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2015年04月20日

一人で過ごす時間の価値

一人で過ごす時間の価値

テレビでおなじみの精神科医・名越康文(@nakoshiyasufumi)が心の悩みにズバッと答える! この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

人生が短いと感じるのは、我々が多くの時間を浪費しているからだ

人生の質というのは、「誰」と「どれくらいの時間」過ごすかということに集約されるといっても過言ではありません。

しかし僕らは往々にして、そのことを軽率に決めてしまいます。特に心の中に怒りや、寂しさを溜めていると、「一人で過ごす」ことを恐れるあまり、気の進まない予定を無理矢理作ってしまうことすらある。週末に予定が入っていないと不安になり、特に会いたくもない人に電話をかけ、食事や、遊びに予定をいれてしまうのです。

でも、人生の限られた時間を、好ましい人と過ごすのに費やすか、しんどい関係を維持するために費やすのか。少しでも自分が楽に過ごせる時間を増やすことを考えるべきだと思います。

ネロの家庭教師で、後にネロに命じられて自死に追い込まれてしまったセネカ(ルキウス・アンナエウス・セネカ)という人がいます。彼の著書『人生の短さについて』には、古来、多くの賢者が人生は短いと嘆いてきたけれどそれは間違いだ、ということがつづられています。

人生は本来、十分に長い。しかし多くの人がそれを短いと感じる。それは僕らがあまりにも多くの時間を浪費しているからだというんですね。

ひとりで過ごす充実した時間は人生において非常に価値のあるものである

僕らは、お金についてはほんの小額でも他人に与えたり、浪費したりすることを躊躇するのに、時間に関しては、ひと財産ぐらいを平気で人に与え、浪費しています。でも、本当は、時間のほうが財産なんかよりずっと貴重です。財産は失ってももう一度作ることができるけれど、寿命は決して伸びない。時間というのは、ほんとに取り返しのつかないものなんだということをセネカは説いている。

僕はこの言葉を四十歳ぐらいの頃に読みましたが、本当に身にしみました。僕らは往々にして、自分一人で過ごすのは不安だから、とにかく誰かと一緒に過ごす、という選択をしてしまいがちです。もちろん、誰かと過ごす時間も大切です。しかし、自分一人で充実した時間を過ごす、ということは、人生においてそれ以上に貴重で、価値ある時間なのだ、ということに気づいてほしい。

今週末はひとりで過ごす時間を作ってみる

例えばこの週末、予定は入っていますか? もちろん予定が入っていれば、その予定を満喫してください。でも、まだ予定が入っていなくてどうしようかな……と思っている人は、誰かを遊びに誘う前に、「一人で充実した時間を過ごす」ことを考えてみてください。

といっても誤解のないように。「一人で充実した時間を過ごす」というのは自分の部屋に引きこもる、ということではありません。できれば、出かけるのをお勧めします。近所の公園に出かけてベンチに座って目をつむり、瞑想してもいい。あるいは落ち着いた雰囲気の喫茶店に行き、読書するのもいいでしょう。

今週末、予定が入っている人も、その予定の前に図書館や喫茶店など、あなたをあなたと知る人のいない場所に行き、一人の時間を過ごしてみてください。そういう時間はきっと、あなたの人生を豊かにすると思います。また、そういう時間を過ごしておくことによって、その後の予定をより明るく、充実した時間にすることができるはずです。

ひとりの時間の豊かさは人間関係が好循環する一歩になる

僕自身、三十代のころまでは、一人で過ごすということが苦手でした。一人でいるとどこか、世界から置いてけぼりにされたような気分になってしまう。でも、時間というのは取りかえしのつかないものだということを、もう一度心に留めてください。

そして、その貴重な時間を誰と過ごすのかということに真剣に向き合ってみましょう。

一人で過ごす時間を豊かにしていくと、不思議なことに、友人や気になる異性が、向こうのほうから振り向いてくれるようにもなります。イベントに参加したときも、これまでよりずっと充実した時間を過ごせるようになる。一人で過ごす時間を豊かにすることが、人間関係の好循環に入っていく、大きな一歩になるのです。

企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。