【激レア 体験レポ】自分が撮影した写真が広告に!? 宝塚歌劇新作公演のPRをサポート!
古典の名作デュマの「三銃士」をもとに、演出家・小池修一郎氏が新たな発想で描く浪漫活劇『All for One』 ~ダルタニアンと太陽王~。
舞台は太陽王と呼ばれたルイ14世が治めるフランス。王のために立ち上がるダルタニアンの愛と勇気の冒険を、ともに戦う三銃士との友情を交えて描くロマンチック・アクション・ミュージカルだ。
本作品は宝塚歌劇団の月組トップスター珠城りょうさんが主演する月組公演として、2017年7月14日から8月14日まで宝塚大劇場、9月1日から10月8日まで東京宝塚劇場で上演される。
5月某日、本作の制作発表会が都内で行われ、その宣伝サポートバイトに二人の大学生が挑戦した。
宝塚歌劇の魅力を多くの人に伝えるお手伝いがしたい!

Mさん(左) Kさん(右)
採用されたのは、ある作品をきっかけに宝塚歌劇の舞台に触れ、その魅力にハマったというMさん(20)と、舞台が好きで宝塚に強い関心があるというKさん(20)。ともに大学三年生の二人だ。

Mさん「たまたま『ルパン三世』が宝塚で上演されると知り、劇場に足を運んだのですが、はじめて生で宝塚歌劇の舞台を観た時、実際の男性よりも男らしい男役の皆さんに魅了させられました。また、キャスト全員が主役のようで、一人ひとりの動きの美しさに感動しました。宝塚歌劇は敷居が高いと思っている男性の方も多いかもしれませんが、そんな方たちの背中を押せるよう、一生懸命PR活動をお手伝いしたいと思います!」

Kさん「大学で映画について学んでいるのですが、生ものである舞台には映画以上に魅力を感じています。舞台の宣伝は想像以上に難しく、その役割も様々だと思うので、今日は学ばせていただきながら少しでもお役に立ちたいです!」
プレス向けの制作発表が行われるホテルに集合したバイトたち。高級感溢れるホテルの雰囲気に圧倒されつつ、宣伝担当のスタッフさんにご挨拶。
まずは本日の任務と一日の流れを教わる。
二人が任されたのは、プレスに配布する作品紹介資料(プレスキット)の封入作業と、制作発表でのスチールカメラ撮影。撮影した写真は宣伝用の写真素材としてさまざまな広告物に使用されるというから、責任重大だ!
制作発表の進行スケジュールと、写真におさめなければならないカット、注意点についての説明を受ける。
真剣に話を聞き、頭に入れた二人が次に向かったのは会場の受付。早速プレスキットの準備へ。
まずはプレスキットの開梱作業から取りかかる。梱包を解くと、華やかなパンフレットが現れた。
このパンフレットに珠城りょうさん扮するダルタニアンのブロマイド写真を封入すると、プレスに配布するプレスキットの完成だ。プレスキットひとつとっても、宝塚歌劇ならではの美意識や作品の世界観が伝わってくる。
スタッフさんから作業手順を教わり、中身を確認しながら封入作業を始める。プレスキットはプレスの方々が各メディアで作品を紹介する際に必要な資料となるため、1点の不備も許されない。
慎重に手際良く作業を行った。
続いての業務はスチール撮影の準備。スタッフさんに案内され、制作発表会の会場に向かった二人。扉の中では舞台が組まれ、本番に向けた準備が進められていた。
リハーサル中の会場で撮影準備。細部に至るこだわりに脱帽!
演出家の指導のもと、舞台上ではキャストの皆さんがステージパフォーマンスのリハーサルを行っていた。
リハーサルの邪魔にならないよう、静かにカメラ撮影エリアに向かった二人。
Kさんはステージ向かって右側から、Mさんは左側からの撮影を任され、それぞれの担当エリアにカメラをセッティングした。
まもなく通しリハが始まり、二人は本番でおさえるべきカットをファインダー越しに確認。
パフォーマンス中、キャスト7名全員のソロショットを撮影する必要があるため、各キャストの動きを頭に入れていく。加えて決めポーズのカットもおさえなければならないので、一瞬も気を抜くことはできない。
通しリハが終わってもなお、音楽やキャストの動きに合わせた照明の最終調整が行われていた。演出家、キャスト、舞台スタッフが一丸となって、最高のパフォーマンスを目指す、その妥協しない姿勢に、二人も気を引き締め直すのだった。
開場時間が近づくと、二人は再び受付へ。
続々と訪れるプレスの方々をお迎えした。
いよいよ本番!宣伝用写真の撮影がスタート!
プレスが集まる会場に入った二人は、それぞれ配置についた。
開始時刻になると、司会の合図とともに舞台が暗転し、月組キャストによるステージパフォーマンスが始まった!
やはり本番ともなるとリハーサルにも増して熱のこもったパフォーマンスが繰り広げられていく。
右側担当のKさん。キャストの登場とともにソロショットをおさえていく。役になりきった出演者たちの一瞬の表情を切りとるためにカメラを左右に向けながら、キャストの動きに必死について行く。
パワフルな歌声に、息もつかせぬ殺陣……。約7分間の圧巻のステージが終わると、記者会見へと移った。ここでは登壇する出演キャスト4名の会見の様子を撮影する。
キャストがマイクを手にすると、時に笑顔で、時に真剣に、役や作品に対する思いを語る様々な表情を撮影した。
50分に及ぶ制作発表会も終盤に近づき、フォトセッションへ。
リハーサルなしで臨む本番一発勝負の仕事だ。速やかに舞台の手前に移動し、スタンバイする。
まずは出演者7名のショットから撮影。
出演者たちがまとうオーラや、目の前で見る華やかな衣装に圧倒されながらも、スタッフさんの「こちらに目線お願いしまーす」という呼びかけで、シャッターを切るKさん。
続いてはトップコンビのツーショットの撮影。
たくさんの取材陣に負けじとMさんも別の位置から撮影に臨んだ。
フォトセッションが終了し、お開きの時間に。二人は速やかに会場を出て、プレスの皆様をお見送りした。
感動が伝わるカットはどれ? 写真選定も責任重大!
プレスの方々をお見送りした後は、二人が撮った写真の選定へ。作品の宣伝のために、最も頭を使う時間だ。
ここで選ぶ写真は関西エリアの主要新聞各紙に掲載される公演の広告で使用されるもの。
実際に掲載される広告のデザインイメージを見ながら、載せるべき写真をスタッフさんとともに考える。
求められるのは、宝塚歌劇を見たことがない人にもその魅力が伝わり、かつどのような作品か想像できるような写真だという。特に印象に残っているシーンを思い出しながら、良いショットを探す。
「絶対に外せないのは、主演の珠城りょうさん演じるダルタニアンのかっこよさが伝わる写真」と、Mさん。
「ダルタニアンと三銃士の4人が剣を持って踊るシーンは、4人の動きがピタリと揃っていて綺麗でした。その場面なら宝塚のダンスの美しさがアピールできるはず」と、Kさんも広告で使いたいシーンを挙げていく。
しかし、剣で顔が隠れてしまっていたり、撮りが暗かったり、これだ!という写真がなかなか見つけられない。写真選びの難しさを肌で感じながらも、良い写真を探し続ける。
なんとか良いショットを見つけ出し、候補が出揃った。最終判断はスタッフさんに委ね、バイト終了の時間に。後日掲載される広告に期待を膨らませつつ、本日のバイトはお開きとなった。
任務を終えた二人に、今日の感想を聞いた。

Mさん「とにかくパフォーマンスでの歌声に圧倒されました。動きながら綺麗で力強い声を出せる技術は本当に凄いと思います。宣伝用の写真撮影では600枚ぐらい撮ったのですが、歌って踊るキャストの方たちの迫力を1枚の写真に抜き出すことはすごく難しいということが分かりました。写真を厳選するのも大変な作業で、勉強になりました。今日拝見したパフォーマンスは作品紹介のためのごく一部でしたが、それを観ただけでも興奮したので、実際の公演が本当に楽しみです」

Kさん「宝塚歌劇のパフォーマンスを初めて拝見して、映像では分からなかった歌唱力やダンスの素晴らしさを肌で感じることができ、実際の舞台はきっと素晴らしいものだと思いました。また、公演をPRするために多くのスタッフさんが関わっていることや、ネットやTVでどのようにしたら綺麗に映えるかということまで緻密に計算して舞台を作り上げていること知り、宝塚歌劇の凄さを実感しました」
そして後日、実際に新聞やフリーペーパーに掲載された広告がこちら!
二人が選んだ写真が採用されていた!
ダルタニアンと三銃士が剣を持って踊るシーンを発見!努力が形になるということも、この仕事で味わえる醍醐味の一つなのだろう。
華やかで美しいばかりではない、本格的なエンタテインメントである宝塚歌劇の魅力を世の中に届けるために、多くのスタッフが関わり、支えていることを学んだ二人。彼らの冒険も始まったばかりだ!
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