【動画あり】学生たちの夢をのせて、大空高く!ロケット打ち上げイベントのサポートバイト
宇宙に憧れを持つ人なら誰もが夢中になって見たことのあるロケット打ち上げ。
第3弾の激レア“宇宙バイト”は、「伊豆大島ロケット打上共同実験」にて、大学生が製作したタウンワークロケットの打ち上げなど、未来のロケット開発者たちをサポートしながら、一緒に感動の瞬間を分かち合うというもの。
そんな貴重な機会を手にした5名のバイトに密着した。
憧れのJAXAエンジニアによる特別講義を受講!
今回の宇宙バイトに参加したのは、宇宙や星に興味を持つ男性2名、女性3名。
参加者の一人、楳木晃平さんは、現在、大学で航空宇宙工学を学び、いつかは人工衛星を打ち上げたいという夢がある。
楳木さん「航空宇宙工学を学んでいますが、まだ座学ばかりなので、ぜひ生でロケットの打ち上げを見たくて応募しました。自分と同じ夢を持つ人たちとの交流も楽しみです」
また、大学で電気電子工学科に所属する川島史也さんは、開発エンジニアを目指している。
川島さん「小さな頃からものづくりが好きで、宇宙バイトでロケットづくりはもちろん、打ち上げの現場に立ち合えるなんて夢のようです。でも主役は学生たち。彼らの成功につながるようにミスなく仕事を行いたい」
ロケット打ち上げのサポートバイトは、これまでにない2泊3日という長丁場。
バイト初日は、夜から東京・御茶ノ水にあるJAXA東京事務所で、JAXAのロケット開発エンジニアの特別講義が行われた。
エンジニアから直接話を聞く機会は滅多にないため、5人は真剣なまなざしで聞き入り、時に質問をしながら、ロケットについて学んだ。
約1時間の講義を終えて、ロケットの打ち上げ現場となる伊豆大島へと夜行船で出発!
ロケット発射まで、学生たちの作業をサポート!
約8時間の船旅を経て、翌朝、伊豆大島に到着。ブルースーツに身を包んだ5人は、朝7時には「伊豆大島ロケット打上共同実験」の会場に入った。
今回は千葉工業大学のロケット製作団体「SPARK」の協力のもと、タウンワークロケットが打ち上げられる予定だ。「SPARK」の面々は12時30分の打ち上げを目指して、ロケットの調整に取り組んでいた。
まず、バイトメンバーたちはロケット打ち上げに向けた最終組み立てのサポートとロケット打ち上げ実験の記録係を担当。学生たちのインタビューや撮影などを行った。
いよいよ発射準備! 緊張しながらロケットを運搬
準備を終えたロケットを、ランチャー(ロケット発射装置)まで移動させることに。この運搬作業をバイトの2人が担当。
イベント会場である伊豆大島の三原山は過去の噴火で噴出した細かな石でできた砂漠。歩きにくい足元の中、大学生たちが仕上げたロケットを壊さないように慎重に運んだ。
緊張する業務を無事に終えたバイトたちは、発射準備に忙しく動き回る大学生たちを見守りながら、打ち上げを待つ。
5、4、3、2、1、0! タウンワークロケット発射!!
安全確保のために発射場所から少し離れた場所まで退避し、そこでロケット発射を見届けることになったバイトメンバーたち。
しばらくすると、トランシーバーからカウントダウンが聞こえてきた。
「5、4、3、2、1、0!」ロケット発射!!
タウンワークロケットは空高く飛立った。打ち上げは成功!
ただ、空中でパラシュートのコードが切れてしまい、「SPARK」が掲げていたミッション「機体の軟着陸」は叶わなかった。
空から勢いよく落下した機体を探す作業も宇宙バイトの仕事だ。方角しか分からない落下点を目指して、砂漠の中を歩き回ること数10分、バイトの2人がようやく破損した機体を発見。その回収作業もみんなで手分けして行った。
宇宙を夢見る中学生たちとも交流!
最終日は、前日に引き続きロケット打ち上げ実験の記録係として活動しながら、「日本宇宙少年団(YAC)」の中学生団員が打ち上げるロケットのサポート業務も行った。
メンバーたちは前日に自作したモデルロケットをデモンストレーションで打ち上げたり、中学生らが作ったモデルロケットの打ち上げを手伝ったり。時には、勉強の仕方について相談を受けることもあった。
純粋に宇宙が好きという中学生たちの熱意に触れた5人にとって、この時間はとても刺激的で、改めて宇宙への魅力を感じるひと時となった。
想像以上に体力勝負だった宇宙バイト。チームに連帯感が生まれた
2泊3日という長いスケジュールで、砂漠の中を歩き回った宇宙バイト。体力的にはきついものだったが、この経験を将来につなげたいと意気込んでいた男性2人にとっては、かけがえのないものになった。
川島さん「学生たちが調整を続けながら、ロケットをつくり上げていく現場に立ち合えて嬉しかったです。彼らの頑張る姿を見て、新たなチャレンジをしていきたいと思いました。」
楳木さん「大学で学んでいたロケットが、生で飛ぶ現場を見られて新鮮でした。ここで見たロケットよりもっと大規模なものを手がけてみたいという気持ちがより強くなりました。」
実際のロケット発射を見たメンバーたちは「感動した!」と口を揃え、中には涙を浮かべる人もいた。
この感動は現場にいないと伝えきれないかもしれないが、この貴重な宇宙バイトという経験は、5人にとっての未来を少しだけ明るく照らす出来事だったのかもしれない。
●宇宙バイトスペシャルコラム No.3 「はやぶさ2」~宇宙大航海への旅立ち~
2014年12月3日13時22分04秒、小惑星探査機「はやぶさ2」は種子島宇宙センターから宇宙へ旅立った。この時、はやぶさ2を宇宙へ運んだのがH-ⅡAロケット26号機、日本が誇る主力大型ロケットだ。人工衛星や惑星探査機、そして宇宙飛行士のミッションも、全てはロケット打ち上げから始まる。中でも惑星探査機の場合は、目標とする天体との位置関係から1秒単位で打ち上げ時刻が決まっており、打ち上げ可能な期間もはやぶさ2では10日間と限られていた。天候による2度の延期があったものの、たくさんの見学者と報道陣に見守られこのピンポイント発射は無事に成功。ロケットは様々な立場でプロジェクトに関係する人たちや応援する人々全員の想いを載せて、宇宙へ「はやぶさ2」を届けたのだ。
![(c)jaxa](http://townwork.net/magazine/wp-content/uploads/2015/04/7b19a061cfec1f212032f2d69b440684_R-250x166.jpg)
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◆H-ⅡAロケット26号機による「はやぶさ2」の打ち上げ映像
https://www.youtube.com/watch?v=IIMqG4fDu1c&feature=youtu.be&t=6m27s
◆その他、「はやぶさ2」の詳細や現在の状況などは、JAXA特設サイトを参照
http://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/index.html