KAZUKI(DOBERMAN INFINITY)インタビュー『夢や目標は口に出したほうがいい。強い気持ちで突き進んでいけるから』
2014年の『VOCAL BATTLE AUDITION4』を経て、DOBERMAN INFINITY(ドーベルマンインフィニティ)に加入したボーカルのKAZUKIさん。夢を追いながら建築現場でバイトをしていた頃の貴重なエピソードを中心にお話を伺いました。グループとしては、12月2日に10枚目となる「6 -Six-」をリリース!
新曲のテーマは絆――仲間がいるからこそ互いの道を進んでいける
——ドラマ『6 ftom HiGH&LOW THE WORST』の挿入歌にもなっている「6 -Six-」ですが、作詞クレジットはメンバー5人になっていますね。
作詞作曲に関しては、普段から決まった制作チームとメンバーで行なっています。この曲に関しては、プロデューサーがトラックとガイドをつけてくれたものに、メンバーそれぞれが書いた歌詞を持ち寄って、ディスカッションして仕上げていきました。お互いに意見や好みの違いもあるので大変ではありますが、ずっとこのやり方で制作してきたので慣れました。それに、5つの頭の審査を通過して作品が完成するということなので、自信を持ってリリースできています。
——歌詞はどういったものを目指したのでしょうか?
ドラマのテーマにも合わせて「絆」について書いています。サビの部分は、メンバーとリモートで顔を合わせて制作したのですが、最初に《ここが居場所だから》というワードが出てきて、そこから広げていきました。そのうえで《それぞれの道》という部分も大事にしたかったんです。
僕たちが日頃から強くいられたり1人でも勇気を持って前に進めるのは、ドーベル(DOBERMAN INFINITY)という絆や居場所があるから。僕たちも大人なので、いつも一緒にいるというわけではありませんが、帰る場所があるから思い切って挑戦ができる。絆があるからこそ歩めるそれぞれの道という意味合いを込めています。みなさんにも必ず仲間や家族など大事な人たちがいると思うので、自分に置き換えて聴いてもらえたら嬉しいです。
——レコーディングに関してはいかがでしょうか?
グループの特徴としてRapが全面に出ている曲が多いので、今までは強めに歌うことが多かったんですけど、今回は曲調や歌詞に合うように素直に歌うことを意識しました。
——「SO WHAT」は激しめの楽曲ですね。
歌詞で使っている言葉からして“だからなんですか!?”という少し攻撃的な感じの曲になっています。自粛期間中の制作ということもあり、他の曲は心と対話したり背筋を伸ばして書くことが多かったんです。でも、素直に苛立ちを形にすることも間違いではないと思ったので、聴いてストレス発散してもらえたらと思いますし、いつかライブでみんなと一緒に叫べたらと思っています。
——そしてSWAYさんとの初のコラボ曲が「DESTINY -S.O.L- feat.SWAY,KAZUKI」。
2人だからこそできることをしようと話し合いました。ブラックミュージックの要素が強いものになっていて、歌声の方向性としては色気野郎です(笑)。3曲が全く違うニュアンスの曲になっていますが、どのジャンルの曲も自分たちがやることでドーベルになる。それがグループの強みでもあると思ので、ぜひ聴いて頂ければと思います。
昼間のバイトで生活を支えながら、夜は歌のレッスンを続けました
——ここからはバイト経験について伺いたいのですが、どんなバイトをされていましたか?
高校時代に、たこ焼き店で初めてバイトをしました。その後、居酒屋、BAR、日サロ、建築業など6〜7個くらいですね。
——特に印象に残っているバイトについて教えて下さい。
音楽の専門学校を卒業した後に働いた、建築現場でのバイトが印象深いです。専門学校の頃は学校がメインで合間にバイトをするという感覚でしたが、学校を卒業した後は、バイトで生活の基盤を作らないといけない。昼間に働ける職場を知人に紹介してもらって、そこからドーベルに入るまでの1年半くらいは、昼間にバイトをして、夜は歌のレッスンに行くという生活をしていました。
——建築業の現場はどうでしたか?
体力的にかなりハードでした。木造の家やアパートを組み立てるのですが、梁を運ぶにしてもすごく重量があるので最初の頃は全然持てなくて。全身筋肉痛で2日で辞めたいと思いました(苦笑)。でも、紹介してくれた知人に申し訳ないと思って続けているうちに、少しずつ仕事に慣れていきました。
建築現場のバイトで知った先輩たちの男気と仕事への向き合い方
——慣れるまでにはどれくらいかかりましたか?
1ヵ月くらいは経かったと思います。最初の頃は先輩たちも怖くて、現場で「お前全然ダメだな」と怒られることも多かったです。真剣に取り組まないと危ない現場だからこそ、言葉も厳しかったんだろうと今なら理解できます。でも、帰る頃になると「俺が入った時はお前よりもっとできなかったよ」とさりげなくフォローをしてくれたりと、先輩たちが男気に溢れた方ばかりで、人に恵まれたこともバイトを続けるうえで大きな力になりました。
——他にも男気を感じたエピソードがあれば教えてください!
僕が暑い時期に朦朧としていたら「いいよ、少し休んで」と声をかけてくれるのですが、彼らは気候に左右されることなく働き続けている。体力面や技術面でのリスペクトに加えて、本当に人としてカッコイイ方たちばかりでした。
それと、とにかく仕事に対して真面目なんです。毎日、重労働なのに朝早くから現場に入っているし遅刻なんて有り得ない。それでも、誰もグチや弱音を吐かないですし、兄貴たちの“めんどくせえな”という顔は見たことがありません。
先輩の姿から、人の意見を受け止める強さを学んだ
——年上の方が多かったのでしょうか?
基本は年上でしたが年齢層は幅広くて、その道一本で働いている結構目上の方もいれば、僕と同じく他の夢を追いながらバイトをしている少し年上の方もいました。休憩時間や、仕事終わりに飲みに行って色々な話をするのがすごく楽しかったですね。全員、何かしら背負うものがある中で頑張っていて、付き合いが深くなるほどに尊敬する部分は増えていきました。
——みなさん魅力的だったんですね。
はい。半年くらい前にSNSのコメントで「またKAZUと働きたいな、でもお前はやっぱり作業着よりこっちのほうが似合ってるわ」というメッセージをくれた先輩がいて。最初はコメント主の名前までは見えなかったので、色々な兄貴たちの顔が浮かびました。それくらい、多くの信頼できる熱い先輩たちに出会えました。
——その関係性は、KAZUKIさんが先輩たちから何かを吸収しようとした結果でもあるのかなと。
そうだとしたら嬉しいです。もう1つ思い出したのですが、作業スタッフとは別に現場に指示をする現場監督がいるんですけど、中には現場のことを何も理解せず無謀だったり生意気な言い方をする人もいたんです。
僕だったら、その言い方をされたらすごくムカつくだろうなと思う場面でも、先輩たちは頭を下げる。無駄な対立をせず仕事を全うする姿に本当の強さを感じましたし、兄貴たちがそういう態度なのであれば自分も従おうと。その経験があって人の言葉を聞けるようになったところもあるのかもしれないです。
——では、作業面で楽しいと感じることはありましたか?
家の骨組みができた後、床となる資材を1つずつハメていくのが好きでした。ずっと細い足場を使って作業しているので、床ができることで一気に安心感が生まれるんです。それに、骨組みを一寸の狂いもなく組み立てるからこそ、パズルのようにピタッとハマるので、プロの技を感じる瞬間でした。
夢を信じる気持ちと、歌が好きという熱量だけでここまで突っ走ってきた
——ちなみにその当時は、音楽面ではどのような状況だったのでしょうか?
いくつもオーディションを受けていましたが、結果が出なくて少し焦りを感じていました。歌を諦めようと思ったことは一度もないのですが、何かを大きく変えないといけないと感じ始めていた頃に『VOCAL BATTLE AUDITION4』の開催が決まったので、建築業のバイトも辞めてすべてをかけるつもりで挑戦しました。バイトをしている時も、先輩たちは「その夢のために今を頑張れ」という姿勢で接してくれていたので、快く送り出してくれました。
——焦りの中で、気持ちがくじけないようにしていたことはありますか?
夢は口に出すようにしていました。そうすることで、不安になった時も『デカイことを言ったからには引き下がれない』と気持ちを強く持つことができました。そう思うと、夢を信じる気持ちと歌が好きという熱量だけでここまで突っ走ってきたんだなと。色々と考えこまないほうが強くいられる場合もあると思うので、夢を追いかけている方は今の気持ちを信じて精一杯に突き進んでもらえたらと思います。
KAZUKI (DOBERMAN INFINITY)
2014年6月に現メンバーとなり結成。LDH所属。4MC+1Vocalの男性5人で構成されるグループ「DOBERMAN INFINITY(ドーベルマンインフィニティ)」。MCのKUBO-C(クボシー)、GS(ジーエス)、P-CHO(ピーチョウ)の3人と、劇団EXILEのメンバーとしても俳優活動を行うSWAY(スウェイ)と、VocalのKAZUKI(カズキ)の5人で構成。2014年8月に配信シングル「INFINITY」で始動。同年11月にmini AL「#PRLG(プロローグ)」でCDデビューを果たす。
◆DOBERMAN INFINITY Official HP:http://dobermaninfinity-ldh.jp/
◆KAZUKI Official Twitter:@kazu_0574
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:原千夏
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。