COMPANY“SPECIAL”GUIDE 働く+α

VALUE02「びっくりドンキー」運営 株式会社アレフ 社会で通用する作法が自然と身につく店舗風土が自慢です

社会で発揮できる力が“考える”教育で身につく

テーマパークのような個性的な内装とおいしいハンバーグでお馴染みの「びっくりドンキー」。ここで働くスタッフの「いいコト」には、しっかりと目の行き届いた店舗風土と深い関係があります。

「まずホールスタッフの場合は、初めは用語や手順などの基本的事項を身につけてもらいますが、その際に“それらがなぜ必要なのか?”を各自に考えてもらうようにしています。ルールやマナーには必ず理由があり、それを踏まえて接客ができるようになると、お客様への“サービス”から『○○して差し上げたい』という気持ちを伴う“ホスピタリティ”へと変わるのです」

そう話すのは、同社の採用関連を統括する千葉さん。他人への心遣いをはじめとするコミュニケーションは、仕事はもちろん、日常生活でも欠かせません。つまりは、ホール経験を重ねるうちに、社会人としての思考や所作が自然と身についていく、ともいえるのです。

「私の店長時代に、印象的なアルバイトさんがいました。16歳の女性で、始めて半年ほど経っても接客に興味がない様子で……言い換えれば、時給のためだけに働いている、という印象でした。そこで、空いた時間をできるだけ使い、サービスの目的や理由を問いかけて、考えてもらうようにしました。すると、しばらくしてお客様の喜ぶ顔を見るのが嬉しくなったようで、サービス力がぐんぐん伸び、卒業後には介護の道に進んでいきました。今もたびたび近況を報告しに来てくれますが、立派な姿を見られるのは嬉しいです」

一方、キッチン部門でのアルバイトでは、どんな経験を積めるのでしょう?

「キッチンスタッフに求められるのは“マニュアルの完全実施”です。ハンバーグという料理の特性上、肉の焼き加減や時間、グリドル(鉄板)の温度などに生じる少しのズレが、仕上がりのクオリティを大きく左右します。ですので、ひとつひとつの作業をきっちりやり抜く必要があり、結果的にそれが集中力や忍耐力を培うのです。加えて、厨房内の作業では当然、スタッフ間の連携が重要になるため、挨拶や声がけなどの小さなコミュニケーション力も自然と身につきますね」

店舗を細かくチェックする「店舗風土診断制度」

そのような立派な風土も、浸透していなければ意味がありません。そこで役立つのが、どれほど実施されているのかを店舗ごとにチェックする制度です。

「2003年以降、全直営店舗にて『店舗風土診断制度』を導入しています。衛生面や教育方法、そして給料額など全16項目のチェックシートを、アルバイト・パートさんと店長の双方にやっていただきます。スタッフのシートからは、実際に店舗風土がどれほど行き届いているのかが分かります。また、双方が自己評価と他者評価を照らし合わせて相違があれば問題ですし、その相違自体が店舗改善への糸口にもなるのです」

なかでも画期的なものとしては、時給についての項目だといいます。

「これまでは、飲食店の時給というのは店長のさじ加減によるものがほとんどでした。店ごとの評価基準もバラバラですし、判断基準も明確にありません。これではスタッフが自分の時給額に満足していなかったとしても原因が不明瞭ですし、店長サイドもスタッフの真意を知る術もありません。スタッフにとって金額の話はとりわけしづらいものなので、このチェックシートが大いに役立っていると思います」

職場環境が可視化されたことで、スタッフの満足度は確実に上がっているようです。

「正社員・アルバイト含め、すべてのスタッフの離職率が劇的に下がってきています。今ではこの制度を導入してよかったな、と心から思いますね。今後も店舗風土の診断・改善を徹底してつづけていきます」

18, March, 2014

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COMPANY PROFILE

株式会社アレフ

ハンバーガーとサラダの店「べる」の開店をもち、1968年に創業。1981年にハンバーグ専門のファミリーレストラン「びっくりドンキー」をオープン。その後、イタリアンレストラン「ペペサーレ」、生パスタとピッツアレストラン「らくだ軒」をはじめ、こだわりの洋食チェーンを幅広く展開。ビールや乳製品、コーヒーの焙煎なども、自社工場で行うこだわり。CO2削減や廃油回収事業等、環境保護分野での多数表彰されている。

ユニークな外観が目をひく店舗には、太陽光発電や雨水利用のための装置を店舗ごとに設置するなど、環境への配慮がたくさん。

PROFILE

千葉哲也(ちば・てつや)

千葉哲也(ちば・てつや)

1997年、びっくりドンキー入社。2001年に店長を経て、2003年に「ペペサーレ」事業部、ホール統括リーダーを経験。2011年からはお客様感動UPチームにて、CSインストラクターとして店舗風土の改善に注力。2012年より、人事部採用担当リーダーに就任。