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2015年03月26日

4年間があっという間に過ぎてしまいそうです【精神科医・名越先生のカウンセリングルーム】

あっという間

テレビでおなじみの精神科医・名越康文(@nakoshiyasufumi)が心の悩みにズバッと答える! この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

お悩み:4年間があっという間に過ぎてしまいそうです

大学1年生、女です。
最近、本当に時間がたつのが早く感じます。平日は授業とサークル、週末はバイトで、気がつけば1年経ってしまいました。
このままだと、何も身につかないままあっという間に大学四年間が終わってしまうのではと焦りを感じています。
振り返って、「有意義な学生生活だった」と思えるようにするために「これだけはしておいたほうがいいこと」がありましたらアドバイスいただきたいです。(大学生・経営学部・19歳・女子)

心から没頭できることを見つけてください

学生生活を「目的」にしない

勉強であれ、サークル活動であれ、アルバイトであれ、もしもあなたが本当に脇目も振らずそのことに没頭できているなら、きっと4年間の学生生活はあなたにとって「有意義な時間」となるはずです。

しかし、ご質問を読ませていただいたかぎり、あなたは勉強をしていても、サークル活動をしていても、アルバイトをしていても、どこかで「このままではダメなんじゃないか?」という焦りを感じていらっしゃるようです。

それはおそらく、あなたが4年間の学生生活の中で「結果」なり「スキル」なり「能力」なり「思い出」なり、「価値ある何か」を手に入れなければならない、と考えておられるからではないでしょうか。4年間の学生生活が終わったとき、何か確かな成果や結果といえるようなものが自分の手元に残っていなかったら、自分の学生生活はまったくの無意味なのではないか。もしかしたらそういう不安を覚えておられるのかも知れないと感じるのです。

しかし、実はそうやって学生生活に「結果」や「成果」、あるいは「意味」や「目的」を求めようとする考え方こそが、あなたから「有意義な学生生活」を奪っている最大の原因です。逆説的な表現になってしまいますが、「有意義な学生生活」を追い求めている限り、その人の学生生活は決して、本当の意味で「有意義」なものにはならないのです。

有意義な時間とは、充実した時間の連続である

充実した時間
「どういうこと?」と混乱させてしまったかもしれませんね。でも僕の言いたいことはシンプルです。人間にとって有意義な時間の過ごし方というのはせんじ詰めれば「今、この瞬間が充実している」ということの連続であるはずだからです。お金、地位、資格、名誉……なるほど世の中にはたしかにそう見える、つまり保証があるようにみえるものがあるのは事実ですが、そうしたものは突き詰めればすべて幻想であり、あなたの人生を本当に力強く支えてくれる確かなものではありません。

「今、この瞬間が充実している」と心から思えるということ。そういう時間を積み重ねてきた人だけが、ふと人生を振り返ったときに「ああ、有意義な人生だった」と感じることができるのです。

これは別に学生生活に限ったことではありません。仕事でも、恋愛でも、結婚でも、子育てでも同じです。「○○のために」という目的意識に囚われ続けている人は何をやっても「今、この瞬間」をどこか楽しむことができません。そして目的に囚われ、満たされない「今、この瞬間」を積み上げていけばいくほど、自分の人生が空虚で、取るに足らないものに感じるようになってしまうのです。

「学生生活の中で、何かを身につけたい」という目的意識を持つこと自体は、もちろん素晴らしいことです。しかし、それよりも「今、この瞬間」が充実している、ということが重要です。いくらスキルなり、資格なりを身につけたとしても、せっかくの4年間の学生生活の実感がなくて、心から楽しめないものであったとしたら、それは決して「有意義な学生生活」とはいえないし、あなたにとって本質的な意味での「自信」になってくれないだろうと思います。

時間を忘れて没頭できることを見つけるということ

今、あなたが取り組むべきことは「学生生活の中でやるべきこと」を見つけるのではなく、「あなたが今、時間を忘れて没頭できること」を見つけ、それを育てていく、ということです。

それは別に勉強やサークル活動でなくてもかまいません。編み物でもいいし、読書でもいい。大切なことは「有意義な学生生活のために」「将来の就職のために」……といった「○○のために」にといったことがまったく頭をよぎらないぐらいまで、そのことに没頭できるかどうかです。

もしかすると、こうした僕の意見を聞いて、あまりにも刹那的で、「今さえよければどうでもいい」という投げやりな考え方だと感じる人がおられるかもしれません。でも、「自分のやりたいことに心から没頭する」というのは実は非常に高度な<能力>です。それは仕事はもちろん、人生のあらゆる局面を切り開いていくのに欠かせない「力」なのです。

そしてその能力は、一朝一夕に身につくものではありません。周りで何が起きてもまったく気にならないぐらい心から没頭するという体験を繰り返すなかで、だんだんと培われるものなのです。

取り組むことはなんでもけっこうです。スポーツでも、料理でも、読書でもかまいません。ただし、基本的には「一人でできること」そして「身体を使うこと」が良いでしょう。

読書の場合であれば、家から少し距離のある喫茶店まで歩いていくようにすればよいでしょう。何をやるにしても、「今、この瞬間を充実させる」という感覚を自分の中に確かなものとして育むことを意識してください。「もしも明日の朝死んでしまう運命にあるとしても、それほど自分の人生に後悔しない」というぐらいに「今、この瞬間」を心から楽しむこと。それさえできれば、あなたの学生生活は間違いなく、有意義なものになっているはずです。

企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。