【激レア 体験レポ】創業200年以上! 老舗そば屋「総本家 更科堀井」で貴重な“そば打ち”グルメバイト!
創業から200年以上の歴史を持つ老舗そば屋「総本家 更科堀井」が今回の激レアバイトの舞台。仕込みから接客まで、人気そば屋の忙しいランチタイムをサポートする。
そしてなんと言っても激レアな業務内容は“そば打ち”に挑戦できること。熟練の職人さんによる伝統の技を間近で見て学べて体験できる。そんな今までにない激レア“グルメバイト”をお届け!
そば大好き! “熟練”と“伝統”の味を勉強したい!
創業は江戸時代中期の寛政元年(1789年)という歴史を持つ更科そば「総本家 更科堀井」。その上品な風味ゆえに、古くは江戸城や大名屋敷にも出入りを許され、御前に供する名誉も賜り、そば好きの江戸っ子達にも親しまれてきたとのこと。
この伝統ある名店で、そば打ちに挑戦するのは、ともに大学生のKさんとTさんの2人。

Kさん
Kさん「熟練の技を持つ職人さんから直接教えていただける機会なんて普段生活していたら絶対にないこと。まさに激レアなバイトだと思います。そば打ちを習得して家族や友人に振る舞えるくらいに上達したいです」

Tさん
Tさん「好きな食べ物を尋ねられたら、必ず“そば”と答えるくらい大のそば好きです。なので“老舗のそば屋さんでアルバイトをする”という内容は私にはとても魅力的。職人さんのそばを打つ姿をこの目に焼き付けたいです」
店内に入ると、優しくも眼光鋭い堀井社長とご対面。
「そば打ちしてもらうけど、2人が作ったものは、お客様には出さないから安心してね」
当然のことではあるが、バイトメンバーは内心ほっと胸をなでおろした。
“オロシー”と“ネギー”!? 調理器具にビックリ!
制服に身を包んだ2人。働くお店のみなさんに挨拶を済ませ業務スタート!
開店前の仕込みや準備で店内は大忙し。2人もさっそく調理場での作業を与えられた。最初の仕事は、大根とねぎを切ることから。
大根を縦に4つ切りするKさん。
Tさんもネギの葉と根元の部分を切って水に浸した。
ここで見たことのない機械が運ばれてきた。
「“オロシー”と“ネギー”と言って、大根をおろしてくれる機械とネギをスライスしてくれる機械です」
「すごい…。ネーミングそのまんま。分かりやすいですね」とKさん。
スタッフさんの指導のもと、オロシーで大根をおろし始めた。
「指に気をつけてくださいね。簡単に切れちゃいますから」
Tさんもスタッフさんに見守られながら、ネギ―でネギをスライス。そうこうしていると、そばの打ち場にいる堀井社長から声がかかった。
「仕込み作業はそこまで。そろそろ始めるよ。手を洗って入っておいで。」
早くも激レアな“そば打ち”体験が始まろうとしている。
“dough(どう)”を作る工程を学ぶ
※「dough」 そば粉を練った生地のことです。
「どうやったら麺になるか、その辺のところを理解してもらえればと思います」
堀井社長の第一声でスタート。
そばの実の殻を取り除いた状態である“抜き”を見せてくれる堀井社長。このまま蒔けば芽が生えてくるのだという。
「うちは“抜き”で仕入れています。粉で仕入れるのは、水揚げされ冷凍された魚を扱うのといっしょ。うちのはまだ生きている状態から挽くので活け造りみたいなものかな」
続けて、そば屋さんが大事にする“そばの三たて”を教えてもらう。
「“挽きたて・打ちたて・茹でたて”のことなんだけど、一番大事なのは“挽き”の部分である原材料の鮮度。だから“抜き”が大事なんだよね」
いきなりの激レアなお話に思わず「なるほど~」と感心するバイトたち。次は、道具の説明と同時に、そば打ちの三つの大事な工程も教えてもらう。
一つ目は、木鉢でそば粉を揉んだ“dough(どう)”を作ること。
二つ目は、“dough”を板上で麺棒を使いながら畳一畳ほどの大きさに“のす”作業。
三つめは、“のし”て折り畳んだそばを切る工程。
そば切り包丁は、なるべく長いそばを切るために長い刃が特徴的で、その重さは1.2キロもあるそうだ。
まずは“dough”を作るため、Tさんが挽いたそば粉をふるいにかける。
つなぎの小麦粉を加えた後、そば粉をかき回す作業では、Kさんが挑戦。
「そばの香りする?」と聞かれて、「うーん」と首をひねる。
「そう、しないよね。香りは蒸気が出て鼻の粘膜にぶつかるから匂うもの。これから水を加えていくと香りが出てくるよ」
どんどん出てくるそばの情報や知識を仕入れていく2人。
素早いタイミングで水を加えながら、捏ねていく堀井社長。粉だったものがどんどん塊になっていく。
「うわ~すごい」感嘆の声を出すTさん。
「あっ! なんか香りがしてきました」とKさん。
「そうでしょ。水を加えたから蒸気が出てきた。これがそばの香りです」と堀井社長。
一つの塊になったところで、2人も捏ねに挑戦。「くっ…重い…」となかなか腰が入らない。
「よし、変わろう」年季の入った手つきと腰つきで、あっという間に艶のあるきれいな“dough”を作りきってしまう堀井社長。
「完成です。では“のし”ますよ」二つ目の“のす”作業に突入した。
切るほどに上達するそば切り!
板の上に“dough”を置くと、堀井社長が江戸そばと田舎そばの違いについて語ってくれた。
「田舎のおばあちゃんが丸くのしたそばを打つ風景見たことある? 丸いまんまで切ると端っこは短くなって真ん中は長くりますよね。これは振る舞いそば。商売用のそばってのは、短いのや長いのがあっちゃダメなんだよね。1800年末期の江戸は、土地も人口も今より断然少ない時代に4000軒そば屋があって競争が激しかった。だから無駄をなくすこと、そしてなるべく均一に四角く“のす”のが江戸の使命でもあったんだ」
説明を聞いて、しきりに感心し、頷く2人。
まずは丸く“のし”て、“dough”を薄く伸ばす作業に挑戦してみるが、全くうまくいかない。
「だんだん形が崩れていくね、あとが大変になるよ(笑)。よし、切ることに専念しようか」堀井社長とチェンジ。
麺棒を使いながら見事な手さばきで、あっという間に四角にのしていく。
厚みも均一な四角になったところで、折り畳んでいく。これぞ熟練の技法だ!
折り重なった“dough”を見て「お~! すごい!」と同時に声をあげる2人。
「よし、次はお2人の作業。最初に見本でゆっくり切りますね」
堀井社長が、包丁を手にトンカチントンカチンと小気味よい音を鳴らしながらそばを切っていく。その技を真剣な眼差しで覗き込む2人。
切られたそばの幅は完璧! ここでも熟練の技が光る。
続いて2人も、指導を受けながらそば切りに挑戦。
しかし、幅がバラバラで均一にならない。しかも堀井社長のものよりだいぶ太い。
「包丁と板がぶつかるカチンという音を聞きながらやると、リズムで切れるようになるよ。このリズムが大事なの」と堀井社長。
すると徐々にリズムで切れるようになってきた。
「今、Tさん聞いた? チンチンチンチンって音鳴ったよね。これを“駒鳴り”と言うんだけど、うまくなる前兆だよ。よっ! マエストロ!」
粋な賛辞と拍手を送る堀井社長。Tさんの上達ぶりにKさんも一緒に拍手。
全てを切り終えたところで、激レア情報満載のそば打ち体験は終了。堀井社長がお手本で切ったそば(写真右)と自分たちが切ったそば(写真左)をおみやげ用に持ち帰る。
「さすがです…。やっぱり全然違う(笑)」
パックに詰めながらそうつぶやくバイトたち。確かに、その差は歴然!これぞ長年培われた職人技なのだ。一日でマスターできるほど簡単なものではない。
おみやげ用を詰めた後は、食べたい分量をこれから実食。茹でる作業を堀井社長が行っている間、ホールに出て席に着く2人。
すぐにそばが運ばれてきた。それぞれ自分たちの打ったそばに付箋が貼られている。
食べてみると「そば自体はとても美味しんですけど…太いです(笑)」とTさん。
「そば打ちセット買いたいです。もっとうまくなりたい」と悔しがるKさんであった。
開店直後から大忙しの接客業務!
そばを食べ終える頃には、開店時間10分前。
2人の次の業務は接客だ。
前掛けを外し、そば茶とお箸とおしぼりの出し方を教えてもらう。
「そばアレルギーの方もいらっしゃるので、お茶を出す時には必ず“そば茶でございます”と言うようにしてください」と説明を受ける。
暖簾がかかっていよいよ開店!
続々と来店してくるお客さん。広々とした店内はすぐに満席だ。
さっき受けた“そば茶”の説明も忘れずにお茶出しを行う。
お会計を済ませたお客さんの席を片付けるのも2人の仕事。連携してスムーズに席を片付けた。
接客に汗を流す2人。どれほどの時間が経っただろうか。少しずつお客さんの波が落ち着いてきたところで、本日の激レア業務が終わりを迎えた。
そばの歴史も学べた一日! もっとそばを好きになりました!
お店の方のご厚意で、頑張った2人には、メニューの中から好きなものをオーダーしていいことに。疲れた身体を癒すようにデザートを注文。そんな2人に今日一日を振り返ってもらった。
Kさん「職人技の素晴らしさ、またそれを習得する難しさを実感することが出来ました。そばの種類や地域による差というのは、歴史と深い関係があるというのを学べたのも収穫です。今日帰ったら早速、家族に僕が打ったそばを振る舞いたいです」
Tさん「田舎のそばと江戸のそばの長さの違いの話が印象に残っています。今まで意識したことがなかったですが、その理由を聞いて納得しました。自分が切ったそばは食べにくかったです(笑)。ただ今回の経験でそばをもっともっと好きになりました」
そば打ちは、一朝一夕では習得できないもの。しかし今日学んだことは大きな一歩となったのは間違いない。素材のいい2人が香り立つその日を楽しみにしたい。
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