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2015年07月22日

やりたいことが多すぎてひとつに選べない【精神科医・名越先生のカウンセリングルーム】

Twin sisters thinking

テレビでおなじみの精神科医・名越康文(@nakoshiyasufumi)が心の悩みにズバッと答える! この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

お悩み:やりたいことが多すぎてひとつに選べない

21歳、大学生女子です。昔から趣味が多く、次から次へと手を出すタイプでした。読んでない本がたくさんあるのに次から次へと買ってきてしまったり、録画したドラマや映画も溜まっています。料理や食べ歩きもしたいし、英語の勉強も……など、あれもこれもやろうと思うと、全てが中途半端になってしまいます。
そろそろ進路をきちんと考えなくてはいけないのですが、調べているうちにいろんな業界に興味が湧いてしまい、まったく方向が定まりません。やはり、何かに絞って行動すべきなのでしょうか?それとも、寝る時間を削ってでもすべて気が済むまでやってみたほうがいいのでしょうか?

「選ぶ」立場で就職活動をやってみては?

就職活動では、「とにかくどこでもいいから、ちょっとでも条件のいいところに就職したい」という切羽詰まった悩みがある一方で、実は質問者の方のように、「本当に自分に合った仕事に就けるかどうか」という点に不安を覚え、悩んでおられることも多いようです。一見、贅沢な悩みに思えるかもしれませんが、本人としては、まだ仕事に就いたこともない段階で、これから何十年と続くであろう仕事人生に不安を覚えるというのは、無理からぬことだと思います。

こういう場合、自分に合った仕事を「選ぶ」という捉え方からいったん離れて、「選ばれる」という観点から、ご自身の就職活動を捉え直してみることを、僕はお勧めします。

就職活動の本質は「選ばれる」ところにある

そもそも、就職活動の本質は「選ぶ」ものではなく「選ばれる」ところにあります。例えば高校や大学の入試であれば、試験によって「その学校で勉強するにふさわしい学力がある」ことを認められ、学費を払いさえすれば、入学を拒否されることはありません。そういう意味では、高校や大学は、あなたが「選ぶ」ことができるものです。

しかし、就職活動は違います。あなたがいかに高学歴で、高いスキルを持っていて、容姿端麗で人当たりもいい、非の打ち所のない人材であったとしても、その会社があなたを「雇わない」と決めたら、あなたはその会社に入ることができないのです。

逆に、あなたのほうはいまひとつピンときていない業界で、仕事の内容もよくわからない。自分にその会社の仕事ができるのかもまったく判断がつかない状態であったとしても、その会社があなたのことを「欲しい!」と思ったら、あなたはその会社に入ることができるわけです。

そういうものなんです。就職活動というのは、あなたがこれまでの人生で経験してきた、入学試験や資格試験などとはかなり異なるシステムです。このことは、頭に入れておく必要があると思います。

進路に迷うなら、「より求められる」会社に入ってみる

Concept for multi-ethnic business team
もう一度申し上げます。就職活動の本質は「選ぶ」ものではなく「選ばれる」ところにあります。もちろん、職業選択の自由はありますから、あなたにとって、まるで興味のない仕事や、あまりにも条件の悪い仕事をわざわざ選ぶ必要はありません。でも、自分がそこそこ興味をもってやっていけそうな会社、仕事であれば、あとはあなたを一番熱心に求めてくれる会社に入れば良いと僕は思います。

少なくとも、いくつかの業界や会社の中で進路を迷っている、ということであれば、そこから先は自分で選ぶことにこだわる必要はない。相手に選んでもらえばいいのです。自分が興味を持っている業界や会社を上から3つでも5つでもピックアップして、順番に受けてみてください。そうすれば、たったそれだけの会社の間でも、面接担当者から発せられる「あなたが欲しい」というメッセージには、大きな違いがあるはずです。

入社試験だけではなく、OB訪問や就職説明会などでも同じです。会社の規模や、仕事内容や、給料や、休暇の取りやすさよりも、チェックしておくべきことは「その会社にいる人たちが、あなたを求めているかどうか」なんです。

一番あなたのことを歓迎してくれそうなところ、「あなたと働きたい」というメッセージを出してくれた会社に入る。もちろん自分なりに「この仕事をしたい」ということがはっきりと見えていれば別ですが、就職活動というのはそれくらいのスタンスで臨んでもまったく問題ないと僕は思います。

良い会社に出会うための可能性

こんなふうにお話すると、「人生の大切な選択を人任せにするなんて」と思われる方もおられるかもしれませんね。でも、これは単に「人任せ」にするわけではありません。あなたより経験豊富で、その分野の能力があり、一緒に働く相手を求めている人が、あなたを見て、「あ、この人、いいんじゃないかな」と直感した。その直感を信じたほうが、あなたが自分で判断して、自分で考えて選ぶよりも、あなたにとって良い仕事に出会う可能性が高い、ということなんです。

良い会社とのご縁があることをお祈りいたします。

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『Solo Time 「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(夜間飛行、2017)などがある。 2019年より会員制ネットTV「シークレットトーク」を配信中。

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