期間限定を年中食べたい！　月見バーガーを自宅で再現する

月見バーガーというものがある。マクドナルドが基本的に9月〜10月初旬のあいだだけに販売している期間限定のハンバーガーだ。月に見立てた卵やベーコンなどにオーロラソースがマッチした逸品。

月見バーガーはかなりの人気で、発売から25年たった今でも多くの人がこの時期を楽しみにしている。現役の大学生のなかにもファンは多いだろう。

できるならば1年中この月見バーガーを食べたい。どうにかすることはできないだろうか。

期間限定の魅力

1年の1カ月だけ繰り広げられる自然界の神秘、と言われると貴重なことに思える。NHKがアラスカあたりで時間をかけて撮影に挑む感じがする。それと同じことが我々の身近でも起こっている。それがこれだ。
 

発売から25年らしいので、もはや説明はいらないと思うけれど、ゴマの振られたバンズに、牛肉100％のパテとベーコン、月に見立てた卵が特製のオーロラソースと共に挟まれたものだ。

美味しいのだ。発売から25年も毎年販売されるということは、そういうことなのだ。だからこそ毎日でも食べたい。1カ月の期間限定なんて嫌なのだ。ただマクドナルドに通年で売って、とお願いしても無理だろう。となるともう自分で月見バーガーを作るしかないのだ。

自宅で作る

月見バーガーを家で作りたいけれど、全く作り方が分からなかったので、料理に心得があり、私が気軽に頼める人として選考した結果、上記のパティシエに頼むことにした。彼は大手のお菓子会社で商品開発を行い、今は自分のお店の出店準備中だ。

このパティシエは私の弟である。月見バーガーを食べた結果、75％くらいの再現度なら可能と言ったので、頼んだのだ。ひとり暮らしの学生の自宅で簡単に作れること、とお願いしたので、誰でも再現できるレシピになるはずだ。

弟の月見バーガーの分析によると、バンズは「グルテンが弱く、水分量を増やして歯切れをよくしている」とのこと。そのために普通は強力粉を使うけれど、20％ほど薄力粉を入れるそうだ。私には全く何を言っているのかわからないけれど、そうらしい。

強力粉、薄力粉、砂糖、塩、イースト菌を混ぜて水を加えてこねる。ある程度、グルテンができたところでバターを入れてまたこねる。「バターを最初から入れた方がグルテンができないけれど、なさすぎるのも美味しくないから後から入れる」と言っていた。「だよね」と全然わかないけど私は相槌を打った。

27度で発酵させる。倍くらいの大きさになればいいそうだ。ちなみに弟は27度を作るためにお風呂場で熱いシャワーを出して（ある程度したらシャワーは止める）室温を高くして、そこに生地を置いていた。世の中にはいろいろなライフハックがあるのだ。

これを4等分にして少しこねて、二次発酵をさせる。これも先ほどと同じく27度なので、お風呂場に放置していた。お風呂にはいろいろな使い道があるのだ。そして、発酵が終われば、卵をハケで表面に塗り、ゴマを振って、180度のオーブンで30分だ。

パテを作る

次はパテを作る。パテは牛肉100％なので、牛ミンチに塩、コショウ、ナツメグ、ブラックペッパーを少々加える。比率として塩などは全部同じでいいそうだ。ちなみに弟はパティシエなのでパンは専門分野ではあるが、パテは専門外らしい。言葉数が減っていた。
 

形作った後に、コショウを振りかけるのがポイントらしい。確かに後でよく月見バーガーのパテを見るとコショウが振られていた。よく観察している。75％の完成度は約束されているのではないだろうか。

ソースを作る

今年から月見バーガーは二代目となり、オーロラソースのコクが極まり、より濃厚になったらしい。これを再現しなければならない。甘いものを作る専門のパティシエが甘くないソースを作るのだ。
 

ケチャップを多く入れるのがポイントだ。本物と比べると色が濃いソースになるのだけれど味はものすごく近くなる。また少量のレモン汁とニンニクオイルを入れるのも大切。酸味とコクがこれで生まれるらしい。

組み立てる

最後に卵とベーコンを焼くのだけれど、これは特別なことはなく、スーパーで買ってきた普通のベーコンを普通に焼いて、卵はセルクルを使い焼いた。厚みを出すためだ。黄身を割ってから焼く方が本物に近づく。
 

月見バーガーを研究した結果、まず上のバンズにソースを塗って、その上にベーコン、卵、パテを起き、最後に下のバンズを置いて、包めば月見バーガーが完成する。今回は紙に包むため上のバンズから行ったけれど、お皿なら下のバンズから初めても問題ない。

自家製月見バーガー

雰囲気を出すために本当の月見バーガーの紙に包んでみた。どんな月見バーガーができたとしても、これで包んでしまえば、月見バーガーに見えるので、最悪その手でいいかもしれない。ただ今回はキチンとできたのだ。

ちょっと厚みが出てしまった。ただ味がよければいいじゃない。味が似ていればいいじゃない、と弟が言っていた。確かに大切なのは味だ。見かけより中身なのだ。恋人もそうじゃない、性格が重要じゃない。そういうことなのだ。

75％は間違いない！

このレシピで75％の再現に成功した。弟の宣言通り75％だった。ソースとかほぼ一緒だ。何が違うかと言うと、バンズの表面である。作ったバンズは表面がパリッとしていた。そこが本物の柔らかさではない。弟曰くもっと蒸らせばよかったな、とのこと。ということで、蒸らしてください。あとこれ3時間ほどかかっています。買った方が断然らくです。年中買えないけど。

文：地主恵亮

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