昼寝でスッキリ!手軽で効果の高い仮眠方法を専門家に聞いてきた
毎日眠い……。バイトの休憩時間や授業の空き時間は寝ているという人も多い方も多いのではないでしょうか。昼寝や仮眠はその後の「仕事や勉強がはかどる」とも言われているので、専門家にその効用と、「効率の良い仮眠方法」を聞いてきました!
昼間に眠くなる原因
お話を伺ったのは脳神経科学者の早稲田大学・枝川義邦教授。まずはどうして日中に眠くなってしまうのかを伺ってみました。
枝川教授「大きく分けて2つの理由があります」
・人間にはもともと「眠い時間」がある!
枝川教授「ひとつ目は、人間にはもともと眠くなる時間があるということです。ヒトには“※サーカディアンリズム”という24時間周期のリズムに代表されるようないくつかの周期のリズムがあります。このリズムの中で脳の働きが鈍くなる時間帯があって、それが午後2~4時、午前2~4時と言われていますね。」
(参考:サーカディアンリズム https://www.jst.go.jp/pr/announce/20121017/index.html)
――午後は、お昼を食べたから眠いわけではないのですか?
枝川教授「元々眠い時間に満腹で血糖値が変化するとなると、余計眠くなります。寝不足であればなおさらですね。だから、ミスが多くなったり、耳にしたことを忘れてしまったりというヒューマン・エラーが多くなります。大学では『魔の四限』なんて呼んでいます(笑)」
――身に覚えがあります。体のリズムだとしたら仕方ないですね。2時から4時は昼寝します!
枝川教授「寝すぎもリズムが崩れます。少し眠るからすっきりする。理想的な仮眠時間は20分前後で、長くとも30分以内に留めた方が良いですね。あまりに熟睡すると覚醒に時間がかかってしまいます。ヒトは段階を踏んで眠りが深くなっていくので、深い睡眠の一歩手前くらいがベスト。その段階が10~20分前後と言われています」
――そうでしたか、勉強になります。もう1つの理由って何でしょう?
・現代人は「脳過労」がたまりやすい!
枝川教授「もう1つは脳の疲労、または『脳過労』が原因と考えられます。なにげなくしている“おしゃべり”も、実はすごく脳を使う行為です。相手の話すことを覚えて理解し、意見を組み立てて話すでしょう?こうした行為諸々が脳の疲労になって、眠気を引き起こします。」
――休み時間に友達としゃべっているときも脳は休んでいないってことですか!?
枝川教授「そうなりますね。でも、こうした脳の過労は昼寝や仮眠でリセットできるとわかっています。
また、脳の働きについて、起きている時間と飲酒した状態を比較した研究がありますが、起きている時間が長ければ長いほど、脳はお酒を飲んだ状態と似てくるとされています」
――飲酒状態、それは作業効率も低くなりますし、集中もできないですよね。
枝川教授「また、脳には眠くなる物質がたまって眠くなるというメカニズムもあります。昼寝や仮眠をするとそれがリセットできる。実際に注意力や記憶力が高まるというテスト結果も出ていますよ」
とは言え、なかなか寝付けないまま休憩が終わる経験、誰もがあるのではないでしょうか。どうすれば良質な昼寝・仮眠が取れるのか、具体的に教えてもらいました!
専門家が教える「脳をリセットして効率アップできる仮眠法」
寝付くコツは「いかに五感の刺激を減らすか」だそうです。横になると本格的に寝てしまうので、座ったままの姿勢がおすすめ。うつ伏せにするのもそうでないのも差はないようです。快適な仮眠をもたらす、手軽な便利グッズと併せてご紹介します!
【視覚】とにかく「暗く」しよう
目を閉じても明るさは感じてしまうもの。仮眠をとるときは「暗さ」と「パーソナルスペース」を確保することが重要だそう。うつ伏せの姿勢が一番手軽です。クッションなどがあれば使うのも◎
便利グッズ:アイマスク
休憩室や周りに机がない!という場合におすすめなのがアイマスク。ペラペラなものだと光が漏れて入ってきてしまうので、まぶたをスキマなく覆ってくれるサイズのものがベストです。視覚的な刺激は目が覚めやすいとのことで、しっかりガードしましょう。また、アイマスクにラベンダーなどの香りを散布すると、同時に嗅覚からもリラックスモードになれてより快適な眠りにつきやすいとのこと。
【聴覚】無音か自然音の環境を整えよう
出来る限り静かなほうが集中して眠れるとのこと。ただ、雨音といった自然音の「ノイズ」に関しては、よく眠れる・気持ちを落ち着けてくれるという実証があるので、動画サイトで聞きながら眠るのもおすすめです。
便利グッズ:耳栓
より隙間なく自分にフィットしているものが良いそうで。お手頃なものでいうと100円均一で売っているフニフニしたウレタン製がベストフィットでした!
【嗅覚】シャットアウトか良い香りで満たす
実は五感の中で、睡眠中でも唯一敏感なままなのが嗅覚だそう。寝ていても食事や煙草などの匂いは刺激になって覚めてしまうのだとか。休憩室や仮眠したい場所に何かしらの匂いを感じる場合は、香りを取り入れましょう。特にラベンダーの香りは効果が高いそうです。ローズやバニラも睡眠向きだとか。
便利グッズ:香り付き消臭スプレー
今回はローズの香りがついた消臭スプレーをストールに。アイマスクがない場合でも、こうして目を隠してぐるぐる巻きにして寝ることも!(いささか怪しい)
ローズの香りが結構持続して、気分が落ち着きます。香り付き消臭スプレーは休憩室などに置きっぱなしにしても良さそう。また、香りをつけたティッシュを横に置くだけでも効果があるそうですよ。前述したように、鼻に近い場所につけるアイマスクに香りをつけておくのも◎。
【その他】湿度と温度は体が心地よい状態に近づける
快適な眠りには“湿度と温度”が重要だと話す枝川教授。乾燥し過ぎても寒すぎても眠りづらいとのことで、それをちょい足しグッズで改善!
便利グッズ:マスク+濡れティッシュ
マスクがひとつあるだけで、実は手っ取り早く体が感じる湿度を上げることができます。それは、“濡れティッシュをマスクの内側に仕込む”こと。これで体が感じる快適な湿度に近づくそうです。同時に周囲の不快な匂いも防げるマスクは万能選手!
便利グッズ:貼らないカイロ
特に冬場は足先などが冷えやすいですよね。おすすめなのは靴下の重ね履きよりもカイロで足を温めること。靴の中にそのままポンとカイロを仕込んで仮眠をとるのもありです。肌に直接は火傷する危険性があるので、必ず靴下越しに行ってくださいね。
<<やってみた>>究極の仮眠形態!五感を完全シャットアウト&パーソナルスペース作りで質の良い睡眠を
今まで実践してきたすべてのメソッドを取り入れた究極形態……
『香りをつけたコート+濡れティッシュ&マスク+耳栓+足元カイロ+うつ伏せ状態』にして寝てみたのがこちら!
…怪しい。
どう見たって怪しい!!
編集部「……これは海にある岩ですね」
筆者「カーキ色が苔感をよりプラス」
しかし、確かによく眠れる。もう何も気にならないぐらいに。
バイト仲間がビックリしてしまうかもしれませんが、とりあえず“何かの物体”だと片づけられないようにだけ、注意しましょう(笑)
仮眠のあとは蛍光灯などの明かりを見ること、ストレッチして体を起こすと、よりすっきりしますよ。これであなたも昼寝・仮眠マスター!仕事の効率が上がって、思わぬ褒め言葉がもらえるかもしれませんね♪
取材協力・早稲田大学 枝川義邦教授/ライター・宇野なおみ/編集・タウンワーク編集部
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。