スマートフォン用サイトを表示

アルバイトや転職に役立つ情報が満載!最新のお仕事ニュースなら【タウンワークマガジン】

2021年04月30日

本ソムリエ・清水克衛さんがおすすめ!大学時代に読むべき本6冊

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork

数々の手書きPOPが目をひく店内

いわゆるベストセラーだけでなく、「本当に読んで欲しい本」だけを紹介する書店「読書のすすめ」の本ソムリエ、清水克衛さん。学生時代に誰もが通るであろうお悩み別に、大学時代にこそ読んでおきたい本をおすすめしてもらいました。

「やりたいことを見つけたい」ときに読むべき本

束縛を楽だと感じるな。解放を悪と思うな。視野を広げる言葉が満載

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork

「青年の思索のために」
下村湖人 著 ごま書房新社

 
●簡単な内容
1911年に中学教師として教育界に入った著者が20年に亘る教員生活の中で、生徒との対話や周囲の人たちとの関わりなどから得た体験を綴る。生きるために必要な知恵、真理、人間愛を導いてくれる。

 
●清水さんおすすめポイント
イエローハットの創業者、鍵山秀三郎さんの座右の書と知り、読んでみたら素晴らしい本でした。絶版だったのを、出版社に掛け合い復刊させた1冊。本書に「自分で自分を支配する力のないものにとっては、束縛が善であり、解放は悪である」という言葉があります。束縛が多い今の世の中では、自立していないと、束縛が楽だと感じてしまい解放が悪いものと思いがち。しかし、それだと自分が本当にやりたいことに辿り着けないと思うのです。知識や視野を広げてくれる言葉が多く、自分にとって何が大切なのか、生きる目的とは何かを教えてくれるでしょう。

 

「友達づくりに不安を感じる」ときに読むべき本

友達の必要性、孤独の必要性がわかる一冊

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork

「あなたが未来に選択肢を残すための「よりよい」生き方」
美達大和 著 WAVE出版

 
●簡単な内容
一生、刑務所で生きることを決意した無期懲役囚の著者が、これまで8万冊以上読んだ本の中で、社会に出る若者たちに伝えたい言葉、本を紹介。

 
●清水さんおすすめポイント
ものすごい読書家である著者が薦めてくれる本はいいものばかり。生きること、政治のこと、経済のことなど、彼の思想と交えながら本も紹介してくれています。「なんでコミュニケーションが大切なのか」という章もありますので参考になるのではと。人生を作るのは、その人の価値観を土台にした思考であり行動だと著者は言っています。この本でどのように考えるか、それが分かれば、おのずと必要な友達や時に孤独を恐れない気持ちも身に付くと思っています。

 

「孤独を感じる」ときに読むべき本

孤独も味方につける勇気が湧くひとりの男の自伝

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork

「北御門二郎 魂の自由を求めて トルストイに魅せられた良心的兵役拒否者」
ぶな葉一 著 銀の鈴社

 
●簡単な内容
ロシアの文豪トルストイに魅せられ「人を殺すくらいなら、殺される方を選ぶ」と戦時中、兵役を拒否。トルストイの翻訳に没頭した北御門二郎の生き方が描かれる。

 
●清水さんおすすめポイント
子ども向けの本ですが、ぜひ、大学生にこそ読んで欲しい。北御門二郎って誰?と思うでしょうが、トルストイの名翻訳者です。彼は戦時中に死刑覚悟で兵役を拒否しますが、不思議と罰せられることなく、トルストイの翻訳に人生を捧げます。当時、兵役拒否は大罪のため、家族や周囲から大バッシングにあいます。それでも自分の思いを貫く彼の生き方は孤独すら味方にして、前へ進む勇気をくれるでしょう。孤独は決して悪くない。そう思えるはずです。

 

「夢や目標を叶えたい」ときに読むべき本

人は生き方がたくさんある。夢はいつでもどんな風でも叶えられる

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork

「ぼくにはこれしかなかった。」
早坂大輔 著 木楽舎

 
●簡単な内容
盛岡で書店を営む店主が、40歳をこえて本当にやりたいことに辿り着いた軌跡と現在進行中なことを綴る。書き下ろしブックレビュー「ぼくの50冊」も紹介。

 
●清水さんおすすめポイント
立派な会社で一生懸命仕事をしながらも「何か違う」と思い続けていた著者が40歳を過ぎて、本当にやりたいことを始めた経験談。この本でわかるのは、生き方とはたくさんあるということ。学生時代はそこまで視野が広くないから、どうしても選択肢が狭まったり、目標を叶えたくても躊躇してしまったりすることもあるかもしれませんが、この本を読めば、いつ、どこでも、どんな風にでも夢を叶えられる勇気とヒントがもらえるはずです。

 

「素敵な恋愛をしたい」ときに読むべき本

イワンから素直な気持ちを学べば、きっと恋愛がうまくいく

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork

「イワンの馬鹿」
レフ・トルストイ著 アノニマ・スタジオ

 
●簡単な内容
お金持ちの百姓の家で育った軍人のセミヨン、太っちょのタラス、馬鹿のイワンという3兄弟を中心とした物語。お金や権力に目が眩んだ2人の兄は悪魔に騙されるが、馬鹿正直なイワンは悪魔に勝ってしまう。馬鹿と言われながらも、素直で欲がなく正直なイワンの生き方が描かれる。

 
●清水さんおすすめポイント
イワンの一見、馬鹿に見えるような行動の裏にある、素直さやまっすぐな生き方に教えられることがたくさんあると思います。イワンはひょんなことで王女と出会い、その真摯な態度に惹かれた王女が見初めて結婚。最終的には王になるんです。恋愛に対して、「こうあるべき」「こうでないといけない」などと思い込んでうまくいかないことはたくさんあると思います。でも、イワンの生き方、考え方から見る、素直になることの大事さを知れば、恋愛はうまくいくと感じます。

 

「就活に悩んでいる」ときに読むべき本

土木業界で命をかけた名もなき20人の働き方に「働く意味」が見えてくる

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork

「夢追いびとたちの系譜 土木のこころ」
田村喜子 著 現代書林

 
●簡単な内容
黒部ダムや関門海峡、東海道新幹線など、日本の発展を支えた土木業界とそこで働く人々にスポットを当てる。明治から昭和にかけて活躍した20人の土木技術者たちの思いや行動を伝える。

 
●清水さんおすすめポイント
「日本を良くしたい」という思いのもと、命がけで土木業界で働いた名もなき20人の熱き気持ちに感動が止まりません。読了後、働くとは何かということを、自分なりに考えられるはずです。給料が良いとか、福利厚生がしっかりしているとか、それだけではない働くことの大切さがこの本には詰まっています。就職する意味や働く理由などが自分の中で明確化するかもしれません。福本伸行先生が描いた表紙のオリジナルイラストも素晴らしいです。

 

本には生きるヒントが詰まっている

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork

本ソムリエ・清水克得衛さん

「悩むことは良くないと思いがちですが、決してそうではありません。仏教で『煩悩即菩提』という概念があり、迷いは人間の本性であり、いつしか悟りの縁になると説かれています。悩みは成長に必要不可欠ですが、その悩みのヒントになるのが良書だと思っています。今回、紹介した6冊はカテゴリーに分けてはいますが、どの本もどのカテゴリーに当てはまる、生きるうえで大事なことを教えてくれます。ぜひ、気になったものがあれば手にとってください」

 

■プロフィール
清水克衛

書店「読書のすすめ」代表。NPO法人「読書普及協会」会長。自身が書いた著書も多数出版。
Twitter: @S_katsuyoshi

本ソムリエ 清水克衛 タウンワークマガジン townwork
書店「読書のすすめ」https://dokusume.shop-pro.jp/

取材・文/中屋麻依子
撮影/八木虎造

早速バイトを探してみよう