コミュ力養成講座 第10回「自分大好きおじさん」(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
人見知りや超体育会系、忙しぶる人など、迷惑まではいかないまでも、なんとなくコミュニケーションがとりづらい人たちっていますよね。そんな一筋縄ではいかない人たちともお近づきになれる攻略法をご紹介!
●今回の登場人物
好井亜里(すくい・あり)
22歳。彼氏いない歴=年齢の新卒OL。
人間観察が得意で、社会人になって改めて「いろんな人がいるんだなぁ」と思い悩み、コミュ障をこじらせ気味。それでも、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思っている。とりあえずの目標は「目指せ仲良し100人!」。
字賛 好夫(じさん よしお)
40代男性
第10回:自分大好きおじさん
①自分の話しかしない
②なんでも自分の手柄にしたい
③ミスを認めず人のせいにする
④謎の自信に溢れている
「自分大好きな人」と言えば、いつも鏡を見て容姿を気にしすぎているナルシストをイメージするかもしれませんが、今回はちょっと違うパターン。自分の容姿ではなく、中身、性格や経験・能力が大好きな人たちです。年齢層は若者よりもおじさんなど中堅クラスに多いタイプではないでしょうか。
彼らはどうして自分が大好きなのでしょう。残念ながら彼らの多くは、はっきり言ってあまり仕事ができるタイプではないことが多いです。ですが、自分が大好きなので基本的には陽キャ。気さくで人当たりがよく、世渡り上手な彼ら。そのため、「悪い人じゃないし…」という周りのフォローにより、それなりに出世もしています。ただ、彼らは周りのおかげということにまったく気づいていません。これまでの実績はぜんぶ自分が有能だからこそ、さらには後輩・同僚など周りの実績も、ほんの些細な接点だけで自分のおかげになってしまっています。そうなるとプライドも高くなっていくため、おいそれとミスを認められなくなっていきます。
すぐに自分の話ばかりするのは、例えば手元にとても良い商品があったら、語りたくなってしまうのと同じ。自分が大好きでステキな商品のことはたくさん伝えたいですし、認めてもらいたくなるもの。興味ありそうならどんどん話しますし、逆に相手が興味なさそうなら尚更、エンジンがかかるというダブルスタンバイなので面倒なことこの上ないでしょう。
自信満々だけど、その根拠が周りからは謎すぎる…というのも彼ら彼女らの特徴。先述した通り、彼らの実績は周りのサポートがあったからこそなので、周りから見れば“彼は実のところ何もしていない”というのは明白。しかし、彼ら彼女らはそれをわかっていないため、今回もなんとかなる!だって今までそうだったもの!という経験からくる自信に繋がっているわけです。
さて、こんな難敵相手に亜里ちゃんはどんな対処法で立ち向かうのでしょうか? 動き出しましたよ。
1歩目:先回りして周りの人たちと情報共有しておく
2歩目:自慢には大袈裟なリアクション
3歩目:好かれる存在になる
4歩目:根拠がなさそうな大丈夫は拒否!
【解説】
自慢話を封印するには聞き役を辞める&大袈裟に持ち上げる
では、亜里ちゃんたちの対処法を1つずつ解説していきましょう。まず1つ目。基本的にコミュ力を鍛えるためには、聞き上手にならないといけないのですが、めんどうな話しと聞き上手がコンボしてしまったら地獄です。ここは聞き上手を封印しましょう。自分の話ばかりする人は、全員にまったく違う話をしているわけではありません。最近の話や、大きなエピソードはだいたい同じか2回目です。なので、周りと共有しておくことができれば、話し始めた途端に「その話し聞きました!○○だったんですよね!」とオチまで言えば、止めることができます。そこですかさず自分の要件を話しましょう。ただ、「はいはい、それ聞きました」というような冷たい感じにならないよう注意してください。
2つ目。「あいつは俺が育てた」「あの企画は俺の一言がきっかけ」など、成果があったものは自分の手柄にする、というのは少しでも褒められたい、認められたいという承認欲求と嫉妬からくるものでしょう。ただ、この時の承認欲求度はそんなに高いものではなく、その場だけでも「すごいですね〜」と注目されたい程度のものです。というのも、自分自身でも深く関わっていない、ほとんど影響されていないというのはわかっているため。だから本人のいる前では決して言いません。「でもでも、ゼロじゃないかもしれないから、ちょーっとだけでも褒めて欲しいな〜」、という思いからの一言なので、ほぼスルーしてOK。
なのですが、あまりにも鼻につくようで止めさせたいなら、大袈裟に持ち上げましょう。彼らがこれで一番困るのは、当事者からはっきりと「関係ありません」と言い切られてしまうことです。なので、実際のところを確かめるそぶりを見せるだけで、すぐにやめるでしょう。
3つ目。よほどの悪人は別にして、これは誰にでも当てはまるのですが、少しでも情があれば悪いようにしたくない、という気持ちが働くもの。そこで自分のせいにされないためには、好かれることが大事です。もちろん自分だけが好かれても、また他の誰かのせいにする可能性があるので、仕事を一緒にする時はなるべく好かれている存在になりましょう。
そして最後は、彼らに“できる”“できない”の決定権を与えないことです。ほとんどのことは「できます!」と簡単に返事をしてしまう彼らですが、実際に業務にあたり苦労するのは同僚や部下たち。彼らは安請け合いで「できます!」と言っているのではなく、本当にできると思っているため、引き受けるのを止めると「なんで?なんでなん?」となるでしょう。そこで「簡単にできるって言っちゃうと、ハードルも上がりますし、僕らへのありがたみもなくなっちゃいますよ」ともっともらしい言い訳でごまかしましょう。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP: http://www.miwah.com/
twitter: @kamatamiwa
●最新著書
KADOKAWA 刊
1,100円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
2017年12月19日発売!
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
宝島社 刊
1,296円(税込)
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