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2021年02月12日

お坊さんに聞いてみた「何となくやる気が出ない」ときの心の整え方

寺カフェ お坊さん やる気がでない タウンワークマガジン townwork家にいることが増え、友達と会うことも少なくなっている今。「何となくやる気が出ない」「したいことが何もない」と気力が湧かずにモヤモヤした気持ちを抱えていませんか?1人で考えていてもなかなか答えが出ないので、現代の駆け込み寺「寺カフェ」で若い世代の悩みに応えているお坊さん、三浦性曉僧侶に「やる気がでない」悩みについて聞いてみました。

 

昨今は、漠然とした不安を抱えている人が多いようです

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オンラインにて三浦性曉僧侶にインタビュー

編集部:三浦僧侶は代官山にある寺カフェで、訪れたお客さまの悩みをたくさん聞いているそうですが、最近はどんな悩みを抱えている人が多いですか?

三浦性曉僧侶:「寺カフェにいらっしゃる方の9割は女性で、年齢層は10代から70代と幅広いです。10代、20代の方ですと、人間関係や将来に対する悩みをお持ちの方が多いですね。昨今は“この先どうなるか不安”など、漠然とした不安にかられている方も多いです」

編集部:確かに今は漠然とした不安を持ちがちです。そんな悩みにはどう応えるのですか?

三浦性曉僧侶:「心配と不安という似た言葉がありますが、意味が違います。心配は、目の前に具体的な問題があり、そこに目を向けることができる状態ですが、不安は問題が具体的ではなく、はっきりとしない状態です。不安に陥っている人は、まだ実際に起こっていないことにネガティブな予測をしていることが多いように感じます。つまり、自分で悩みを大きくしている状態。そのような方には、先を見据えすぎないようにとお伝えします」

 

やる気が出ないのは先に結果を期待しているから

編集部:はっきりとした理由がなく「なんとなくやる気が出ない」という気持ちになるのはなぜでしょうか?

三浦性曉僧侶:「これも、不安を感じている人と同じで、先を見据えすぎているのでしょうね。やったことに対して大きな成果を期待してしまい、そこには到底たどり着けないという思いから、動けなくなってしまう。やる前から結果を求めているのだと思います。仏教用語に『因果』という言葉がありますが、これは原因と結果を意味します。結果そのものよりも、それまでの過程が大事であると仏教の世界では考えられており、自分が期待する都合のよい結果を求めすぎずに、そこへ向かう過程が一番大切なのです。やる気が出ないのは、結果に対する期待値が高すぎるのかもしれません」

 

やる気が出ないなら、そのままでいいのです

編集部:やる前から結果を考えてしまうから、失敗したらイヤだという気持ちで動けないのかもしれません。やる気が出ないときは、どうすればやる気が出るのでしょうか?

三浦性曉僧侶:「やる気が出るまでそのままでいいんですよ

編集部:え!!やる気が出ないままでいいんですか!?

三浦性曉僧侶:「いいですよ。何もやりたくなくて動けない人に、やる気を出すために何かしようと言っても難しいでしょう。そんな時期も必要ですから、やる気が出ない状態を否定することはありません」

編集部:ずっとやる気がでないままで大丈夫でしょうか??

三浦性曉僧侶:「みなさんも一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、仏教の世界に『諸行無常』という言葉があります。これは、この世のものは変化し続けるという意味で、すべてのものは変わり、すべてのものは押し流され、とどめることはできないと考えられています。
今はやる気が出ないけれど、永遠にそのままということはありません。いつしか、やる気が出てくるはずです。それは、自分の気持ちが変わることによってかもしれませんし、やらざるを得ない状況に周囲が変化することによってかもしれません。ですから、いつかは変わると軽く構えて悲観しないでください」

 

今すぐ変えたいのなら、結果を伴わないやりたいことをやってみる

編集部:今はたまたまやる気が出ない時期と考えればいいんですね。もし、今すぐやる気が出ない状態を脱したいと思うなら、何をすればいいですか?

三浦性曉僧侶:「そのような気持ちをお持ちなら、結果を必要としないやりたいことをやるのがいいでしょう。例えば、散歩に行くとか、絵を描くとか、何かを作ってみるとか。人のためや社会のためなど、周りから求められるものに応えるために動くのではなく、無駄かもしれないけれど、ただ、自分がやりたいことをやるために動いてみてください」

 

生きている意味を知っている人は、ほとんどいません

編集部:『やる気が出ない』がもっと進んでいくと、『生きている意味がわからない』『何のために生きているのか』と考えてしまうこともあります。ズバリ、生きる意味って何ですか!?

三浦性曉僧侶:「その答えを知っている人はなかなかいないでしょうね。私にもわからないですし、私自身もその意味を考えています。ただ、仏教を広めている僧侶として思うことは、その考えが生まれたことは、とてもいいことだと思います。自分の命の在り様を見つめ直す機会を自ら得たわけですからね。
『生きている意味がわからない』と考えることはネガティブだと思うかもしれませんが、決してそうではありません。生きている意味を考えることから人間は始まるので、スタート地点に立ったと思って喜びましょう。立ち止まって足元を見る時間は必要ですし、無駄ではありません」

 

周りと比べて落ち込むときは焦らず、先でなく今を見る

編集部:でも、周りの友達や知り合いが楽しそうに生きているのを見ると、自分はこのままでいいのかと落ち込んでしまいます。

三浦性曉僧侶:「周りと比較してしまうこともあるでしょう。ただ、どんなに落ち込んでも焦っても、周りの人の生き方は自分の生き方ではありません。自分が目指す人生と他人が目指す人生はまったく別のものでから、自分の生き方に焦点を合わせましょう。そうすると、おのずと自分がどう生きたいかが見えてくるはずです」

編集部:どうすれば、自分の生き方が見えてくるのでしょうか?

三浦性曉僧侶:「まず、大切なのは焦らないことです。周りと比較して慌ててしまうと、あまり良くない方向にいってしまいます。“ああなりたい”“こうなりたい”と先のことばかり考えるのではなく、“今、何がしたいか”を考えてください。今を考えて答えを出していくと、それが自分の生き方のヒントになるはずでしょう」

編集部:先よりも“今”なんですね。最後にどうしても気になるのですが、お坊さんもやる気が出ないときはあるんでしょうか…。

三浦性曉僧侶:「しょっちゅうあります(笑)。私は僧侶ですが、それはお釈迦様の教えを伝える立場ですので、私が立派なわけではありません。お釈迦様の教えを学んでいるだけですので、煩悩もしっかりあります(笑)。やる気が出ないときは、先程、みなさんにお伝えしたように諸行無常を心に留めて、軽く受け流すようにしています。そうすると、いつしかやる気が出てくるものですよ」

 

■取材協力
寺カフェ代官山

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「寺カフェ代官山」内観

寺カフェ代官山:https://tera-cafe.com/home/index.html

三浦性曉僧侶の最新著書『お坊さんが教える 不安のトリセツ』が発売中。

取材・文 中屋麻依子

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