スマートフォン用サイトを表示

アルバイトや転職に役立つ情報が満載!最新のお仕事ニュースなら【タウンワークマガジン】

2023年07月24日

ラランド・ニシダさんが選ぶ、大学生におすすめの本。想像力を広げることができる3冊

ラランド ニシダ インタビュー タウンワークマガジン townwork男女お笑いコンビラランドのツッコミ担当のニシダさん。高校生のころは図書館にこもって本を読んでいたというほどの愛読家。そんなニシダさんに、ご自分の学生時代の経験を踏まえて、大学生におすすめの本を3冊選んで紹介していただきました。

 

もう1回読み返して面白いのが純文学

――今日は3冊の本をお持ちいただきましたが、拝見すると、けっこう赤いラインを入れているんですね。ニシダさんが愛読家だというのがよくわかりました。

表現がカッコよかったり、いいなという部分に線を引いて、そこをノートに書き起こしたり、というのはしてますね。ただ、線がめっちゃ引いてあるからといって面白い小説とも限らないし、全く線を引いてないけど、すごい良かったという小説もあるので、不思議なんですけど。

ラランド ニシダ インタビュー タウンワークマガジン townwork――純文学がお好きということですが、いつから読むようになったんですか?

高校時代からですね。友だちもいないので、授業もサボって図書館に通い続けて読んでました。太宰治もそうですし、さっき(赤いラインが入っている本)の志賀直哉もそうですし。最初は文章がカッコいいな、ぐらいの感じで読んでたと思うんですけど、でも今となって、読んでて良かったなと思うし、いつになっても、もう1回読み返して面白いのが純文学だと思うので、今でも読み続けてます。

ラランド ニシダ インタビュー タウンワークマガジン townwork――今回は大学生に読んでもらいたい本という観点で3冊を選んでもらいました。

大学って、急に服が自由になったり、朝何時に起きても良いっちゃ良いし、割と全て自分の好きにできるようになるタイミングだと思うんですけど、自由にしていいよって言われたときに、うまくできないことが出てくる気がするんです。そこでこの作品の世界に触れると、視野が広がるというか、あ、こういう人もいるんだ、ということを感じ取れると思います。想像力が広がるきっかけになるんじゃないかなと思って選びました。

 

インテリジェンスが極まったらこんなにカッコいい

ラランド ニシダ インタビュー タウンワークマガジン townwork

『人間の建設』小林秀雄・岡潔

批評家の小林秀雄さんと世界的な数学者の岡潔さんによる対談本なんですけど、未だにあんまり意味が理解できない本です(笑)。でも、インテリジェンスが極まったらこんなにカッケーんだなというのを感じられます。

例えば、「1という概念」という話をしてるんですけど、最初は、奈良の話から入って、手に持っていたパンを鹿は持っていっちゃうよねって話をしているんですけど、次のページになると、急に数学における「1という概念」って話が始まるんです。「子供が自然数の1を知るのはだいたい生後18ヶ月と言って良いと思います」って、どうやって調べたのかわからないけども(笑)、そこから理性とは、肉体とはと展開されて、本当に一つもわからない(笑)。意外と「うまい酒まずい酒」みたいな話もしてたり、とっつきやすい部分もあるんですけど、全体の展開がすごい。

このお二人の会話って、アインシュタインが出てきたり、万葉集の話が出てきたり、江戸時代の文学の話が出てきたり、これだけ勉強してる人たちが話すと話題の広がり方はこうなるんだ、というのを感じさせられます。知の到達点にいる二人の会話を味わえる本ですね。

 

「普通」がうまくできない人が読むと、気持ちが楽になる

ラランド ニシダ インタビュー タウンワークマガジン townwork

『コンビニ人間』村田沙耶香

「芥川賞」受賞作ですね。少し前の作品(2016年刊行)ですが、大学生のうちに読んで欲しいなと思います。

この本は「普通」とは何なのかを考える作品だと思います。「普通」には生活していけない主人公なんですけど、コンビニ店員としてだったら、うまく生きていける、コンビニなら溶け込める、みたいな人で、そういう「普通」がうまくできない人が主人公の作品なので、これを読むと、少し気持ちが楽になる人もいるだろうし、そういう人がいるんだなと、想像力を働かせることで、誰かを思いやれたりもするんじゃないかなって思うんですよね。僕自身、大学生の時にこれを読んで衝撃的でした。

 

どの時代、どの年代になっても感じ取ることができる作品

ラランド ニシダ インタビュー タウンワークマガジン townwork

『和解』志賀直哉

1917年の作品です。主人公はお父さんとものすごく仲が悪かったんですけど、自分の子供が亡くなったタイミングで父親と仲良くなれるという…ざっくりそういう話なんですけど、大学生って、ちょうど親と難しいタイミングじゃないですか。

中学生、高校生ほどは縛られてないけれども、就活どうするんだなど親との微妙な関係性はある。自分自身も大学2回中退して何も言わず芸人になって、今も実家は出禁状態なんですけども、大学生のときにこの『和解』を読んで、ちょっと希望を持てるなって思ったんですよね。

当時から両親のことはあまり好きじゃなかったんですけど、でも、いつか何かのタイミングで親と仲良くなれるんじゃないか、何かのタイミングが来るんじゃないかと。これは親子だけじゃなく友だちにも通じることで、将来への希望の話だと僕は思うんです。だから、早めにだから読んでおいたほうがいいと思ってます。十代のときに読んでおくと、10年経ったときの感じ方変わるはずだと思うんですよね。親が死んでから読んだらもっと変わるだろうし、自分が親になったらもっと変わる。どの時代、どの年代になっても感じ取ることができる作品だと思うので今のうちに、と思います。

 

ネタは書かないんですけど、小説は書きたい

ラランド ニシダ インタビュー タウンワークマガジン townwork――そして、ニシダさんの初の小説集『不器用で』が発売になりますね。

今回、3冊今挙げましたけど、大学生に読んでほしい本で言うと『不器用で』が一番です(笑)。

――角川の『小説 野生時代』で書かれていたものが1冊に。

2ヶ月に1本短編を書いていくという生活をして、ある程度たまったので1冊にしていただけるということになりまして。最初に「アクアリウム」という短編を書いて、それが高校生ぐらいの子の話で、次に「遺影」という中学生の話を書いたんですけど、主人公の系統が1個に絞られちゃうなと思って、女性の主人公のものや、おじさんが主人公のものを書いていったところ、結果としていろんなタイプの話がそろったので、いろんな人にどれかグッと共感してもらえると思ってます。

――「遺影」という作品での団地や細かな描写も魅力的でした。

団地が舞台なんですけど、いろいろな人から話を聞いて、細かく調べました。そういう作業も含めて楽しかったですね。

――今後も執筆への思いは。

もちろんありますよ。書き始めてますし。ネタは書かないんですけど、小説は書きたい。ラランドはネタ書いてるほうが音楽やって、書いてないほうが文章書いてますから(笑)。やっぱり小説は書いてて楽しいなと思うんですよね。引き続き書いていきたい。そのためには何が必要かというと、今回の本がいっぱい売れると次の話が来るということですので、よろしくお願いします(笑)。今、この記事を読んでるあなたに語りかけてます。

 

■Profile
ニシダ

お笑いコンビ「ラランド」のツッコミ担当。1994年7月24日生まれ。山口県出身。ドイツ、スペインでの生活経験があり帰国子女。2014年にボケのサーヤとラランドを結成。2018年、2019年M-1グランプリ準決勝進出。読書家で自らも小説を執筆する。7月には小説集「不器用で」がKADOKAWAから刊行される。

◆ラランドOfficial HP:https://www.lalande.jp/about
◆Twitter:@mouEyo_Nishida

■著書紹介
ラランド ニシダ インタビュー タウンワークマガジン townwork
『不器用で』
著書:ニシダ
1760円(税込み)
KADOKAWA 刊
2023年7月24日発売

年間100冊を読破、無類の読書好きとして知られるニシダがついに小説を執筆。繊細な観察眼と表現力が光る珠玉の5篇。

https://www.amazon.co.jp/dp/4041131138

企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:田部井徹

早速バイトを探してみよう