【激レア 体験レポ】アニメ「ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード)」の宣伝用イラスト発注!!
シリーズ累計160万部突破の大人気小説をTVアニメ化した「ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード)」。今回の激レア“アニメ”バイトは、本作の宣伝にふさわしい企画を考えて、イラストを発注するというもの。企画の内容次第ではグッズ化も期待できるという、まさに夢のようなバイトだ。
たくさんの人に楽しんでもらえるイラストを考えたい!
採用されたのは、自身もイラストレーターとして活動中のSさん(23)。
「普段は注文をいただく側なので、発注する方はどのようにスケジュールを決めて、イラストレーターさんに依頼しているのか知りたいと思い、応募しました。今日はどんな業務を行うのか未知数ですが、楽しみです。原作ファンの方はもちろん、初めての方にも楽しんでもらえるようなイラストを考えたいと思います!」
本作のアニメーション制作を手掛ける株式会社ライデンフィルムさんのスタジオにお邪魔したSさん。
イラスト発注業務を教わる株式会社KADOKAWAの担当プロデューサー・吉武真太郎さん(写真左から2番目)、株式会社ライデンフィルムの制作プロデューサー・田代雄一さん(写真左から3番目)、キャラクターデザイン・総作画監督の木村智さん(写真左)に迎えられ、ご挨拶。
いよいよ激レアバイトが始まった!
まずはイラスト発注の極意を教わる!
早速、吉武さんからイラスト発注の流れを教わる。
1枚のイラストを制作するのに、「発注ラフ」「ラフ」「清書」「完成版権」と、4つの工程を進める必要があり、発注から公開されるまで、1ヶ月~1ヶ月半かかるそうだ。
すべての工程において、原作側の監修チェックが行われるため、各工程でNGが出ないようコンセプトを考えることが、スムーズに進めるコツらしい。
「はじめに考えないといけないのは、お客さんに喜んでもらえるかということ。それから、たくさんの人に作業してもらうので、発注する側のイメージが明確じゃないと、最終的に完成したものと自分のイメージが離れてしまうことがあります」
ビジョンを明確にすることが大事だそうだ。
ここで、バレンタインの企画で制作した発注ラフを例に説明してもらう。
「キャラクターからチョコを貰えたら嬉しいだろうと考えた企画です」
大雑把なラフとともに、コンセプト、起用するキャラクター、各キャラクターの表情やポーズ、衣装、背景デザインなどのイメージが細かく書かれている。
ページをめくると、木村さんの作画によるラフが現れた。細かいニュアンスも汲み取られ、キャラクターの表情やポーズに反映されている。
さらにめくると、下書き線のない清書へ。
最後は完成版権が現れた。
「おお~、可愛い!」と大興奮のSさん。
田代さんからどんな絵が好きかと聞かれると、「こんなことを言ったら変態と思われるかもしれませんが……」と前置きしつつ、可愛い女の子が好きだと語るSさん。
特に太腿やヒップラインにこだわりがあると言う。そんなSさんを笑顔で見守る皆さん。
吉武さん「そういう情熱はすごく大事で、自分と同じ趣味のお客さんは必ずいると思うので、そこを活かしていただいて良いと思います」
Sさん「はい!」
好きで描いているという女の子の作品を見せ、その情熱をアピールするSさん。
「おお、艶っぽいですね~(笑)」
企画って難しい! でも水着は外せない!
まずはどのタイミングでイラストを出すべきかを考えることに。
Sさん「夏だったら水着かなと思ってたんですけど……」
吉武さん「夏にイラストを使うとしたら、何をしたら作品が盛り上がると思いますか?」
Sさん「7月なら海かな?って感じなんですが、8月だったら夏祭りとか浴衣がいいなと思いますし……」
吉武さん「自分がお客さんの立場だったら、どんなイラストがどんな形で届くのが一番うれしいかな?というのを考えてもらえるといいかなと」
自分が貰ったら嬉しいものとして、タオルやうちわ、Tシャツ、壁紙など、実用的なものを次々に挙げていくSさん。しかし、どれも真新しさがなく、あまり良い反応は得られない。
吉武さん「何をきっかけにイラストを出すといいと思いますか?」
アニメシリーズ放送終了記念の配布壁紙や、海の日の配布用イラストなど、様々な案を出しつつも、きっかけや用途は確定していないまま「水着」というキーワードは残し、起用するキャラクターの選定に移った。
「ルミアちゃんも入れたいけどシスティも可愛い。個人的にはクールなセリカさんが一番好きなんですけど……」
と、自分が好きな女性キャラクターを選ぼうとするSさんに、組み合わせの重要性を説明する吉武さん。ファンが求める最適な組み合わせというものがあり、ファンに違和感を抱かせないことも重要とのこと。
吉武さん「いきなりキャラクターから考えるのも難しいので、先にコンセプトを決めた方が、起用すべきキャラクターが自然と決まるし、一番いい絵になるんです」
その言葉を受けて、Sさんは間違いなく水着が似合うであろう「ルミア」「システィーナ」「リィエル」の3人を選んだ。
次は水着のイラストをどんなグッズで売るかという話に。
Sさんが男性ファン向けとして提案したのは、お風呂ポスター。それは今までに出していないとのことで、好感触を得ることができた。
吉武さん「じゃぁ、描きましょうか」
いよいよラフ制作だ!
プロの皆さんに見守られ、ドキドキのラフ制作!
ラフとは言え、プロの前で絵を描くのは相当なプレッシャーだ。
しかしすぐに集中してペンを走らせるSさん。
20分程かけて完成させた3パターンのラフをプロの目でチェックしてもらう。
恐る恐るラフを見せるSさん。
「これ他になくて良いですね。キャラクター3人の密度感がすごく良いし、それぞれの得意パーツが出ていて良いんじゃないですか?」と吉武さん。田代さんと木村さんにも好評だ。
評価が高かった1つの案(写真左上)を、さらにブラッシュアップすることに。
キャラクターの名前、表情、水着の種類、背景、アングルなど、イメージを書き出していく。
木村さん曰く、あまりかちっとした指定よりも「大体こんな感じ」とざっくりとしていた方が、書き手としては自由度が高く、楽しく描けるそうだ。
さらに20分程かけて細かい指示を書き込んだラフを皆さんに見てもらう。
「いいんじゃないですか? 普段よりもすごく分かりやすい(笑)」と木村さん。
吉武さんも「これなら監修も要りませんね。本当はもっと修正があった方がいいんでしょうけど(笑)」と、あっさり終了。胸をなでおろすSさんだった。
Sさんによる発注ラフはこちら。
この後はKADOKAWAさんから正式に木村さんへ発注し、1ヵ月後ぐらいに完成するとのこと。その1ヵ月は、Sさんにとって至福の時間となるのだろう。
ラフ発注業務を無事に果たしたSさんに、感想を聞いた。
「一枚のイラストができるまでの工程があんなに大変で、多くの人が携わっているとは知りませんでした。発注の際はやっぱりお客さんのことを第一に考えているという姿勢が伝わってきたので、私も今後イラストを描く際はお客さんがどうすれば喜んでくれるかということを第一に考えたいと思います!」
プロの姿勢を学び、イラストレーターとして気合を入れ直したSさん。この先、多くの人の心を掴んでいくのだろう。
・・・そして後日、プロの手によって制作されたラフ・清書・完成版権がこちら!
作画……木村智 Kimura Satoshi
仕上げ……大西峰代 Onishi Mineyo
特効……古市裕一 Furuichi Yuchi
フィニッシュワーク……齊藤崇夫(グラフィニカ) Saitoh Takao (GRAPHINICA)
まずはラフ画から。
夏を連想させる風景はもちろん、各キャラクターの表情やしぐさも見事に反映されている。
そして、清書がこちら。
まるで今にも動き出しそう…?
最後に、すべての処理が施された完成版権がこちら。
キャラクターの笑い声や水しぶきの音が聴こえてくるようだ。ファンの皆さんも、きっと笑顔になってくれるにちがいない。
このイラストが将来どのように活用されていくのか、期待が膨らむばかりだ。