【疲労回復&防止に】史上最大の鳥「エピオルニス」の卵で目玉焼きを作る
目玉焼きというものがある。一般に鶏の卵で作る料理だ。朝食などに出ることも多いのではないだろうか。フライパンに卵を割れば完成する料理なので、手軽なのもポイントだ。
卵はバランスよく栄養素を含んでおり、疲労防止や回復なども期待できる。バイトの疲れを回復できるのだ。しかし、卵一個では心もとない。もっと疲労を回復・防止したい。ということで、史上最大と言われる鳥「エピオルニス」の卵で目玉焼きを作ろうと思う。
地上最大の鳥
17世紀頃に絶滅した鳥「エピオルニス」。頭頂までの高さは3m以上もあり、体重は400kg以上あったと言われている。マダガスカルの固有種であり、史上最も体重の重い鳥だった。もちろん飛ぶことはできない。
マダガスカルの人々はこの鳥の卵を儀式につかったり、食べたりしていたそうだ。今もマダガスカルの、ある場所に行くと普通に卵の殻が落ちているらしい。絶滅はしているけれど、生きていた頃はなかなかの勢力を持っていたのではないだろうか。
さて、そんなエピオルニスの卵で目玉焼きを作ったらどうだろうか。巨大な鳥だけあり、卵も巨大。つまり大きな目玉焼きを作ることができるのだ。栄養素が含まれすぎた目玉焼きになるはずだ。めちゃくちゃ疲労回復・防止ができると思う。
エピオルニスの卵
エピオルニスの卵は非常に大きかった。この卵はもちろんレプリカで、現在は絶滅しているので、料理できるようなエピオルニスの卵は存在しない。そこで今回はエピオルニスの卵の体積を調べ、鶏の卵でエピオルニスの目玉焼きを再現したいと思う。
上記の写真、オレンジ色のシャツを着ているのが、この記事を書いている地主で、お隣にいるのは「進化生物学研究所」の蛯名先生である。この卵のレプリカは進化生物学研究所からお借りしたものだ。
一般的な鶏の卵の体積は60mlほど。一方で「エピオルニス」の卵は9000ml。つまり9リットルである。片手で持てないはずだ。大きすぎる。単純計算をすると鶏の卵150個分がエピオルニスの卵ということになる。
エピオルニスの目玉焼き
同じ卵1個でこうも違うのか、と驚く。卵は1日1個と言うけれど、エピオルニスの卵1個だと、普通の卵150個分である。ということで、150個の鶏の卵を使い、エピオルニスの目玉焼きを再現しようと思う。
今おじさんが一人増えて3人になった。オレンジが私で、つなぎが蛯名先生、もう一人は今回場所を提供してくれた東京農業大学の研究員である杉野さんだ。私を除くおじさんの肩書きはどれも偉い。ただやっているのは卵の黄身と白身を分ける作業である。
焼きましょう!
夏の終わりにおじさん三人が必死に目玉焼きを作る。おそらく数年後にあれはなんだったのだろう、と思うだろうけれど、エピオルニスの目玉焼きが見たいのだ。
普通のフライパンでは当然焼くことはできないので、大きなフライパンを準備した。家のコンロではこのサイズのフライパンを置くこともできないので、外で炭を起こした。マダガスカルの人も目玉焼きを作る時は苦労したことだろうと思う。
本来のエピオルニスの目玉焼きは一つの卵で作るはずなので、黄身も白身も同時に卵をパカっと割れればいいのだけれど、鶏の卵を使っての再現なので別々に焼くことになる。アルミホイルを上に置き、蒸すように焼いた。
巨大な目玉焼き
ざっくり書いているけれど、本当は完成までに1時間を要している。その前の段階を入れれば3日もかかる。フライパンや卵の手配など、エピオルニスの目玉焼きは手間がかかるのだ。普通の目玉焼きなら5分もあればできるのに。
目玉焼きが完成した。直径は90センチほど。厚みは白身が2センチあり、黄身は5センチほどもある。これがエピオルニスの目玉焼きである。17世紀頃まではおそらくマダガスカルではスタンダードな目玉焼きだったのではないだろうか。
食べましょう!
このサイズの目玉焼きがほんの17世紀頃まであったことに驚く。日本では江戸時代だ。ヨーロッパでは魔女狩りがピークを迎えていたそうだ。ちなみに現在一番大きな鳥類はダチョウで、その卵は鶏の卵約20個分。エピオルニスの卵が格別に大きいことがわかる。
当たり前と言えば、当たり前なのだけれど、味はいつもの目玉焼きだった。単純に大きくなっただけなのだ。ただこれを食べれば夏の疲れは忘れるな、と思う。少なからずこの大きさだけで、この目玉焼きを作った疲れは忘れた。それくらいの大きさだった。
大きいは素晴らしい!
軽い気持ちで作ったエピオルニスの目玉焼きだったけれど、その大きさに驚いた。いつもの目玉焼きに慣れているから、もはや別のものに見える。作るのは大変だけど、大きいとすごい満足感があった。バイト前に食べると疲労防止にもなっていいのではないだろうか。作るのに疲れるけど!
文:地主恵亮