【激レア 体験レポ】大井川鐵道「きかんしゃトーマス号」でサンタになりきる!子どもたちに夢をくばる激レアバイト
今回の激レアバイトの舞台は、静岡・大井川沿いを走る大井川鐵道。クリスマスシーズンに特別運行する、クリスマス仕様の「きかんしゃトーマス号」の車内で、サンタクロースになって子ども全員にクリスマスプレゼントを渡すというもの。挑戦するのは、静岡・磐田市在住のIさん(22)。趣味は筋トレ、草野球チームで投手として活躍するスポーツマンだ。子ども好きで、「体力にも自信があります」というが……。
サンタになりきって、子どもたちの笑顔を見たい!
新金谷駅の「大井川鐵道株式会社」に到着したIさん。「素直にうれしかったです。不安は一切なく、やってやるぞ、という気持ちです。とにかく、小さいお子さんが楽しんでくれて、笑ってくれるよう接客します」と意気込んだ。
まずは役員応接室で、大井川鐵道の担当者にご挨拶。早速、サンタクロースの衣装、付け髭を渡され、段取りの確認だ。車内で配るプレゼントは、大井川鐵道が用意した2種類の缶バッチだ。
10時発の「ジェームス号」は満席。Iさんが乗車する予定の「トーマス号」も残りわずか。
応接室でサンタクロースの衣装を着る。帽子をかぶってから付け髭をつける。使っているのは鏡ではなく、スマホのカメラ機能というのが若者らしい。
一度、シャツの上から着てみたものの、「こんな痩せたサンタはいないですよね?」とIさん。さらにダウンジャケットを着てからガウンを着た。
「車内は暑いかもしれないですけど、大丈夫です。子どもたちの笑顔のためです!」。Iさんからサンタになりきる覚悟が見える。バッチリ決まったところでポーズ。いよいよトーマス号へ!
終着駅までに、約300個のプレゼントを配り切れ!
「ジェームス号」と入れ替わりで、「トーマス号」が蒸気をモクモクさせながら新金谷駅に到着!
お客様の乗車前に、担当者と最終確認。「お渡しする際は、『乗車してくれて、ありがとう!サンタからお子様へのプレゼントです』と言って、お渡しください。必ず、千頭駅に到着するまでに配り終わってください」。
乗車を待ちかねたお客様がホームにやってくる。やはりお子様連れが多い。
サンタを見つけて、駆け寄る子どもたち。Iさんは子どもたちと目線を合わせられるようにと腰をかがめて挨拶する。日頃参加しているボランティア活動でも子どもたちと交流することが多いという稲葉さん。手慣れたものだ。
サンタ帽をかぶった男の子と記念撮影。「同じ帽子だね」と声をかける。細めた目にも、サンタらしさが出てきた。
「大井川鐵道」のみなさんの手作りでクリスマス仕様となった車内。ハーモニカを吹く名物車掌さんもいて、約1時間16分の旅を盛り上げる。
「ぼく、トーマス!」との車内アナウンスが終わるとIさんの出番だ。配るプレゼントは最大300個。客車は全7両。1両あたり8分のペースで配っていく。長身のIさんは子どもを見つけては屈んで、「メリー・クリスマス!」と声をかける。
「乗車ありがとう! サンタクロースからのプレゼントだよ」
プレゼントの缶バッチは特製。クリスマス仕様の「きかんしゃトーマス」の絵柄に「大井川鐵道クリスマス特別運転2017」とプリントされている。
Iサンタから、小さな手に届けられた。
丁寧に渡しながらも、順調なペース。半分を超えたところで一休み。車内は蒸気暖房でポカポカ。恰幅よく見せるために、あえてダウンジャケットを着込んだIさんは「暑いくらいですね。でも、このまま頑張ります!」。
合間に、車窓の風景も少しだけ楽しむことができた。
「トーマス号」は大井川沿いの雄大な自然の中を駆け抜ける。静岡県民ながら、「大井川鐵道に乗ったのは初めて」だそうで、郷土の魅力を新たに知ったようだ。
再びサンタクロースとして活躍。記念撮影に笑顔で応える。
無事に全7車両の子どもたちにプレゼントを配り終わり、最後尾の乗務員室へ。関係者以外入ることができない、鉄道ファン垂涎の“特等席”だ。しかしこのあと、もっと激レアな大仕事が待っていた!!
機械遺産の「転車台」でトーマス号を回転させよ!!
大井川本線の終着駅「千頭駅」に到着。
構内では、「トーマスフェア」が開催中。トーマスの到着を待っていた緑色の機関車パーシーとヒロ。先に到着したジェームス号の姿もある。
客車から切り離されたトーマス号は転車台へ向かう。
明治30年、イギリス製の転車台。一般社団法人「日本機械学会」が認定する「機械遺産」に選ばれた貴重なものだ。昭和55年に新潟から大井川鐵道へ移設されて以来、毎日のように使われている。
トーマス号が転車台に入線した。
職員さんに呼ばれて、Iサンタも転車台へ。「サンタさーーーん!」とのちびっ子の声援を受けて、大きく手を振る。
機械式の転車台は新金谷駅にもあるが、こちらはなんと人力!! 職員さんと一緒にトーマス号を力いっぱい回す。
サンタクロースの頑張りに子どもたちも大喜び。Iサンタからもガッツポーズが飛び出した。
転車台での方向転換を済ませて、展示コーナーに並んだパーシー、ヒロ、トーマス号、ジェームス号。クリスマス仕様に変身した4台がそろうのは、この12月のシーズンだけ。行きがあれば、帰りもある。Iサンタは、もうひと汗かかなければならない。
真冬に真夏並みの大汗かいてサンタになりきった!!
駅舎で昼食を取ってから、復路のプレゼントを袋に詰める。
大鉄で一番古い昭和5年製で、C10形で唯一現存する機関車「C10形8号機」の勇姿を見ながら、トーマス号が待つホームへ向かう。
「立ったり座ったりしながら、狭い通路を移動するので、思った以上に体力を使いますね」と語っていたIさんだが、サンタに変身すれば、笑顔も復活。
復路でプレゼントするのは、絵柄の違う赤い缶バッジ。帰り道はお疲れで寝てしまった子どもも多かったが、サンタに休みはない。
サンタの格好をした男の子とハイタッチ。子どもの笑顔に元気をもらって、ラストスパートだ!
昭和にタイムスリップしたようなレトロな駅舎のある「家山駅」で記念撮影。桜トンネルや家山川堤防が有名な桜の名所。子どもたちの視線が集まり、手を振って応える。
新金谷駅に到着。いち早く下車し、最後はお客様を見送った。子どもたちに手を振ったりハイタッチしたりと、ここでも大忙し。
大井川鐵道のみなさんと記念撮影して本日の激レアバイトは終了。汗だくになりながらサンタになりきったIさんに感想を聞いた。
「トーマス号を間近で見られて、感動しました。すごい!としか出てきませんね。今日は生涯で一番『メリー・クリスマス』と言ったかもしれません。サンタの格好はとにかく暑くて大変!真冬に真夏並みの汗をかきました。でも、子どもたちの笑顔に癒やされました!」
4月からはアルバイト先の市営プールの管理運営会社へ就職が決まっているそうで、「子どものようなキラキラした気持ちを忘れず、この貴重な経験を次のステップに活かせるよう頑張りたいです」と決意を新たにしていた。
子どもに夢を与える仕事。それこそが未来の自分への大きな贈り物となった。
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