スマートフォン用サイトを表示

アルバイトや転職に役立つ情報が満載!最新のお仕事ニュースなら【タウンワークマガジン】

2015年04月02日

人に合わせることに気を使い過ぎて疲れています│【精神科医・名越先生のカウンセリングルーム】

人に合わせる

テレビでおなじみの精神科医・名越康文(@nakoshiyasufumi)が心の悩みにズバッと答える! この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

お悩み:人に合わせることに気を使い過ぎて疲れています

友人関係で悩んでいます。周囲から嫌われたくなくて、違うなと感じながらも「かわいい」「いいね」と言ってしまう自分に疲れます。
笑顔で接するようにしていますが、面白くない人とか思われているのではないかなど、友達からどう映っているのかいつも気になります。もっと自分らしく振舞いたいのですが、その方法がわかりません。もはや、長く人に合わせすぎて自分らしさも何なのかわかりません……。

名越先生、どうしたら疲れずに、自然な自分でいられますか?(大学3年生、女子)

一人で過ごす時間を作ってください

合わせ上手な人ほど対人関係に疲弊する傾向に
「人付き合いが苦手だ」という人はたいていの場合、自分のことを「コミュニケーション能力がない」とか「社交性が足りない」あるいは、「相手に自分の思いを伝える表現力が足りない」という捉え方をされていることが多いようです。

しかし、実際にそういった方のお話を伺ってみると、必ずしもそうした「コミュニケーション能力」がないわけではないことが多いようです。むしろ、過剰なぐらい、人に合わせる能力に長けていることによって、かえって対人関係に疲弊している人が少なくありません。質問者の方も、どちらかというとコミュニケーション能力が低いわけではなく、むしろ人の話に同調しすぎて、しんどくなってしまっているパターンだと思います。

もしそうだとすれば、あなたに足りないのは、他人とのコミュニケーション能力を磨くことではなく、「一人っきりで過ごす能力」を養うことです。一人っきりで過ごすことが苦手だからこそ、苦手な人間関係を断ち切ることができず、ずぶずぶと深みにはまってしまったり、依存してしまったりする。そういう人に必要なことは、他人と適切な距離を取って付き合うことであり、そのために「一人っきりで過ごす能力」を育むことが必要です。

一人っきりでいかに充実した時間を過ごすことができるか。それは他人に依存しすぎず、他人とコミュニケーションを取るための足腰をきたえるいわば「基礎体力」を身に付ける、大切な時間のことです。

週に1日だけ、スマートフォンを家に置いて出かけてみる

一人で出かける
まず、とっかかりとしては週に一日だけでもいいから、「一人っきりで過ごす」ということにチャレンジしてみてください。LINEやTwitter、Facebookもたとえば朝見たら夜までは開いてはいけません。くれぐれも、自分の部屋にこもりっきりになるのは避けてください。できれば、スマートフォンの電源も切って家に置いたまま、
しばらく散歩に出かけたりしてみましょう。

出かける場所は、喫茶店でも公園でも、図書館でも構いません。自分が落ち着いて、ゆったりとした気持ちで過ごせる場所を見つけてください。

そうやって週に一日だけでも、他人との関わりを断って、自分一人で過ごす時間を作る。これをずっと続けていくと、だんだんと「一人で過ごす力」がついてきます。実は、対人関係で疲れている人は、この力を養っておくことがとても大事なんですね。一人きりで充実した時間を過ごすことができない人は、必ず対人関係のなかで、他人に振り回されて疲弊してしまいますから。

一人で過ごす力をつけるには、読書がオススメ

読書
ただし、この「一人で過ごす力」を身につけるのに、それなりの努力と、時間がかかります。週に一日、一人で過ごすということに加えて、毎日身体を動かす、ということも合わせて行うとより効果的です。ヨガをやってもいいし、通学のときに、一駅か二駅早く降りて、30分から1時間ぐらい、しっかり歩く時間を作ってもいい。そういうときも、SNSを見ながらではなく、自分の身体を丁寧に動かす、ということに集中してください。

「一人で過ごす力」をつけるための訓練としては、読書というのは一番のオススメです。誰でも「いつか読もう」と思って買ったけれど開いていなかった本があると思います。週に一回、一人で過ごすときに、そういう本にチャレンジしてみてください。もしかしたら5ページで飽きてしまうかもしれませんが、それでもまったく問題ありません。

内容がちゃんと理解できているかどうか、最後まで読み切れるかどうかは、この場合、あまり大きな問題ではないのです。大切なことは本を開き、まわりの物音が気にならなくなり、活字を追うということに没頭する、ということです。

何かに没頭することで自由を実感できる

これは別に読書に限ったことではありませんが、人間は何かに没頭すると、それまで気になって仕方のなかった対人関係の問題などから「フッ」と数十秒~場合によっては数時間解放されます。そのときはじめて、人は本当の意味での「自由」を実感することができるのです。(ただしゲーム好きの私から言ってもゲームはあまり効果的ではありません。ゲームの中では「集中」はいわばあまりに受動的なのです)

「一人で過ごす力」を高めていくうえで、読書というのは非常に有効なエクササイズです。ぜひ、取り入れてみてください。

企画:プレタポルテby夜間飛行

<関連書籍情報>
『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』名越康文 著/1500円+税

驚く力書影 - コピー毎日が退屈で、何をやってもワクワクしない。テレビを見ても、友達と話していても、どこかさびしさがぬぐえない。自分の人生はどうせこんなものなのだろう――。そんなさえない毎日を送るあなたに足りないのは「驚く力」。
現代人が失ってきた「驚く力」を取り戻すことによって、私たちは、自分の中に秘められた力、さらには世界の可能性に気づくことができる。それは一瞬で人生を変えてしまうかもしれない。自分と世界との関係を根底からとらえ直し、さえない毎日から抜け出すヒントを与えてくれる、精神科医・名越康文の実践心理学!  amazonで購入する

精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。