「わざわざ」の意味・使い方や言い換え表現、敬語として使えるかなどを解説
「わざわざ」は、通常であればやらなくて良いことをする時に使われます。バイトや仕事などビジネスシーンでも使われることが多い言葉なので、正しい使い方や言い換え表現について知っておきましょう。
「わざわざ」の意味
「わざわざ」とは、いつもならやらなくてよいことをする時に使う言葉で、「意識的・意図的に行動する」という意味を含みます。主に、やらなくても良い「期待以上のこと」をあえてしてくれた相手への感謝や労いの言葉として使われていますが、使い方によっては「そこまでしなくてもよかったのに」といった、やや否定的なニュアンスを含む場合、また「しなくてもいいことをわざと行うさま」という意味で使われる場合もあります。
「わざわざ」は敬語として使える？
相手の行動に対して特別な配慮や感謝を伝える際によく使われる「わざわざ」という表現は、ビジネスシーンなどオフィシャルな場面で敬語として使用して良いものでしょうか。
敬語ではないが、丁寧な表現と組み合わせて使える
「わざわざ」自体は敬語表現ではありませんが、「わざわざお越しいただき、感謝いたします」「わざわざご連絡くださり恐縮です」など、丁寧な言い回しと組み合わせることで、目上の人やビジネスシーンでも使うことができます。
「わざわざありがとう」は丁寧？それとも失礼？
「わざわざありがとうございます」という表現は、感謝の気持ちを丁寧に伝えられる一方で、使い方や相手との関係性によっては嫌味に聞こえることもあります。これは、相手が善意で行動した場合でも「わざわざ」と加えることで、行為自体が過剰であることを暗に示すことがあるためです。心配な場合は「わざわざ」を使わないのもひとつの方法です。
「わざわざ」の正しい使い方（例文）
それでは、バイトや仕事などビジネスシーンに役立つ「わざわざ」の正しい使い方について紹介します。
相手の行動に感謝を伝えるとき
相手がしてくれたことに対して「わざわざ」と添えることで、その行動への感謝の気持ちを強調することができます。
「お忙しい中、わざわざお時間をつくってくださり、ありがとうございます」
「遠いところまでわざわざお越しいただき、ありがとうございます」
相手の行動に謝罪を伝えるとき
相手がしてくれたことに対して謝罪を伝えるときにも、「わざわざ」という言葉を使うことができます。
「わざわざご足労いただいたにも関わらず、不在にしており申し訳ありません」
「わざわざお声がけいただいたのに、都合がつかずにすみません」
「わざわざ」の誤った使い方（例文）
「わざわざ」を添えて相手への感謝や労いを伝えようとしても、場面によっては逆に嫌味に捉えられるなど、失礼にあたる場合もあるので注意が必要です。
相手に対して否定的に使う
ビジネスシーンでは、相手の行動に対してポジティブな意味合いで使うのが基本です。否定的になるような使い方をするのは避けましょう。
「わざわざその企画書を作成したのですか？」
（やっても無駄というニュアンスが出る）
自分の行動に対して使う
自分の行動に対して「わざわざ」を使うと恩着せがましい印象、または嫌味と受け取られる可能性があるので、使わないようにしましょう。
「わざわざ前日にリマインドのメールを送りました」
（あえてやったニュアンスが出る）
「わざわざ」の言い換え表現（例文）
「わざわざ」と同じ意味合いで使われている言い換え表現について、場面ごとに紹介します。
感謝を伝える「わざわざ」の言い換え表現
お忙しいところ
相手への労いの気持ちを表現する言葉として「お忙しいところ」という言葉を添えることもできます。
「お忙しいところご確認いただき、ありがとうございます」
ご足労いただき
「ご足労いただき」は、相手が自分の方へ足を運んでくれた時に適した感謝の表現です。
「足元が悪い中、ご足労いただき感謝申し上げます」
丁寧に
「丁寧に」は、相手が手間を惜しまずしてくれたことに対して感謝の気持ちを伝えるときに使います。
「丁寧にご案内くださり、ありがとうございます」
謝罪を伝える「わざわざ」の言い換え表現
ご迷惑をおかけして
「ご迷惑をおかけして」は、直接的に迷惑や不都合を相手に与えてしまった場合に用います。
「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」
お手を煩わせてしまい
「お手を煩わせてしまい」は、相手に手間や時間をかけさせてしまった際に用いる丁寧な表現です。
お手数をおかけして
「お手数をおかけして」は、細々とした作業や時間を費やしてもらったことに対して使われる表現です。
「お手数をおかけして申し訳ございません」
していただいたのに
「していただいたのに」という言葉は、相手がしてくれた行動に対して応えることができないときに使われることが多い言葉です。
「見積もりをご提出していただいたのに、見送ることになり申し訳ありません」
日常的に使いやすい言い換え表現
せっかく
「せっかく」には、「無理をする、苦労をする」という意味合いがあり、「わざわざ」の言い換えとして使いやすい言葉です。
「せっかくお越しいただいたので、お昼をご一緒しませんか」
あえて
「あえて」は、リスクを認識した状態で行動するときに使われる表現です。自分で困難な道を選ぶことを強調することができます。
「今回はあえてプランBをご提案します」
本当に
相手の行動を尊重する気持ちを強調するときに、「本当に」という表現を使うこともできます。
「本日はご来社いただき、本当にありがとうございました」
迷ったら「わざわざ」は言い換えが無難なことも
「わざわざ」は、相手が手間や時間をかけてくれたことへの配慮や感謝を、丁寧に伝えられる表現です。一方で、使う場面や相手によっては使い方が難しいこともあります。迷う場合は、「お手数をおかけして」や「お忙しいところ」等への言い換えた方が無難なこともあるので、言い換え表現も合わせて覚えておくといいでしょう。
国家資格キャリアコンサルタント／キャリア・ディベロップメント・アドバイザー／フリーライター。就職氷河期の就活を経て、人材広告会社で営業として採用支援を10年経験。退職後は大学キャリアセンターの相談員やキャリア関連講師、企業の採用支援や採用広報の取材・ライティングなど「就職・採用」に関する仕事に取り組む。
更新履歴：2023年12月28日、2025年12月2日
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