宅配ピザの「ピザーラ」やカジュアルレストラン「TO THE HERBS」、高級フレンチ「ジョエル・ロブション」などを経営する株式会社フォーシーズ。淺野秀則会長は、今でもできる限り、現場である店舗に足を運びます。
「私どものような飲食業、サービス業は現場に答えがあります。スタッフについていえば、お客様の喜ぶ顔を見るのが好きかどうか、を見ていますね。それはお客様の視点を持っているかどうか、ということでもあります。どうしたらお客様に喜んでもらえるか。自分がお客の時、感じていたことを店側に立つと忘れてしまうことがあるんです。売り上げが伸びているお店は、そういった点がしっかりしていると感じますね」
同社はデリバリーピザとしては、店舗数、売り上げともに日本一となった今でも、アルバイトからの正社員登用の割合が多いそう。
「ただ成績が良いというのではなく、常識にとらわれない発想や、人間力を持っているか? ということを重視しています。現在の社員にも、アルバイト出身者が多数いますが、中には売り上げが振るわない店舗を担当させると、売り上げの記録を更新させるほどお店を変えることができる人もいます」
どんな点が優れていたのでしょうか。
「スタッフ全員が何のために働いているか、アルバイトをしているのかを正確に把握したうえで声をかけていたり、仕事を任せたりしていましたね。同じアルバイトでも学費のためか将来のためか、一人ひとり事情が違いますから」
それはすなわち、一人ひとりのモチベーションを丁寧に上げていったということ。
「この例のように、スタッフも会社も、いっしょに成長できるような組織がいいなぁと今でも思っていますよ」
淺野会長は会社が大きくなっても、基本的なところ、いいところは変えないと言います。
「私は『自分自身が率先せよ』という言葉を大事にしています。小さな1つのことが全力でできる人は、100のことができる。逆にいくら100できると言っても1のことをしない人間は信用できません。たとえばトイレ掃除だってそうです。私自身は今でもトイレ掃除を必ずするようにしています。上の人間が率先してやれば、みんなやるようになりますよね」
現状に満足しないことも大切とのこと。
「だんだん組織が大きくなっていくと、現状に満足していってしまうんですね。でも、それではダメ。常に自分をブレイクスルーできるようにしないと。それは『夢を持ち続けるにはどうしたらいいのか』ということでもあります。そのチャンスは弊社にはたくさんある。今だったらアジア進出。弊社はデリバリーが第一期だとすれば、外食が第二期、そして今は海外進出という第三期にあたると思います」
そこで必要なのは、現状に満足することではなく、チャレンジし続けるという気持ち。 それが「こだわりのおいしさ、楽しさ、感動をすべての人に!!」というグループのヴィジョンの実現につながると信じているそうです。
「『私にやらせてほしい!!』と言えるような空気をつくるためにも、やる気と実力のある人材を、その人の望むポジションに抜擢することは今後も積極的にしていきたい。そういったワクワク感がある会社でありたいと思いますね」