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2015年11月02日

【動画あり】池上彰の本を参考にして書いたニュース原稿を、あの平井〇央、高橋〇麻に読んでもらった

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ニュースキャスター。華やかなりしテレビ業界の中でも、とりわけ憧れを集める存在である。だが、そんな花形職業の裏には、縁の下で番組を支える様々なお仕事がある。

そのひとつが、ニュースの原稿を書くお仕事。キャスターが伝えるべき事象を、分かりやすい原稿にまとめる重要な役割だ。

このほど、そんな報道現場のお仕事を体験できるバイトが募集されるという。

テレビ東京、朝の情報番組『チャージ730!』に、制作スタッフとして参加するこのバイト。書いた原稿は実際の生放送で、あの大橋未歩アナウンサーが読み上げるかもしれないという。

曲がりなりにも文章を書く仕事で生活させてもらっている筆者としても、これは無視できないバイトである。あと、大橋アナも好きだし。

そこで、ニュース原稿の作り方を研究し、実際に書いてみることにした。

分かりやすいニュース原稿の書き方とは?

ライターになって約10年。しかし、これまでニュース原稿というものを書いた経験はない。雑誌やインターネットで閲覧される雑文書きがほとんどで、そういえば「人が声に出して伝える」ということを意識したこともなかった。

普段は、粘土を使ってプチ整形をするとか、そういう記事を書いています(@ニフティ「デイリーポータルZ」より)

普段は、粘土を使ってプチ整形をするとか、そういう記事を書いています(@ニフティ「デイリーポータルZ」より)

生放送の限られた尺の中で多くのニュースを伝えるためには、簡潔で読みやすくまとめられた原稿が求められるだろう。つい余計なことをだらだら書いてしまう普段の僕の文体では、おそらく採用されまい。まずはニュース原稿の特徴をしっかり学ぶ必要がある。

そこで、まずは報道番組をじっくり見て、ニュース原稿について研究してみる

そこで、まずは報道番組をじっくり見て、ニュース原稿について研究してみる

改めて報道番組をしっかり見てみると、一つひとつのニュースの伝え方には一定の法則があることがわかってきた。

・最初の10秒くらいで、短く事件の概略を言う
・次に、改めて詳細な状況を伝える
・その後、目撃者の証言や容疑者の供述を入れる
・まとめの一言

多くのニュースはだいたい、この4つの要素・順番で構成されている。1分くらいの短いニュースのなかに、ちゃんと起承転結が盛り込まれているのだ。ニュースってちゃんと考えて作られてんだな。

なお、1分間のニュースを文字数でカウントしてみると、だいたい300文字くらいのものが多かった。これらを踏まえ、さっそく原稿を書いてみよう。

「イケメンすぎるゴリラとして知られる名古屋市東山動物園のシャバーニに憧れ、名古屋市東山動物園のゴリラ舎に侵入した女が今朝、逮捕されました。
事件が起きたのは、今日午前5時20分頃。ゴリラ舎の檻を女がバールのようなものでこじあけようとしているところを飼育員が発見。駆け付けた警察官により、現行犯逮捕されました。取り調べに対し女は容疑を認めたうえで、「婚活がうまくいかず、この際ゴリラで手を打とうと思った」と供述しているということで、警視庁が余罪についても調べています。なお、シャバーニはゴリラ界屈指のイケメンゴリラとして知られ、写真集を出版するなど、ゴリラ離れした美貌を誇っています」
ちなみに事件はフィクションですがシャバーニさんは実在します。こんなお顔です。画像は東山動物園オフィシャルゴリラ写真集『シャバーニ!』より。アマゾンでも買えます

ちなみに事件はフィクションですがシャバーニさんは実在します。こんなお顔です。画像は東山動物園オフィシャルゴリラ写真集『シャバーニ!』より。アマゾンでも買えます

名古屋のイケメンゴリラに求愛しようとした女性が逮捕されるという架空の事件を題材に、まずは見様見真似で原稿に仕立ててみた。どうだろうか、それなりにニュースっぽく仕上がっているようにも思う。ニュースでお馴染みのワード「バールのようなもの」も、さりげなく差し込んでみた。

できた原稿を、実際に音読してみる

できた原稿を、実際に音読してみる


「伝わる」ニュース原稿にはコツがあるらしい

しかし、実際に声に出して読んでみるとなんだか分かりづらい気がする。報道番組でアナウンサーが読み上げるニュースのような、耳にすっと入ってくる流麗さがない。
目で読む原稿と、音読する原稿。同じ文章でも、分かりやすく伝えるための書き方はまるで違うらしい。

そこで、国民的キャスターの著書を教科書に、ニュース原稿について学ぶことにした

そこで、国民的キャスターの著書を教科書に、ニュース原稿について学ぶことにした

参考にしたのは池上彰先生の著書『伝える力』。フリージャーナリストであり、世の小難しいニュースを超分かりやすく解説するキャスターとしても知られる著者の、「伝える」ためのメソッドが詰まった一冊である。「話す」「書く」「聞く」技術を磨く指南書として、シリーズ累計200万部を誇っている。

彰先生は本の中で、ニュース原稿を書くコツについても紹介している。そのなかから基本的なポイントを抜粋すると…

・5W1H「いつ、どこで、誰が、何を、どのようにした」を伝えるのがニュースの基本
・息継ぎをしなくても読めるよう、1文を短く50文字以内にする
・事実のみならず、記者の雑感をさりげなく盛り込むことで臨場感が出る

というわけで、彰先生の教えを取り入れ、手直ししたゴリラ原稿が以下である。

【ゴリラ第2稿】
「今朝、名古屋市東山動物園のゴリラ舎に、不法侵入した女が逮捕されました。
女は今日5時20分頃、ゴリラ舎の檻を、バールのようなものでこじあけようとした疑いがもたれています。開園前の動物園を点検中の飼育員が女を発見し、通報。駆け付けた警察官に、現行犯逮捕されました。このゴリラ舎で飼育されているオス一頭は、一部で「イケメンすぎるゴリラ」として、話題を集めています。
取り調べに対し女は、「人間の男は草食系でものたりない。たくましいゴリラに興味があった」などと供述しているとのことです。なお、ゴリラの主食は、草や木の葉っぱであることが知られています」
草食系をなめるなゴリよ

草食系をなめるなゴリよ

今度は読みやすいように、一文を短く50文字以内にし、読点を多く入れた。さらに、文末にゴリラは草食系であるという情報を盛り込んだ。ニュースとしては蛇足かもしれないが、僕なりの視聴者へのサービス精神である。

ただ、簡潔にまとめたがために、やや面白みが薄れたような気もする。そこで、もう少しだけ手を加えてみた。

【ゴリラ第3稿】
「『ゴリラの嫁になりたかった』女はそう話しています。
今朝、名古屋市東山動物園に、不法侵入した女が逮捕されました。事件が起きたのは今日5時20分頃。ゴリラの檻を、女がバールのようなものでこじあけようとしているのを、飼育員が発見。駆けつけた警察官により、現行犯逮捕されました。取り調べに対し、女は容疑を認めています。警視庁によると女は「ゴリラのシャバーニに近づきたかった。あわよくば嫁になりたかった」などと供述。なお、シャバーニはゴリラ界屈指のイケメンとして知られています。草食系が増えている今、男性にたくましさを求める女子がゴリラに走る時代なのかもしれませんね」

第2稿に加え、冒頭に「つかみ」として容疑者の供述を入れてみたパターンだ。さらに、文末には記者の雑感も入れ、ただの情報に止まらない余韻を残した。渾身の“ゴリ原”(ゴリラの原稿)の完成である。

アナウンサーに読んでもらおう

さて、がんばって書いた原稿だ。せっかくなのでプロに読んでほしい。八方手を尽くして、つてを当たったところ、あの有名アナウンサーとのコンタクトに成功した。

有名アナウンサーの平井さん

有名アナウンサーの平井さん

平井さんはフリーアナウンサー。
お台場のテレビ局でスポーツキャスターとして活躍していた頃は、その甘くささやくようなハニーボイスで、世のおとうさんを骨抜きにしていた。

あのアナが僕の“ゴリ原”(ゴリラの原稿)を呼んでくれることになった。考えただけでどうにかなってしまいそうだ。

きっと今回の激レアバイトで大橋アナに原稿を読んでもらう誰かも、こんな気持ちになるのだろうな。

では、お願いします。



ものまねだけどな

じつはこの平井アナ、タレントの中村愛さん扮するものまねである。どうだ、騙されただろう。
(中村さんは、ものまねからラジオDJ、コラムの執筆までマルチに活動。さらにはセクシーなマジックや一発ギャグなど、男子中学生は悶絶必至の多彩な芸を持っている。詳しくはご本人のtwitterなどを参照)

■中村愛twitter(@nakamura_ai

なお、中村さんは普段、こんなものまねをしている。

『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権(とんねるずのみなさんのおかげでした)』でも披露した、渾身の平井アナ。

悪意があるように思えるかもしれないが、それはあなたの心が曇っているからだ。純粋な眼で見れば、悪意の裏にあるリスペクトと愛を感じ取ってもらえると思う。

なんせ、こんなにおもしろいんだもの。

こちらはマーサ。

悪意はない…はずである

悪意はない…はずである

若干、森進一っぽくもあるマーサ。でも、かわいいよ。

そんなマーサにはべつの原稿を読んでもらうことにした。

ニュースの内容に合わせ、ゴリラに寄せてきた感もある。

なお、中村さんによるマーサものまねは基本的に顔マネで声は苦手とのことだったが、ニュース原稿を読んでもらっても普通にそれっぽい。まさにプロの仕事である。

約束の30分で完璧にオーダーをこなしてくれた中村さん。ありがとうございました

約束の30分で完璧にオーダーをこなしてくれた中村さん。ありがとうございました


ものまねも原稿も、愛が大事

ともあれ、僕がこの世に産み落とした原稿がキャスターによって(ものまねだけど)読まれるという体験は、なかなか感動的なものだった。同時に、じっくり推敲を重ねた原稿でも、「読みづらくないかな?」とハラハラしてしまう。正確性や分かりやすさももちろん大事だが、原稿書きという裏方の仕事に求められるのは何より、読み手への愛であることを実感した次第だ。

ちなみに、激レアバイト「朝のニュース原稿を書く![チャージ730!] TV番組制作をサポートするバイト」には、ニュース原稿はもちろん、文章をほとんど書いたことがない人でも気軽に応募してほしいとのこと。

今回の記事が、実際のバイトで原稿を書く方の参考になれば幸いである。

取材・撮影・文:榎並紀行(やじろべえ)

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