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2020年07月31日

動画クリエイター・わっきゃいに聞く『事件の起きない日常を盛りナシで面白いネタにするためのコツ』

わっきゃい youtube インタビュー タウンワーク townwork身近に起こったどうでもいいことをアナウンス風に淡々と伝える『どうでもいい日常のニュース』で人気を集める動画クリエイター・わっきゃいさん。その特異な発想力が生まれた原点や、なんでもない日常から面白いネタを見つけるコツ、そしてそれを盛らずに面白く伝えるためのヒントを教えてもらいました。

 

現在の動画スタイルは、やりたいことと好きなことを掛け合わせて生まれたもの

――独自の発想とアナウンス風の動画が共感を呼んでいますが、動画作成を始めたきっかけから教えて下さい。

もともと面白いことを発信したいという欲があって、自分でも出来そうだと思ったのが動画配信でした。やりたいことは見えていたので、最初の投稿から「どうでもいい日常のニュース」を綴ったスタイルで動画をアップしています。

――ニューススタイルにしようと思ったのは?

アナウンサー志望だったのでアナウンス風に話をすることが出来たのと、ある程度の運動も出来たのでスポーツコーナーを作って、ニュースという枠を掛け合わせたら面白いと思いました。結果的に、動画は自分の好きなことの詰め合わせになっています。

――好きなことと得意分野を掛け合わせていると。

そうですね。「やりたいこと」「自分の出来ること」、それと「求められること」を形にしている感じです。「求められること」というのは、たとえば好きな食材だけを詰め込んで料理を作れば必ず美味しいものが出来るかというと違うので、ちょっとした引き算や食材変更をしてみるとかですね。その部分は、動画投稿を始めてから試行錯誤してきました。

 

今生きている日常が好きだから自然と面白い出来事が見えてくる

わっきゃい youtube インタビュー タウンワーク townwork――日常の中からどうやってニュースとなるネタは見つけているのでしょうか?

そもそもタイトルからして「どうでもいい日常のニュース」なので、生きていることが発想元なんです。たまにメモもとりますが、特別に“面白いことを探そう”という意識はなくて、普段過ごしている中で面白いと感じたものが素材になっています。

――あえてアンテナを張っているわけではないんですね。

はい。僕は日常が好きだから、自然と日常の良さや面白さが見えてくるんだと思います。たとえば対象が人だとしたら、好きな相手の良い所ってわざわざ探さなくても勝手に見えてしまうのと同じというか。日常が好きだから、そこで起きるなんでもない小さなことを面白く感じるんだと思います。

――その感性はどこで磨かれたのでしょうか?

今21歳ですが、これまで特に大きな挫折や苦労もなかったですし、家族や友だちに恵まれたことが大きかったと思います。小さい頃から、親に何かを強制されたことはなくて、自分の感性や発想に蓋をするということがありませんでした。何かを始める時に“これは上手くいかないかも…”と躊躇することもなかったですし、やりたいことしかやってこなかった。それが日常を好きになった理由だと思います。

 

普遍的なものも、疑問をもつことで想像力を膨ませていける

――本心で感じるものだからリアリテイがあるんですね。

そうかもしれないです。もう1つ付け加えるなら、日常という世の中にあるものは全て誰かの努力や発想のもとで成り立っていて、たとえば道を歩いているだけでも、時間をさかのぼって考えると“この道が出来るにはどれだけの人が関わったのかな”“何をどうやったらこんなに高いビルが建つんだろう”と、いろいろなことが不思議で仕方なくて、そうやって考えることが楽しいんです。それが発想力に繋がるのかもしれないです。そこで、感動するのか悲しくなるのか面白いと思うのかは変わりますが、その中から面白いと思うことや笑えるものをチョイスして動画にはしています。

――“なんでだろう”という疑問から発想力が育つんですね。では、どうやって視聴者が共感しそうなものを選んでいるのでしょうか?

策略的に選ぶというよりは、共感を得られたり笑ってもらえたら自分も嬉しいので、たとえば寝ているときに見た夢だったり、柔軟剤を変えたことだったり、家族語(家族内でしか使われていない呼び名など)があったりと、生きていれば誰にでも起こりそうな普遍性のあるものを選ぶようにはしています。

――家庭語といえば、友だちの家族語を表現した動画(2019年6月編)が面白かったです。

友だちの家では蚊取り線香を「ぐるぐる」と呼んでいて、会話の中でそれが節々に出てきたのを僕が見逃さなかったというだけの話で(笑)。純粋に友だちのことをからかっただけの動画なんですけど、きっと誰にでも家族語はあると思います。1つ1つのニュースネタをとるとどれも大した話ではないですし、僕の周りにだけ面白いことが起こっているわけでもない。ただ、そこでその事柄を面白いと感じるかどうかだけの違いだと思うんです。

 

普段から心の余裕=自分自身の容量を開けておくことで面白さに気づきやすくなる

わっきゃい youtube インタビュー タウンワーク townwork――ちなみにニュースを探すために意識していることはありますか?

ネタを探そうと思っての行動はしていません。むしろ、そこまで意識して外を歩いても逆に何も感じられない気がします。強いて言うなら、面白いことがあったら受け入れられるように自分の中の容量を開けておくこと。たとえば、何か面白いことが近くで起きていても、自分自身がピリついていたり、浮かれすぎて周りが見えなくなっていると気づかないと思うので、頭を空っぽにしておいたほうが発想は生まれやすいかもしれないです。

――ちなみに、頭を空っぽにした状態の時に生まれたエピソードはありますか?

スズメの動画(2020年4月編)はそうですね。近くに鳩が来ても無反応なのにカラスが来ると一斉に飛び立つスズメを見ていて、カラスにはビビっているけど鳩のことはナメているんだなと(笑)。でもこれも、パッと見てネタになると思ったわけではなくて、もともとスズメが好きだからずっと眺めていて気づいたことなんです(*)。想像力は無限ですし、心に余裕がある時に“好きなこと”と“なんでだろう?”を掛け合わせて考えてみるといいかもしれません。

*わっきゃいさんのスマホケースにはスズメのシールが貼ってある

 

能動的に試すことで自分なりの伝え方が見つけやすくなる

わっきゃい youtube インタビュー タウンワーク townwork――では、伝え方で大事にしている点はありますか?

僕は話を盛るということはしないので、面白いと思った素材をそのままどう伝えられるかを考えています。話し方のトーンや、句読点を入れる場所、強調するポイントが違うだけでニュンスは変わってきます。僕も、自分は面白いと思ったのに、“あれ? みんな分かってくれないな”と思うことや、伝わらなかったことなんてしょっちゅうありますからね。クリエイターとしての概念でいうと、“内から外”という自分が発信したいこと、“外から内”という周りから求められていること、そして“中立”というデータや事実という3つのバランスは意識しています。

――技術面でのポイントも教えてもらえますか?

僕はアナウンサーになりたかったので、もともと発声練習や原稿読みは出来ていたんです。そこにニュース原稿というスタイルを取り入れるために、文章力や構成といった勉強はしました。ニュースには「大枠を伝えてから内容を説明して締める」という決まった構成があるんです。

――単語の選び方もニュースならではですよね。普段から「大幅」や「おおよそ」といった言葉は使わないですし。

確かにそうですね。単語に関しては、もともとニュースをよく見るので自然に入ってきていました。その定型文や言葉を利用して、あえてカッチリとした言葉の中に“ぼく”という全くニュースでは聞かないものを入れるというギャップが面白かったりと緩急はつけるようにしています。

――観ている方がそれを真似しようと思うと難しそうですね。

言い回しを真似するだけであれば誰でも出来ると思います。ただ、僕がやっているニューススタイルにこだわる必要はなくて、人それぞれに違ったキャラクターがあって好きなことも違う。発想を豊かにしたりオリジナルティのある伝え方をしたいのであれば、能動的に何かをやってみるといいと思います。人に言われて感じるのではなく、まずは自分がしたいことや好きなことを掛け合わせたり、自分なりの解釈で捉えて色々な言い回しで試してみる。そうすると誰とも違う新しい伝え方が生まれていていくと思うので、能動的であることを大事にしてみてください。

 

■Profile
わっきゃい

京都大法学部在籍。1歳から高校時代をロサンゼルスで過ごす。独自の視点でなにげない日常をニュース調で報告する「どうでもいい日常のニュース」動画が注目を集め、動画サイトの登録者数は50万人を超える。

◆わっきゃい Twitter:@wildkumada
◆動画チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCrGPz6YlvFnNRx_TlheGjpw

企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:原 千夏

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