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2021年12月10日

大学のレポートの書き方の基本|教授に評価されるレポート術

レポート 書き方 タウンワークマガジン townwork大学ではオンライン授業が増え、課題としてレポート提出が求められることも多いと思います。今回の記事では、「レポートを書くのは初めてで書き方がわからない」という学生に向けて、『この1冊できちんと書ける!論文・レポートの基本』の著者である石黒圭先生に基本的なレポートの書き方とポイントを教えてもらいました。中でも、学部を問わず課される論証型レポートについて主に解説します。

レポートとは

レポートとは、与えられた問いに対して資料を調べ、報告するもの。または、その上で自分の考えを論理的に伝えるものです。自分の考えを論理的に述べるには、決まったレポートの型や基本構成に則る必要があります。
レポートの型は、理系学部で課されることが多い、調査・実験・実習の内容をまとめる報告型と、文系学部で課されることが多い、問いに対して根拠に基づき自分の論を展開する論証型があります。ここでは論証型を中心に扱います。

 

論証型レポートの基本構成

レポートを書くときには、①問う、②調べる、③選ぶ、④確かめる、⑤裏づける、⑥まとめるの6つの要素が大事です。序論に①②が、本論に③④⑤が、結論に⑥が入ります。ここでは、①~⑥の6つの要素、それぞれに対して何を書けばいいのかを順に解説します。

レポートの書き方 基本構成

序論

序論は「問いを立てる」ところです。具体的には、何を論じるのか(①問う)、なぜその問いを論じるのか(②調べる)の2要素から構成します。

①問う(目的)

レポートの中で明らかにしたい「問い」を示します。
ここでのポイントは、問いを絞ることです。与えられるレポートの課題は「日本企業のダイバーシティについて意見を述べなさい」など、やや抽象的な場合があります。その場合は課題に対して、「〇〇は、何/なぜ/どんな~か」とさらに絞り込み、「日本企業のダイバーシティ経営の特徴は何か」「日本企業のダイバーシティはなぜ遅れているのか」「日本企業のダイバーシティ2.0の推進はどんな状況か」というように、問いの内容を具体的に示すことがポイントです。

②調べる(先行研究)

問いを設定するにあたり、関連する研究を扱う過去の論文(先行研究)を調べ、なぜその問いを取り上げるのかを述べます。先行研究は、インターネット(Google Scholarや国立情報学研究所のCiNiiなど)で探すのが効率的です。注意すべきは、人の意見を引用する際には引用部分を「 」に入れ、文献名とページ数を示すこと、文末に参考文献として挙げることです。剽窃やリンク先を示さないコピペは盗用になります。

 

本論・結論

本論は、序論で取り上げた問いを解くのに適した方法を示し(③選ぶ)、その方法で分析した結果、どのような結果になったか(④確かめる)、どうしてそうなったのか(⑤裏付ける)の3つの要素で構成します。そして結論は、レポートのまとめ(⑥まとめる)です。本論の内容を端的にまとめ、自分の論を述べ、最後に今後の課題を提示します。つまり、序論(①②)で立てた問いを本論で解き、結論で答えを示すのがレポートです。

③選ぶ(資料と方法)

問いに対する答えを導くための調査方法、すなわちデータの収集方法と分析方法を述べます。調査方法は、数値化しやすい大量のデータを集めて傾向を探る量的調査と、言葉や行動に表れたデータの意味を読み解く質的調査とがあります。量的調査は、実験やアンケート調査が中心であるのに対し、質的調査は、参与観察やインタビュー調査が中心となります。文献資料を使った調査の場合、数値化すれば量的調査になりますし、個々の例を丁寧に解釈すれば質的に調査になります。

④確かめる(結果と分析)

収集したデータの分析結果をわかりやすく整理して述べます。大量のデータを基にした量的な分析の場合、分析結果を示す表やグラフ、モデル図の見せ方や統計的な分析の処理方法を見やすくする工夫が必要です。一方、個々のデータを読み解く質的な分析の場合、分析結果を明確に示すだけでなく、その結果に至る過程を、言葉を尽くして丁寧に説明することが必要です。

⑤裏づける(考察)

なぜそうした結果になるのか、背後にある理由を考えて述べます。どのような原因があり、どのようなプロセスを経てその結果に至ったのかを、目に見えるデータから目に見えない仕組みを明らかにするのが考察です。問いから答えを導く過程に分析結果がありますが、そこには論理的飛躍があるものです。その飛躍を埋め、答えにつながる過程を論証するのが考察の役割です。

⑥まとめる(結論)

結論だけを読んでもレポートの内容が理解できるように書きます。ポイントはレポートの最初で提示した問いと結論で示す答えがずれないことです。最初に提示した問いの答えになっているか、本論の論証を踏まえて導き出された答えであるかどうか、最後に繋がりを必ず点検しましょう。

 

主張にオリジナリティのあるレポートは評価される

レポートの内容が世界初とまで言わなくても、他の人と違う着眼点を持つレポートは読んでいて楽しいものです。読んでいる人が「なるほど、この手があったか!」と思うレポートを目指すと評価の高いレポートになるでしょう。逆に、誰でも書きそうな内容、つまりその人らしさがないレポートは評価を得られません。きちんと調べ、自分の頭で考えることができているレポートは自ずと評価をされるはずです。

オリジナリティのある主張の見つけ方のヒントは、見方を変えてみることです。ある分野で当たり前の見方を別の分野に適用すると新しいものになったり、昔の時代のものの見方を今の時代に当てはめてみると、斬新な見方になったりします。多様な角度から光を当てることで、自分なりの主張が見つけやすくなります。

 

まとめ

①問う、②調べる、③選ぶ、④確かめる、⑤裏づける、⑥まとめるの6要素すべてを備えているのは、長い論文の場合です。短いレポートでは、出題する先生の意図によって、①~⑥のどれかに焦点が当たるもの。レポートを書く際は先生の出題意図を見抜き、その要素に集中して書いてください。レポートを書く作業を繰り返すうちに①~⑥がまんべんなく鍛えられ、4年後には立派な卒業論文を書く思考力と表現力が身につきます。

 

■Profile
石黒 圭
(いしぐろ・けい)
国立国語研究所教授・研究情報発信センター長。一橋大学大学院言語社会研究科連携教授。博士(文学)。専門は日本語学・日本語教育学。著書は『この1冊できちんと書ける!論文・レポートの基本』『文系研究者になる』など多数。
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