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2018年02月27日

精神科医・名越康文先生が考える「”運”の流れを逃さない生き方」

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日ごろから運が良いとか悪いとか口にする人が少なくありません。この”運”は考え方や行動に酔って引き寄せることはできるのか、TVなどでおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)にお話しを伺いました。

 

運を引き寄せるには

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最近、「運を引き寄せる」ということほど、人生において大切なテーマはないんじゃないか、ということをよく考えます。

「運を引き寄せることなんて、できるわけがない!」という人も、「こんなことをしていると、運(ツキ)が失われてしまうかもしれない」という不安を抱いたことはあるんじゃないでしょうか。

一見、運・不運ということに無頓着に見える人でも、「調子に乗りすぎないようにしよう」とか「くだらないことで運(ツキ)を使いを過ぎると良くないよね」といったことを、口にすることは結構あります。

あるいは「トイレ掃除をすると、運が良くなる」といった話も、よく耳にしますね。私たちは意識的か無意識的かは別にして、「運」というものに、強い関心を持っているということだと思うんです。

 

運とは何か

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「運がいいね」
「これはきっと、運命ですよ」

人はよく「運」とか「運命」という言葉を使います。でも、本当に突き詰めたところで、運とは何か、運命とは何なのか、ということを理解し、受け入れている人は、私を含めてそれほどたくさんおられないだろうと思います。

言葉というのは人間が作ったものであるはずなのに、時に、人間が知ること以上の何かを指し示すことがあります。運や、運命という言葉も、その一つではないでしょうか。

たとえば、ギャンブルをする人であれば「ついている」「ついていない」という言葉を、一度ならず口にしたことがあるはずです。しかし、ついている、ついていないというのがいったい何であるか、どういう現象であるか、ということを説明できる人は、そうはいないのです。

サイコロの目は、統計的には常に1/6の確率である目を出します。ですから、次に何の目が出るかは、完全に「偶然」であるはずです。しかし、ギャンブラーにとっては、そうではありません。

サイコロの目が統計学的な偶然として説明できることを知っている人であっても、例えば三回連続同じ数字が出れば、私たちはそこに、何らかの必然を感じてしまいます。

というよりも、確率や統計的な概念からはみ出した「何か」こそを、私たちは「運」として捉えてきたのでしょう。

 

恐れを失わないこと

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「運」について思考を巡らせるのは、おそらく人間だけです。

ライオンは餌が取れなかったとしても「運が悪かった」とは思わないでしょうし、砂漠でオアシスにたどり着いたラクダは「助かった!」と思うことはあっても「ラッキーだ!(運が良かった)」とは思わないでしょう。

ただ、だからといって「運」というのはあまねく人間の妄想であり、人間以外の動物や自然界に存在しないものであるかというと、そんなことはないんじゃないか、と私は思います。(もちろんそれも、「運」や「運命」を意識せざるをえない人間からの、勝手な「見立て」に過ぎないのかもしれませんが)

ただ、少なくとも、動物たちは「運」を意識しない分、人間のように「余計なことをして運を逃す」ということは少ないように見えます。

経験的に申し上げて、運というのは「意識」した瞬間に、失われてしまうものです。つまり、「運を良くしたい」とか「これをやれば、運がよくなるはずだ」という目的意識が芽生えた瞬間、運の流れは滞ってしまい、「ツキ」は逃げていくわけです。

たとえば「トイレ掃除を毎日すると、運気が上がった」という人はたくさんおられるけれど、「運気を上げるため」に、トイレ掃除を始めても、ちっとも効果が感じられない、ということが起きる。「運を良くしたい」という目的意識や期待があると、どういうわけか、運は逃げていくんですね。

「トイレ掃除をしなさい」という教えは、そういった期待や目的意識を捨てるためにあるのに、私たちはなかなか、「ただ黙々とトイレ掃除に専心する」ということができない。だから、運の流れを滞らせてしまう。

人間は、なかなか、ままならないものです。塀の上で寝そべっている猫は、ぐっすりと眠っているように見えても、ちょっとした物音でさっとおきます。彼らは止まっているように見えるけれど、常にリズムを刻みながら、流れを滞らせていない。

運の流れを逃さない生き方の手本は、もしかしたらそんなふうに、「耳をそばだてるように生きる」ことにあるのかもしれません。

 

運命を引き受けることで、責任が生じる

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古今東西、私たち人間は、古来から「ギャンブル」に親しんできたことが知られています。ギャンブルというのはおそらく、こうした人知ではコントロールしえない「運」や「運命」を学ぶために作られたツールという側面があったのではないか、と思います。

偶然であれ、必然であれ、出たサイコロの目によって人生が大きく左右される、ということは少なくありません。それを私たちは「運命」と呼びます。

ここで問題になるのは、運によって生じた結果を、誰が引き受けるか、ということです。

もしも、「運の流れ」がすべてを支配しているのだとすれば、人は、起きた物事に責任を取る必要がなくなります。アルバイト先でお皿を割ってしまったとしても、「このお皿は、今日割れる運命だった」と言ってしまえば、それで話はおしまいです。

個人の努力や注意によって「運命」を変えることができないのであれば、そこには個人の責任というものがなくなります。

この考え方を究極のところまで突き詰めると、ある宗教が完璧に人々を支配する世界では、「個人の責任を問う」ということは無くなります。「すべては神の御心のままに」という世界では、個人の責任は生じようがないのです。

裏を返せば、「運命を個人の名で引き受ける」ことこそが、責任なのではないか。いや、むしろ突き詰めれば、そうならざるを得ないのではないかと私は思います。(そうすると必然的に、「私とは何か」という問題が立ち上がってくるのですが、それはまた別の機会に)

ともあれ、昨今、自己責任論や、責任追及の議論がしばしばメディアを賑わしていますが、もしも責任を語るのであれば、私たちはまず、運とは何か? 運命とは何か? ということについて、問いを深めておく必要があるのではないかと思うのです。

 
※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。