Aマッソ・加納愛子さんが選ぶ、大学生におすすめの本。人に興味を持つ取っ掛かりになる作品3冊
お笑いコンビAマッソのツッコミ担当の加納さん。実家にたくさんの本があり、幼少の頃から歴史小説、ミステリー小説などに親しんできたという愛読家の加納さん。ご自分の学生時代の経験を踏まえて、大学生におすすめの本を3冊選んで紹介していただきました。
大学生の人が読むとより生々しく感じられる
おすすめの本①『君が手にするはずだった黄金について』 小川哲
小川さんご本人を思わせる人物が主人公の短編集です。表題の『君が手にするはずだった黄金について』は、久しぶりに会った友だちが、金回りが良くなっているけどちょっといかがわしくなってるな……みたいなところから物語が始まっています。この物語は、何かを成しとげようとしている、野心家の欲望が冷静に描かれています。私はこの歳になって読んだから、落ち着いて読めたんですけど、学生時代に読んでいたらどう思っただろうなと思いますね。
だから、おすすめというよりは、みんなの感想を聞きたいなと思う作品です。読んでもらったらわかるんですけど、このタイトルにある「黄金」というのは、「才能」のことだったということにたどり着くんです。手にしたかったのは出世や富じゃなくて、「才能」だったんじゃないかみたいなことを考えさせる話で、大学生の人が読むと、より生々しく感じるんじゃないかと思います。
この年代って、いろんな才能に憧れて、でもだんだん気づいてくるじゃないですか。この才能はないんだな、この才能は人より劣るんだなとか。でも、才能がないのは気づいてきたけど、まだ欲しがってるな、という部分もあって、そういうリアルな思いを書いてくださってます。才能というそもそも形として見えない、わからないものを目の前に突き付けられる1冊です。
歴史小説は他人に興味を持つきっかけになる
おすすめの本②『夏草の賦』 司馬遼太郎
戦国時代の四国を収めた長曾我部元親の話です。土佐の田舎から出て、ようやく四国を治めたんですけど、結果、信長に取られるみたいな。雑な説明で申し訳ないんですけど(笑)、ものすごい勢いで伸びていった男が最後は…、という儚さが描かれてます。
私は20歳ぐらいで司馬遼太郎さんにハマって、そこから20代前半にかけてずっと時代小説を読んでたんですけど、戦国時代ってすごく命が軽いんですよね。今の時代は一人一人の命を大事にする。それはもちろんいいことだし、平和だからそういうふうになったんだけど、今の時代がこういう状態になっているのは、こういう時代を経て繋がってるんだ、というのが歴史小説を読むとわかりますね。
「他人に興味を持つ」ということが出来たのは歴史小説を読んでいたからという気がしいてます。昔の人のプロフィールを読んでるみたいで、読むとどんどん人物に興味が持てる。私、友だちの親の話とか兄弟の話とか、好きなんですよ。それに似てるんすよね。こんなやつなんか~、とスッと入ってくる。歴史小説の中でも司馬遼太郎さんは、人物の性格描写が多いので、人に興味を持つということの取っ掛かりになるんじゃないかなと思いますね。
本の自由さを知ってほしい
おすすめの本③『傾いた世界』 筒井康隆
筒井さんらしい不条理な世界を描いた短編集です。表題の「傾いた世界」は、ある町がちょっとずつ傾いていくんですけど、それでも住んでる人たちが選挙のことで揉めてたりしていて、その間も町はどんどん傾いていくという、皮肉めいた話です。
この本は文章の面白さですね。本って感動ストーリーとか、ラストのどんでん返しみたいなところが注目されがちですけど、これはそういうことじゃなくて、言葉を遊んでいる面白さなんです。こういう言葉で遊んでる感じは、今の小説にはあまりないような気がするので、触れてもらったらいいんじゃないかなと思います。
しかも、ちょっとその表現が危なかったりするんですよね。今って皮肉とかって、コンプライアンスとかでけっこう取り扱い注意のところがある中で、筒井さんは思う存分書いてるんですよね。女性をめちゃくちゃ“女”として書いてたりするんですよ。今の人はできないかもしれないけど、本はこうやって形として残り続けるので、読むことで、本の自由さを知ってほしいなと思います。別に差別的なことを助長するということではなくて、文化として、これを経て今があるというか。文学の変遷みたいなものも感じてもらえると思いますし、その衝撃を受けてほしいなと思います。
若い時から興味を持つジャンルを絞ることはない
――加納さんが本好きになったきっかけは?
家に本がたくさんあったし、図書館によく行ってましたし、本が身近な存在だったというのが大きかったです。本も音楽もそうですけど、すぐにパッと手に取れるかどうかが好きになるきっかけだと思うので。
――エッセイや小説も書かれる加納さんですが、文章を書く上で影響を受けた作家は?
私は完全に翻訳家の岸本佐知子さんリスペクトなので、岸本さんの影響は受けてますね。岸本さんの文章はエッセイもそうだし、翻訳されているものも、設定の大喜利感、言葉遣いの大喜利感みたいなものがあって、ある意味芸人的な能力で文章を書いている方だと思っています。
――発売されたばかりのエッセイ集『行儀は悪いが天気は良い』。連載をまとめたものですが、どんなことを意識して書かれた作品ですか?
芸人として、という部分も書いてますけど、そこを取っ払っても読んでもらえるように意識したつもりなので、自分たちのファンの方以外にも読んでいただけたらと思いますし、最近あまり本を読む習慣がないという方にも気軽に読んでもらえたらなと思います。読んで自分の記憶と重ねてみたり、共感していただけたら嬉しいですね。
――20歳前後のこれから社会に進んでいく方に、これを大事にしたほうがいいというアドバイス、メッセージをいただけたらと思います。
例えば今はオタク文化が大きくなって、一つのものに絞って文化を摂取するということが主流になってると思うんですけど、それってすごくいろんなことが先細ってしまうと思うんです。音楽にも触れていたほうがいいし、映画も観たほうがいいし、本も読んだほうがいい。学生の頃からジャンルを絞る必要は全くないし、若い時から狭くしないで欲しいなという気がします。
🎁X(旧Twitter)プレゼント実施中🎁
今回のプレゼントは・・・
Aマッソ・加納愛子さんの直筆サイン入りチェキを抽選で1名様にプレゼントします! 「タウンワーク」公式X(旧Twitter)をフォローのうえ、指定ポスト(Tweet)をリポスト(RT)して、応募してください。
1.「タウンワーク」公式X(旧Twitter) (@townworknet) をフォロー(既にフォローしている場合も対象です)

2. 指定ポスト(Tweet)(下記参照)を、リポスト(RT)
2023年12月27日(水)〜2024年1月2日(火)23:59 まで

#Aマッソ の #加納愛子 さんが選ぶ✨
大学生におすすめの本📚人に興味を持つ取っ掛かりになる作品3冊を紹介☺️📸サイン入りチェキ🎁
▼応募方法
1.@townworknetをフォロー
2.この投稿をリポスト(RT)
☑️1/2(火)〆切▼記事こちら👀https://t.co/V9CEakT8Jo@amasso_official #タウンワークマガジン
— タウンワーク (@townworknet) December 27, 2023
※キャンペーンについてその他詳細はコチラをご確認ください。
加納愛子(かのうあいこ)
1989年生まれ大阪出身。2010年。幼馴染の村上愛とお笑いコンビ「A・マッソ」を結成し、デビュー。趣味は愛読家で自らも小説、エッセイを執筆する。2016年M-1グランプリ準決勝進出。2022年「女芸人No.1決定戦 THE W」決勝進出。
◆Aマッソプロフィール:https://www.watanabepro.co.jp/mypage/4000073/
◆X(旧Twitter):@amasso_official
◆A・マッソYouTube:https://www.youtube.com/@amasso
◆A・マッソTikTok:@amasso_ch
◆Aマッソ加納のキウイチャンネル:https://www.youtube.com/@kano_kiwi_amasso
◆A・マッソInstagram:@a.a.a.masso
加納愛子 著
1,540円(税込み)
新潮社 刊
発売中
https://www.amazon.co.jp/dp/4103553715
加納愛子3作目となる短編小説集。生まれ育った大阪から多感な学生時代、芸人としての日常まで、懐かしくて恥ずかしくて、誇らしくて少し切ない24編を収録。
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:田部井徹
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。