姿が凄く可愛かったし、届けたお客さんたちから「ありがとう、ごくろうさま」って笑顔で言葉をかけてもらえたりすると、そういう時は純粋に「このバイトをやっていて良かったな」と感じたし、「自分が仕事をしたことで誰かに喜んでもらえた」という達成感も感じることが出来ました。

ーー届け先までの道に迷う、というようなことはありませんでしたか?

そういうことも、時々はありました。今だったらもしかしたらGPSなり、スマホなり何かを使ったりしているのかもしれないですけど、僕がやっていた当時はまず出発する前に、店内に貼ってある大きな周辺地図で場所を確認して、「ここから2本目の路地を左、さらに3本先を右…」みたいな感じで、行き先を暗記して届けていたんですよ。

ーーなかなか難しそうですね。

それで最悪迷っちゃった時は、わかるところまで戻ってまた行き直すっていうこともたまにしていましたね。そういう意味では、出発前の暗記している時がそのバイトをしている中では一番緊張する時間だったかもしれないです。逆に、帰り道は最高にすがすがしい気持ちになるんですよ。そして、労働の後に食べる一切れのピザがまた、とっても美味しい(笑)。

奨学金をもらいながら大学に通って一人暮らしをしていた自分からすると、ピザなんてそうそう頼めるものじゃない贅沢品ですから、自分にとってはちょっとしたご褒美になっていましたね。

ーーそのほかに、ピザ屋さん以外でのアルバイト経験もあったりはしますか?

いくつかやっていました。奨学金をもらっていて、おカネはあんまり無かったので(苦笑)。個人経営の居酒屋さん、ステーキ屋さんのホール、それから教材販売のテレアポは3ヵ月やりましたけど、「では、係の者が実際にお宅にうかがわせていただきますね」とアポイントを取り付けて、そこから実際に教材を販売するところまでこぎ着けたのは2件くらいだったかなぁ。あれは、電話をかけて切られ続けてもへこたれない精神力が必要なバイトでしたね。

それから、東京に出てくる前に最後にやったバイトは自動車の部品を作る工場での作業で、それは上京する為のお金が欲しくて時給の良さで決めた仕事でした。

 

お金をもらっている以上、バイトといえどプロ意識は必要

ーー今思振り返ってみると、どの仕事が最も楽しかったですか?

バイト仲間同士が仲良かったという点では、ステーキ屋さんかな? ノリとしては、大学のサークルみたいな感じでワイワイやっていました。

それと、新規オープンの居酒屋さんでバイトをした時は、その面接が凄く面白かったですね。店長さんがわりとチャラい感じで、「君はバンドやってるんだ。どんな音楽をやってるの?」と聞かれて、「ヴィジュアル系です。X JAPANとかLUNA SEAが好きです」って答えたら、「俺もLUNA SEAはめっちゃ好きなんだよね!「ROSIER」の中間部のJのセリフは全部言えるよ! よし、オマエ採用!!」ってなったことがありました。

もともとLUNA SEAは大好きなバンドですけど、そういう意味でも感謝してます(笑)。

ーーさまざまななバイト経験を経て、今は今で自分の心底好きなことを生業としている夕霧さんからすると、「バイトをやっていたことの意味」とはどんなものになりますか。

学生の頃は、最初のうちどうしても「どうせバイトだし」と思ってしまって、責任感が薄いところがあったんですよね。でも、二十歳を超えた頃にバイト先の店長が「お客さんたちからすれば、おまえらがバイトか社員か、なんていうことは全く関係ない。仕事をする以上は正社員と同じような気持ちで臨みなさい」ということを言われて、その言葉にドキッ!とさせられたんですよ。「そうか。お金をもらっている以上、自分はプロなんだ」ってそこで初めて気付かされました。

あの時期、いろいろバイトをやって得られた経験は貴重な財産になっていますし、デリバリーの仕事でピザを手渡したときの子どもの笑顔や、“お金をもらっている以上プロなんだ”という店長の言葉はいまも心に残っています。音楽活動をしている今の自分に何かしら影響を与えていると思います。あの時期に、いろんな世界に触れられたし、やっておいて良かったです。

 

■ Profile
夕霧(DaizyStripper)

DaizyStripperのボーカリスト。透き通るようなハイトーンボイス、パワフルなシャウトと繊細さ力強さを持ち合わせる超個性派ボーカリスト。バンドは今年結成10周年を迎え、現在は全国47都道府県ツアー<10th Anniversary 47都道府県TOUR 2017「僕らの帰る場所」>を開催中。

◆DaizyStripper OFFICIAL SITE:https://daizystripper.com/
◆夕霧 Official Twitter:https://twitter.com/yugiri_Daizy
◆夕霧 Official Blog:http://ameblo.jp/yuugiri-daizy/

企画・編集:ぽっくんワールド企画 取材・文:杉江由紀 撮影:河井彩美

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