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2015年04月27日

自分に甘い性格を直したいです│【精神科医・名越先生のカウンセリングルーム】

自分に甘い

テレビでおなじみの精神科医・名越康文(@nakoshiyasufumi)が心の悩みにズバッと答える! この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

お悩み:自分に甘い性格を直したいです

高校2年生、男子です。来年大学受験を控えているのですが、いまいち勉強にやる気が起きません…。中間や期末試験の前に、勉強しなきゃと思ってもついゲームヤマンガに手を出してしまい、結局いつも前日に一夜漬け、みたいな状態です…。こんな自分に甘い性格を直したいのですが、どうすればきちんと計画通りにできるようになりますか?(高校2年生・男子)

集中できないのは、性格ではなく「環境」

勉強したいと思っても、ついゲームやマンガに手を出してしまう。受験生に多い悩みですよね。こういう場合、本人はもちろん、親も、「自分自身の能力」に問題がある、と考えがちです。集中力がないから、頭が悪いから、自分に甘いから……というふうに。

でも、僕の経験上、本人の能力や性格は、勉強に集中できるかどうかにはあまり関係がありません。

では何が問題なのか。それは「環境」です。勉強に集中したければ、勉強に集中できるような「環境」を作ればいいのです。

そう言われてもピンと来ない人も多いかもしれませんが、環境が人間に与える影響というのは想像以上に大きなものがあります。それこそ、生半可な才能や能力、あるいは意志の力では太刀打ちできないような力を、環境、あるいは「場」というものは備えているのです。

例えば「東大に入りたければ、東大合格者の多い進学校や塾に行けばいい」ということがよく言われます。進学校や塾の宣伝をするわけではありませんが、実際問題、自力でがんばって受験勉強をするよりも、そういったところに入ったほうが東大に合格する確率は圧倒的に高いようです。

では、そうした進学校や塾では、東大に合格するための、一般には知られていないような秘密の授業が行われているのでしょうか? 僕はおそらく、そうではないと思います。もちろん、授業自体は素晴らしい内容で行われているでしょう。でも、その学校からの東大合格者が多い決定的な理由は、授業の質が高いからというよりはむしろ、クラスメイトの多くが「東大に入りたい」もしくは「自分は東大に行くのが当然だ」と思っているからだと思うのです。

それぐらい、人間というのは、環境、すなわち場の影響を強く受ける生き物です。ですから、あなたが「どうしても勉強に集中できない」のも、あなたの能力や性格のせいではないと僕は考えます。おそらく、あなたが勉強しようとしている環境が、あなたの勉強の邪魔をしている可能性は非常に高いのではないかと思うのです。

「勉強は勉強部屋で」という固定観念を捨ててみる

勉強
あなたの中に「勉強というのは、自宅の勉強部屋でするもの」という思い込みがないでしょうか? しかし、自宅の勉強部屋にはおそらく、あなたが大好きなマンガや、あなたがどうしてもやりたいゲームがあります。つまり、あなたの勉強部屋はすでに「勉強する環境」ではなく「マンガを読む」「ゲームをする」のに適した環境になってしまっているのです。

よって、あなたの場合、勉強に集中したいなら、「勉強部屋以外に勉強する場所」を見つける必要があります。ご両親の目の届くリビングのほうが実は勉強ははかどる、ということは最近良く言われていることですし、図書館や、有料の勉強部屋といったサービスもあります。そういったものを検討してみるのも、ひとつの方法です。

僕も中学生、高校生の頃、やはり自分の机では勉強できませんでした。理由はあなたと同じです。引き出しの中には僕の大好きなマンガが入っていたし、テレビのある部屋もすぐ近くにあったからです。

では、僕はどこで勉強したか。それは「通学電車の中」です。通学電車に乗っている時間は、急行で25分だったんですが、僕はわざと45分かかる準急に乗って、その間を勉強時間にあてるようにしていました。

「勉強は勉強部屋で」という固定観念を捨てて、「自分が一番集中して勉強できる場所」を自分なりに見つける。これがあなたにとって、勉強に集中する第一歩となると思います。

スマホやゲームの誘惑を封じるには「書く」のが効果的

また、ちょっと蛇足になってしまうかもしれませんが、今の中学生、高校生にとっては、この「勉強の場をつくる」というときに、スマートフォンをどうするか、ということも問題になることだろうと思います。友人とのSNSやゲームといった誘惑が手元にあると、どこで勉強しても、集中力を削がれてしまう原因となりかねません。

もちろん、勉強の間は電源を切るとか、勉強する場にはスマートフォンを持っていかない、ということもひとつの方法です。ただもし、それは難しいということであれば、「書く」ということを勉強のルーティンの中に入れる、というのも、僕はお勧めしたいと思います。

例えば英単語を覚えるときに、じっと単語を見たり、読んだりして覚えるだけではなく、とにかく何度も書いて覚えるようにする。勉強=暗記ではありませんが、暗記ということは、実はあらゆる科目において欠かせない要素です。数学や理科であっても、難問を解くためには公式や化学記号の暗記が必要です。

そして、「書いて暗記する」という勉強法のいいところは、書いている間はスマートフォンをいじったり、ゲームをしたりすることができない、ということです。

勉強に集中できる場を作る、そして「書く」ということを勉強のルーティンにいれる。この2つで、ぜひ受験勉強を突破していただければ幸いです。がんばってください!

企画:プレタポルテby夜間飛行

<関連書籍情報>
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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。