バイトでストレスを感じる原因と対処法。ストレスの診断方法も合わせて解説
最近バイトに行くのが憂鬱、気が重い…そんなふうに思うのは、何らかのストレスを感じているからかもしれません。そこで、心理カウンセラーの小日向るり子先生に、バイトでストレスとなる主な原因やストレスのセルフ診断方法、ストレスを感じている時の対処法についてお聞きしました。
【目次】
バイトのストレスの原因とは
バイトのストレスには、人間関係や仕事内容、仕事量などが関わっていることが多いです。ここでは、よく見られる原因を紹介します。
バイト先の人間関係での悩み
バイト先に苦手な人がいたり、店長や上司と合わないと、バイトに行くのが憂鬱になります。その人が自分と同じシフトに入ることが多い人だとより気持ちが滅入ることでしょう。真面目な人ほど、苦手な人にもきちんと話しかけたり挨拶したりしようとして余計にストレスを感じてしまうこともあります。
仕事内容が自分に合わない
バイトを始めてみたものの、自分の性質や性格に合わないということはよくあります。楽しそうに見えたけれども、自分には接客がツラい、淡々とした作業が続くと時間が経つのが遅く感じて苦痛、といったことがあるでしょう。少しずつ慣れていくこともありますが、基本的な性質は変わらないので、ストレスを抱えた状態が続いてしまいます。
覚える事が多い、仕事が忙しい
仕事の量が膨大で、覚えることが多いと、いつまでたっても仕事を覚えられず、「自分はダメなんだ…」とストレスを抱えることになります。また仕事の量が多く、常に忙しい状態だと周囲のスタッフに質問することも難しいものです。気持ちにも余裕がなくなり、人間関係でも不安を感じるかもしれません。
失敗して怒られる、クレームを受けるのが怖い
仕事でミスをしてしまい怒られた、お客さまからきついクレームを受けた経験などは、ストレスを感じるものです。特に自分の失敗だと、「またミスしたらどうしよう」「また怒られたらどうしよう」と予期不安にかられてしまうこともあります。自分の失敗に責任を感じ、バイトに行くのが怖くなってしまう人もいるかもしれません。
シフトが多すぎる、通勤時間がかかる
少しでも多く稼ごうとシフトをたくさん入れた結果、自分のキャパシティを超える量で働くことになり、知らず知らずのうちにストレスとなっているという人もいます。また、バイト先が行きにくい場所にあったり、通勤時間が長くかかったりしていると、睡眠時間や自分の時間が減り、気づかないうちに精神的負担となっていることもあります。
ストレスを感じているときに出る症状
自分では「大丈夫」と思っていても、心や身体に症状が表れる場合があるので、気になる人はセルフチェックをしてみるとよいでしょう。以下は、ストレスを感じたときに起こりやすい身体や睡眠、メンタルの不調です。自身でストレス症状を診断する際に参考にしてみてください。
身体の不調
人がストレスを感じると、身体のうち、その人の弱いところに症状が表れます。頭痛を持っている人なら頭痛が頻発したり、胃腸が弱い人であれば胃が痛くなる、下痢、便秘などです。昔から弱かったけど、最近、症状がひどくなった、回数が増えてきて、不調が続いている場合はストレスが要因となっていることが考えられます。
睡眠の不調
睡眠の不調には3パターンあり、①夜なかなか寝付けない、②夜中に何度も起きる、③早朝覚醒というものです。特に③の早朝覚醒は鬱の傾向のある人にみられる症状で、起床時間の数時間前に目が覚め、その後眠れず、起き上がっても体が鉛のように重かったり、嫌な気分が抜けないという場合は注意が必要です。学業にも影響が出てくるため、早めに対処することが大切です。
食欲不振・過食
ストレスが原因で、食欲不振になってしまう人、または反対に過食に走る人もいます。食欲がわかないので飲み物だけ、または過剰な量を食べてしまったり、食べ物ではなく、アルコールやカフェイン、タバコなど、依存性の高い物質の大量摂取をする人もいます。どんな物質でも大量摂取をすると疲労感や嫌悪感が残り、余計にストレスを感じる悪循環に陥ります。
メンタルの不調
ものごとを悪い方向にしか考えられなくなったり、全てにおいて悲観的になっている場合は、ストレスが要因となっている可能性があります。そのほか、何もやる気が起きない、気分が落ち込む、人に会いたくない、イライラしやすいといった状態になる人もいます。また、寝る時間なのにスマホやゲームがやめられない等、やめないといけないと思えば思うほど余計に執着してしまうという「強迫性思考」に陥る人もいます。
ストレスを感じた時の対処法
バイトがストレスになっていると感じたら、バイト先や周囲に相談するほか、自分でも発散できるような対処法を持っておくことが大切です。一つずつ見ていきましょう。
職場の上司や店長に相談する
まじめな人ほど周囲に頼れない傾向にあるものですが、一人で悩まず誰かに相談してみましょう。ストレスの原因が人間関係なら、店長にシフトをずらしてもらうよう相談したり、仕事量や仕事内容なら業務の変更を相談するなどです。誰かに聞いてほしいという場合は、自分の性格や状況を理解している友人や家族に聞いてもらいましょう。SNSやネットの掲示板など匿名性の高い場で安易に相談を投げかけると、思いもよらぬきつい言葉で自身が傷つくこともあります。
趣味やスポーツに没頭して気分転換する
体を動かす、美術館に行く、絵を描く、音楽を聴くなど、自分の没頭できる趣味で気分転換をするのもおすすめです。ポイントは、バイトで使う脳と逆の脳を使う行動をすることです。たとえばマルチタスクをしている接客バイトの人は左脳を使っているので、右脳を使う感覚作業や単純作業系のゲームをしてみるなど、右脳左脳両方をバランスよく使うことを意識するとよいでしょう。
給料日には自分にご褒美を用意する
給料日に予算を決めて、ちょっとした贅沢をするのもよいでしょう。お気に入りのコンビニスイーツなど、美味しいものでもいいですし、コスメや推しグッズでもいいでしょう。友だちと会っておしゃべりをする、推し活をする、旅行などの目標を見つけると、モチベーションがあがり、ストレス解消となります。
バイトの目的を再確認し、別のバイトを探すのも手
対処法を試みてもストレスが改善されないと思ったら、無理せず別のバイトを探してみるのもひとつの手です。その際には、今のバイトを選んだ理由と、何にストレスを感じているかを明確にし、ストレスになりそうな条件は外していくことです。
<バイトの探し方の例>
・時給が高く稼げる仕事を選んだけれども、忙しさがストレス
⇒時給が下がってもマイペースに働ける仕事を探す
自分のペースで働きたい人におすすめのバイト
・友達が接客バイトをしているので自分もやってみたが、人とのコミュニケーションが苦手
⇒工場や倉庫など、あまり人と接しないバイトを選ぶ
人と接するのが苦手な人におすすめのバイト
・仕事内容に引かれたものの、シフトが合わない、多くシフトに入るよう求められる
⇒好きな時に働ける、シフト自由度の高いバイトを選ぶ
スキマ時間に働きたい人におすすめのバイト
よく考えて選んだバイトでも、合わないことはあるものです。大切なのは、原因を見つけて、解決するために行動することです。きちんと対処できればこの経験は、社会に出てからも役に立つでしょう。自分はダメなんだと思わず、今回は合わなかっただけと割り切って、次にチャレンジしてみてくださいね。
心理カウンセラー 小日向るり子(こひなた・るりこ)
カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2023年4月時点で、約5500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)
取材・文 嘉屋恭子
※初回公開:2017年12月16日、更新履歴:2023年6月30日