足が臭い原因は菌?一瞬で消す方法や自宅でできるニオイ対策を専門家が解説
学校やバイト先、遊びに行った先で急に靴を脱ぐ場面があると、自分の足のニオイが心配になることはありませんか?そこで、足が臭う原因、出先で簡単にニオイを消す方法やセルフケア方法について、東海大学理学部教授・関根嘉香先生にお聞きしました。
足が臭くなる原因とは
足のニオイの原因は、大きく分けると「蒸れ」と「疲労」の2つがあります。詳しく解説していきます。
足の蒸れで菌からニオイの元が出るから
足の臭いでよくある原因の1つは、足が蒸れることで、皮膚の表面にある菌からニオイ成分が発生することです。通常、皮膚の表面には常在菌が存在しますが、その皮脂常在菌が靴の中の蒸れによって発生した汗や皮脂、垢を餌にして食べ、分解することによって発生したイソ吉草酸という成分が、いわゆる「足の臭い」になります。このニオイは皮膚の表面にあるため、石鹸等で足を洗えば落ちるものです。
体の疲労による臭い物質が出るから
もうひとつは、「疲労」によるアンモニアの臭いです。ツンとしたニオイが特徴で、体内で発生したアンモニアは通常は肝臓で尿素に変換されますが、疲労が過度になると尿素に変換できず、血液に混じって皮膚から放出されるため、石鹸で洗い流しても消えません。筋肉の疲労や肝臓の疲労、心の疲労などによって過剰に発生すると言われ、極度の緊張やストレスなどで臭いが強くなります。
普段履き慣れない靴を履くことによる足の疲労や緊張からアンモニアが分泌されやすくなることもあります。
外出先で足のニオイを一瞬で消す方法
では、靴を脱いだ時のあのモワっとしたニオイを消すには、どうしたらよいのでしょうか?外出先で足のニオイを消したいというときに効果的な方法を3つ紹介します。
重曹水スプレーを噴霧する
外出先で靴を脱ぐシチュエーションでも、足のニオイを消してくれる即効性のある対策方法の一つに、「重曹水スプレー」があります。弱アルカリ性である重曹には足のニオイを中和する働きがあります。作り方は簡単で、水1Lあたり重曹20gを溶かしてスプレーボトルに入れるだけ。靴を脱いだ時に噴霧すればニオイを消してくれます。重曹水は無臭で靴へのダメージが少なく、低コストでできるのもメリットです。
アルコール消毒をする
ストッキングや素足の場合は、足裏をアルコールティッシュで拭いたり、スプレーを噴霧すると靴の中の菌の増殖を抑えてくれます。手指消毒用としてアルコールティッシュやスプレーを持ち歩いている人は、それを足の消臭にも使うといいでしょう。ただし、アルコールは靴やストッキングなどの生地が傷む場合があるので、注意しながら使用しましょう。
靴下を履き替える
確実にニオイの元を断ちたい!という人は、靴を脱ぐタイミングで靴下を履き替えるというのもおすすめです。どうしても足のニオイが気になるシーンでは、スペアの靴下を持っておくといいでしょう。
自宅でできる足のニオイ対策
次に、自宅で簡単にできる足のニオイ対策について紹介します。
靴をよく乾燥させておく
まずは、菌を増殖させないために靴を乾かしておくことが大切です。そのためには、普段履く靴はなるべく2足以上用意してローテーションするようにしましょう。自宅で靴を脱いだら重曹水スプレーを噴霧したり、天日干しをして1日休ませるとニオイが発生しにくくなります。天日干しが難しい場合は、シリカゲルや使用後の使い捨てカイロを靴の中に入れておくのも効果的です。
靴のニオイを取る
靴自体のニオイを取ることができるアイテムにはさまざまなものがありますが、身の周りで簡単に手に入るものでは、10円玉やわさびを使う方法があります。10円玉の銅イオンは、菌の増殖を抑えてくれる効果があります。10円玉を靴の中に2枚ずつ、つま先とかかとに4枚置くだけで殺菌効果が期待できます。
わさびは、含まれる成分がニオイの元となる菌にアプローチして増殖抑制効果があるといわれています。使い方は、わさびを布袋に入れて靴の中に入れておくだけでOKです。
足のサイズに合う靴を選ぶ
蒸れを防ぐためには、足のサイズに合う靴を選ぶのが大切です。サイズが大きいと、靴の中に空気が溜まり、蒸れの原因になります。靴を選ぶ際は、きちんと試着して足にフィットしたものを選びましょう。
蒸れの原因には、サイズだけでなく素材も関係しており、本革が最も蒸れにくく、次に布製のスニーカーもニオイが発生しにくいということがわかっています。人工皮革のブーツやスニーカー、ムートンブーツなどは蒸れやすくニオイが発生しやすいので、これらを履く際には靴下や中敷きなどで対策しておくのもおすすめです。
靴下は消臭効果やドライ素材のものにする
蒸れ対策には、消臭効果やドライ素材の靴下を履くのも有効です。ストッキングやタイツは靴下に比べると薄手で蒸れやすく、ニオイが発生しやすいので、中敷きを敷くことで蒸れを和らげることができます。中敷きの素材は、吸湿性に優れた本革、消臭効果やドライ素材のものを選ぶと良いでしょう。
足を石鹸で洗う
菌が増殖しないために、足を石鹸でしっかり洗い、清潔にしておくこともとても大事です。
「蒸れ」によって菌が発生させるニオイは足を石鹸で洗えば落ちますが、洗ってもツンとしたニオイが残る場合は、「疲労」によるアンモニアのニオイの可能性も。その場合、皮膚の表面を洗ってもニオイは落ちないので、体内からのアプローチが必要になります。
食事や睡眠、運動など生活習慣を整える
食事や睡眠、適度な運動など生活習慣の改善によって、体内で発生するアンモニアを抑制することができます。
食事では、腸内の善玉菌を増やす発酵食品や食物繊維豊富な食材を摂り、腸内環境をととのえることが大切です。また、夜は入浴でしっかりと身体を温めてから寝ることで、睡眠の質を向上させましょう。
運動不足だと少しの運動でも筋肉疲労につながり、体内にアンモニアが発生しやすくなります。朝起きたら軽い運動をして汗を流してから通勤・通学をするなど、日ごろから運動をして汗をかく習慣をつけて、疲労が溜まりにくい身体づくりを心がけましょう。
洗っても足が臭い場合は健康状態を改めて確認を
足を石鹸で洗ってもニオイが気になるという人は、ストレスを抱えていたり、肝臓など内臓に疾患がある場合もあります。自身の健康状態を改めてチェックしたり、健康診断の結果を確認してみて、足の臭い以外にも身体の不調に心当たりがある人は、医療機関の受診を検討してみてください。
関根嘉香(せきね・よしか)先生
東海大学理学部化学科 教授
人と自然と物質が共存する心豊かな社会づくりを目標に、皮膚ガス研究をはじめ、環境と健康の化学に関する研究・教育活動を行う。
取材・文 金井さとこ
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。