【激レア 体験レポ】 わたしの言葉が宣伝コピーに!映画『アイスと雨音』PRサポートバイト!
今回の任務は、話題の青春映画『アイスと雨音』の宣伝コピーを考えるお仕事だ。
『アイスと雨音』は、『私たちのハァハァ』『アズミ・ハルコは行方不明』などを手がけてきた松居大悟監督の最新作。現実と虚構、映画と演劇の狭間でもがきながら生きる若者たちの姿を、74分ワンカットで描いた意欲作だ。
今回は、主題歌と劇中音楽を担当するラップグループ「MOROHA」のMC・アフロさんと、コピーライターの阿部広太郎さんから、自分の思いを綴るノウハウを教わることができる。映画を観た後で宣伝コピーを作り、なんと優秀作はポスターに起用され劇場に掲載されるという、超激レアな内容だ。
参加メンバーは大学生などの若い世代。はたして若い感性からどのような宣伝コピーが生まれるのだろうか!?
8人8様のメンバー! 宣伝コピーへの期待が高まる!
今回採用されたのは8人。広告業界を志望する片岡響さん(左上)、大学で広告を学んでいる斎藤知世さん(右上)、コピーライティングに興味がある坂巻貴砂さん(左下)、映画の勉強をしている佐藤朝稀さん(右下)。
教育学を学んでいる玉川樹生さん(左上)、コピーライターを目指している永井綾さん(右上)、サークルのチラシ作成の知見にしたいいという宮前尭昌さん(左下)、コピーライターや詩人に憧れている山下梓さん(右下)。
みな広告や宣伝、コピーライティングへの興味が今回の参加につながったようだ。
着席して本日の業務スタート。阿部さんとご挨拶。
阿部さんは、電通のコピーライターで、今回の映画のプロデューサーも務めている。
「松居監督とは大学のクラスメイトで、松居監督の映画にプロデューサーとして参加した初めての作品になります」と阿部さん。気心の知れた人と作る作品なので、思い入れはより強いはずだ。
阿部さんの自己紹介が終わり、次はアフロさんのご紹介に。
「以前からMOROHAの曲から勇気をいただいていて、しんどいときに心を奮い立たせてもらっていました。MOROHAは、音楽と主題歌を担当しています。MOROHAのMC、アフロさんです」と阿部さん。
バイトたちも一言ずつご挨拶していく。「趣味はダンスです」と片岡さん。
想いを言葉に! 第一線のプロから学ぶコピーの作り方。
自己紹介が一巡したところで本題に。想いを言葉に落とし込んでいくにはどのようにすればよいか、レクチャーが始まった。
「歌詞は、率直に思ったことを書くというのを一番大事にしています」とアフロさん。オブラートに包んだ言葉ではなく、自問自答をしたりしながら、本心を探っていくようだ。
「誰に向かって言葉を投げかけるのか」ということも重要とのこと。具体的な誰かを思い浮かべることも大切らしい。
今回の映画のオーディションで、演技未経験で挑戦した田中怜子さんに監督が電話で合格を伝えたときの「大阪に帰らず東京にいてください」という言葉にアフロさんはグッときたそうだ。電話先の田中さんは、不合格だったら夜行バスで大阪に帰ることになっていたという。そのとき、アフロさんも監督と一緒にいたので耳に入ってきたのだとか。長野から上京してきたアフロさんには、自身の経験から強く心に響いたのだ。
言葉へのセンサーを働かせ、自分がどの言葉に強く反応するのかを集めていくことも大事なことのようだ。
「材料は自分の経験の中にある」と阿部さん。その後も、言葉の見つけ方や想いを言葉にする方法を、分かりやすく教えていただいた。
映画の中の世界を間近で体感!
映画の鑑賞が始まる。役者さんの演技や演出の妙に、ぐっと物語に引き込まれていく。
映画の鑑賞が終わり、いよいよ宣伝コピーの作成だ。作成の制限時間は1時間で、発表できるのは1人1案。
今回の激レアバイトは下北沢で行われており、映画の舞台のすぐ側だ。映画の舞台を見て回っても良いし、この場所で黙々と書き続けても良いとのこと。
早速映画の世界を覗きに行くことに。少し歩くと、映画の中の景色が実際に目の前に広がる。
「映画の中のあの劇場だ!」と声をあげる。74分ワンカットで描いた作品だ。映画で使われていた場所をすぐに回ることができる。
見て回ったあとは、各々で宣伝コピーの作成作業に。慣れない作業に皆、葛藤する。
段々とそれぞれのスタイルで集中して作業が進みだした。これは渾身の作品が期待できそうだ!
映画館に展示される宣伝コピーとは!
ついにプレゼンの時間。トップバッターは玉川さん。
みな堂々と宣伝コピーとその意図を話していく。その様子から、今回はやる気のあるメンバーが集まっていることが伝わってくる。
「それは努力か、自己満か。」
「ご理解してたまるか。」
「理解なんてされなくていい。そんなもんじゃ、ないだろ?」
「一本の思い。止まらない少年少女の舞台への道」
「いま何瞬(なんじ)?」
「熱い、痛い、追いつけない。ださい、しんどい、うらやましい。」
「この青春譚をただ青春譚と呼ぶには語弊があります。が、ちょっといい言葉が思い浮かびません。」
「演じるな、生きろ」
など、8人8様の渾身の作品だ。
自分以外の作品に1人1票ずつ投票していく。
バイトたちのほか、今回のスタッフも投票に加わり全16票。
優秀作品は、宮前さんの「それは努力か、自己満か」に決定!
宮前さんも嬉しそうだ。選ばれた宣伝コピーは劇場のポスターに使用されるのだ!
アフロさんは、勝ち負けをつけるということの残酷さに触れ、それとともに大切さにも触れた。
「社会に出ると、こういう痛みを味わう機会が増えます。でも、痛みを笑いとばせないと戦いの世界では生きていけない」とアフロさん。
「MOROHAの音楽スタイルは、最初は見向きもされなかった。負けたなと思っても、それは武器にもなる」と、自身の経験と重ねて話すアフロさん。
その話に、8人は「負けの経験は、今後に活かすことができる」ということを学んだようだ。
その後は、阿部さんとアフロさんの宣伝コピー対決に。「人生はいつだって本番当日だ。」が阿部さんのコピー。
「矢面以外、圏外」がアフロさんの宣伝コピー。投票でアフロさんの勝利に。プロの勝負を見ることができた。
最後に、阿部さんは「続けたものが勝ち」という言葉をみんなに送った。コピーライターになる前は向いてないと言われていて、諦めずに努力を続け、困難を乗り越えてきたのだ。
さらに、なんと松居監督も駆けつけてくれた!
「言葉にするのは僕にはできない。言語化するって残酷で苦しいこと。阿部さんやアフロさんはかっこいいと思う。逆に、言葉にできない感情に辿りつきたいという思いもある」と監督。そういった切磋琢磨が作品につながっているのだろう。
これにて今回の激レアバイトも終了に。一日中言葉と向き合った8人に感想を聞いた。
片岡さん
「自分が何を感じたのかを見つめること、感じたことを表現することの大切さを学ぶことができました」
斎藤さん
「人に言葉を伝えるのは難しいと実感したのと、自分も言葉で誰かの心を動かしてみたいと思いました」
坂巻さん
「同じ映画を見ているのに、感じたメッセージがみんな違ったことが印象的でした」
佐藤さん
「アフロさん、阿部さんの言葉1つ1つが心に響きました。言葉を大切にしていきたいと思いました」
玉川さん
「映画への見方が変わりました。宣伝コピーを書くのは難しかったです」
永井さん
「プロの方から、自分の宣伝コピーを見てもらい評価していただくのは良い経験になりました」
宮前さん
「自分の宣伝コピーが選ばれて嬉しかったです。宣伝コピーを作るコツは、行き詰まった自分の気持ちを整理するときにも役に立つと思います」
山下さん
「自分の思いを宣伝コピーにするのは難しかったです。投票では一歩及ばずで悔しかったです」
自分の思いを言葉で表現する大変さと、言葉の持つ力の強さを学ぶことができた今回の激レアバイト。苦しみながらも、宣伝コピーを作り、発表した経験は今後も役に立つに違いない。
渋谷ユーロスペース、イオンシネマ板橋ほか、全国順次ロードショーを行います。
初日はユーロスペースにて舞台挨拶も開催。
興味を持たれた方はぜひ映画をご覧ください。
「#アイスと雨音のコピー」 で投稿すると、委員会の皆さんが見てくださるそうです。
