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2024年09月10日

人間関係リセット症候群とは?症状や原因、対処法などを解説

人間関係リセット症候群 townwork タウンワークマガジン「人間関係リセット症候群」と聞いて、人間関係をリセットしたくなる気持ちに身に覚えがあったり、自分もやりそうになると不安を感じている人は多いのではないでしょうか。SNSの普及によって常にたくさんの人と関係を築ける時代だからこそ、誰でも人間関係リセット症候群になる可能性があります。今回は「人間関係リセット症候群」とはなにか、なりやすい人や対処法について精神科医の益田裕介先生に伺いました。

人間関係リセット症候群とは?

「人間関係リセット症候群」には明確な定義はなく、医学用語ではありませんが、一般的には以下のような行動をいいます。

・SNSのアカウントをすべて閉じる
・LINEを一方的にブロックする
・連絡先を消去し、人間関係を絶つ など

リセットする人間関係は、アルバイト先だけでなく、学校の友人、親しい血縁関係なども含まれます。一時的に連絡を絶ってしまう人もいれば、長期で音信不通になってしまう人もいます。症候群というだけに、対象や期間は人によって異なるものの、「人間関係」をシャットダウンする行動をいいます。

どんな人が人間関係リセット症候群になりやすい?

では、どのような人が人間関係リセット症候群になりやすいのでしょうか。あてはまりやすい4つの特徴を解説していきましょう。

・不安、ストレスを感じやすい
・他人の目線を気にしてしまう
・自分にも他人にも厳しい人
・誰かに構ってほしいと感じている

現代の生活では、知っている人、知らない人含めて、多数の意見や評価、コメントなど、大量の情報に接しています。知らず知らずのうちに大量の情報を浴びることがストレスとなり、限界値を超えると人間関係を断ちたくなります。

また、自分や他人に厳しい人は、「仕方がない」などと受け止めることが苦手だったり、「負けたくない」などの気持ちから、人間関係を絶つという行動につながります。

反対に「自分を見てほしい」「心配してほしい」という思いから、連絡先を絶ってしまう人もいます。それまでの原因とは相反するようですが、「見てほしい」と「放っておいてほしい」という気持ちが同時に存在し、リセットにつながります。

人間関係をリセットしてしまう原因って?

原因には先に触れたような個人の性格・特性もありますが、一方、現在の環境や脳の成長、子どものころの体験にも原因があるといいます。具体的に見ていきましょう。

常に他人とつながっている環境

進学や進級などで友人と学校やクラスが変わるなど、自身を取り巻く環境が変わっても、SNSでの繋がりや交友はずっと続いていきます。そのため、どんな時でも人からの見られ方や自分の立場を意識させられたり、友だちが今どこで何をしているか、24時間ずっと目にできるようになっています。友人のキラキラした日常と自分の現実や立場を比較し自分自身を下に見てしまうことで、全てから逃げ出したくなり人との関係をいきなり切るような衝動的な行動を誘発します。

親子関係や育った環境

「人間関係リセット症候群」の原因には、親子関係や学校など育った環境も影響しています。親からの愛情が条件付きだったり(テストでいい点数を取ったら、良いことをしたら褒められるなど)、家庭でのしつけが非常に厳しかったり、学校やアルバイト先の環境が厳しいと、ものごとの捉え方が画一的になるといいます。柔軟な思考ができないと自身の些細なミスや想定外のことを受け入れられず、全てをリセットしたくなる衝動に駆られることがあります。

脳の成長による影響

そもそも、脳は30歳くらいまで成長します。そのため、前頭葉が成長しきっていない10代の脳は、感情の起伏が激しい、反抗的、同年代の目を過剰に気にする、構ってほしいという特徴があり、人間関係リセット症候群を引き起こしやすいという特徴を持っているのです。

人間関係リセット症候群との上手な付き合い方

人間関係リセット症候群は、現代に生きている10代〜20代であれば、誰でも起こしてしまう行動といえます。どのようにつきあうとよいのか、日頃からできる予防策、ついて解説します。

想定外の出来事やミスを許してみる

先の「人間関係リセット症候群の原因」で触れたように、柔軟な発想ができないことで自分にも厳しくなり、完璧主義に陥りがちです。完璧主義は決して悪いことではないですが、自分の些細なミスも許せなかったり、想定通りにいかないことに非常にストレスを感じ、場合によっては自身の環境を全てリセットする行動に出てしまうこともあります。
起きた出来事、不安やストレスに対して「ま、いっか」「仕方がないね」と許したり、受け入れることをまずは意識的にやってみましょう。心に余裕を持てることで、些細なことが気にならなくなります。

日常の中で些細な幸せな瞬間を作る

SNSで24時間人と繋がったり人の様子を見れてしまうことで、他者と比べ自分を蔑んだり、自分には価値がないという気持ちが生まれやすくなっています。そのため、他者との比較ではなく自分自身の中で、“生まれてきてよかった”と思える瞬間を日常的に作っていきましょう。他者の目や比較が気にならなくなります。「いい学校に行けた」「お金持ちになった」といった成功体験ではなく、できるだけ日常の小さなこと、「夜道の風が気持ちいい」「バイト後のアイスが美味しい」など、自分が感じる幸せ、自分の気持ちを大事にし、気づく習慣をつけていきましょう。

どうしてもリセットしたい・リセットしてしまったら

どうしても人間関係をリセットしたい衝動にかられることもあるでしょう。そんなときは、深呼吸してスマホを手放し、瞑想して、気持ちを落ち着かせましょう。焦っている時は、呼吸が速くて浅くなっています。深呼吸をすることで呼吸を落ち着かせ、まずは気持ちをリラックスしましょう。いったん、落ち着くことで、自分の行動をコントロールできるはずです。

スマホ以外にもタブレット、パソコンなど、「人間関係が繋がっている」デジタルデバイスと物理的に距離を置くのも効果的です。日ごろから心身を安定させる「デジタルデトックス」する日や時間をつくる意識を持ってもよいでしょう。

また、もし人間関係をリセットしてしまったとしても「心と脳は一体。今は脳の状態が悪かっただけ」と冷静に受け止めましょう。その後、ほとぼりが冷めたときに周囲にはきちんと謝れば、多くの人は受け入れてくれます。

リセットしたことをなかったことのように連絡を取ってみるのもよいでしょう。脳が成長途中の10代〜20代は誰でもなり得るものです。思いつめすぎなくて大丈夫です。

人間関係リセット症候群かな?と思っても大丈夫

人生において人との別れ、出会いを繰り返すことは非常に大切で、必要不可欠なことです。特に脳が成長する10代~20代では、人間関係も含めたトライ&エラーはつきものです。いったん「リセットしたい」と不安になるのはとても自然で、周りに迷惑をかけてしまうことは誰しもよくあること。あまり思い詰め過ぎることなく、自分の人生のひとつのできごととして受け止めるとよいでしょう。

監修:益田裕介
精神保健指定医、精神科専門医・指導医。岡山県出身、防衛医大卒。早稲田メンタルクリニック院長
精神疾患や治療法、カウンセリング技法などの解説を行なう、youtube「精神科医が心の病気を解説するCh」は、チャンネル登録者数は62万人超 (2024年9月時点)
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