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2023年10月17日

料理家・長谷川あかりさんインタビュー「料理家の仕事が好きかは、まだよくわからない。それでもなりたい自分に近づいている」

長谷川あかり 料理家 インタビュー タウンワークマガジン townworkアルバイトやサークル、インターンの参加など、アクティブに過ごしていても、好きなことを見つけられずにいる学生もいるでしょう。今回は、子役・タレントから料理家へと転身し、SNSでも人気の料理家・長谷川あかりさんに取材。その時々でどのような思いで過ごしてきたのかを聞き「好き」を見つけつるヒントを探っていきます。

 

子役・タレントから22歳で結婚、大学受験へ

――長谷川さんは子役として活躍された後、大学に進学されていますよね。きっかけは何だったんですか?

結婚は22歳だったのですが、夫から「大学に行ってみれば?」と言われて、「なるほど。大人になっても大学に行っていいんだ」と思ったのがきっかけです。だったら好きな「食」について学ぼうかな、と。

――さらっとお話してくださっていますが(笑)。22歳の結婚も大学進学も、かなり大きな決断だったのではないですか?

いえいえ、進学については決断というより楽しみのほうが大きくて。子役を始めた時から芸能の道しか考えてこなかったし、他の道を選ぶのはなんとなく”逃げ”なんじゃないかなと思っていたので、「新しい道を堂々と選んでいいんだ!」と、むしろポジティブな気持ちでした。結婚にしても、お付き合いをする=結婚!と思っていたので、そこまで決断をした感覚はありませんでしたね。

――少し話が前後しますが、子役として活動されていた当時を振り返って、原動力は何だったと思いますか?

褒められること、ですかね(笑)。もちろん子役もタレント活動も好きでやっていましたが、私は周囲の期待がないとダメで、求められて「すごい」と言われるのが嬉しいんです。周囲の期待に応えたいというのが自分の原動力になるんだって実感しました。

――ひとりでコツコツと頑張るのは…?

無理です!誰も見てなくてもコツコツ努力できるタイプの人っていますよね。羨ましいなと思います。私は、評価されないと努力できなくて。でもその分、評価されるために頑張って、それがまた評価されて、また頑張って…というサイクルに入れると強いタイプかなとは思います。

 

受験勉強はやることが明確で結果がでるから楽しい

長谷川あかり 料理家 インタビュー タウンワークマガジン townwork――大学受験のお話も聞かせてもらえますか?

受験勉強はやることが明確で、答えがあり、勉強したらした分だけ結果が出て、順位に反映される。それが面白かったです。芸能界はこれといった正解がない世界だったので、正解があるっていいな、と思って勉強できました。楽しかったですよ。

――まさか「楽しい」という答えが返ってくるとは思いませんでした。大学での勉強はいかがでしたか?

入学したのは短大だったのですが、「わからない」ということがわかりましたね(苦笑)。
そもそも、食べ物に含まれる栄養素は薬のように短期的で明確な作用があるわけではないんです。これを学んでからは、「この栄養素は体に良い」「この食べ物は痩せる」という言い切り表現はできなくなりました。じゃあ結局栄養素ってなんなの?という問いに2年の勉強では到底答えられないなと思い、短大から4年制大学へ編入しました。

 

大学生活と家庭との両立が「料理家」への道筋に

長谷川あかり 料理家 インタビュー タウンワークマガジン townwork――引退、結婚、大学進学、今は料理家として活躍されていますが、行動することでどんどん道が開けているように感じます。迷いはなかったですか?

私、決めるのは早いんですが、基本的にめっちゃ悩むんです。本当は自分に自信がない。だから、たぶん自分の中に答えはあっても違う選択肢を用意して考えるんです。例えば、ファミレスでメニューを選ぶのに、ハンバーグととんかつで悩んでいたはずなのに、「決まりましたか?」と聞かれたら、ぱっと「ドリア!」って言っちゃうような(笑)。結局は直感に従って決めるんですが、そこに行きつくまではいろいろ考えてしまいますね。

――「料理家」を目指したのはいつ頃、どんなきっかけでしたか?

「料理家」という職業を意識したのは大学3年生の時です。当時は、大学生活と家庭生活との両立でとにかく忙しくて。すると、いままで好きだった料理が、毎日の「家事」になってしまうんです。短時間でできる料理は効率的だけど、料理をつくる楽しみの部分まで奪われる気がして、どうにも物足りなくて……。手間をかけず、作る楽しみも得られて、日々の栄養もちゃんと取れる、そんな料理を作れる人になりたい、そう思ったのがきっかけです。

――大学3年生というと就職活動の時期ですよね。

私も当時は就職も考えていました。でも、私が作りたいちょうどいい料理を発信している人が私の知る限りあまりいなかったし、あったとしても、そういう料理を必要としている私と同じくらいの世代の人に、ちゃんと届いていないな思ったんです。これってすごくもったいないなと。「料理家」という職業を意識したら、食を学んだ自分と芸能界に身を置いていた自分、どちらも捨てることなく活かせると思いました。

 

スープ作家・有賀薫さんとの出会いがターニングポイント

長谷川あかり 料理家 インタビュー タウンワークマガジン townwork――今の活躍につながる転機があるとしたら、どんなことだったでしょうか。

スープ作家の有賀薫先生のアシスタントになったことだと思います。大学4年生のことです。

――有賀薫さんといえば著名なスープ作家ですよね。どのような経緯でアシスタントになったのですか?

本当に偶然SNSでアシスタント募集の告知をみて、すぐに応募しました。数十分しか告知しなかったらしいですが、応募は殺到したようです。

――めったにないチャンスですよね。長谷川さんがアシスタントとしてチャンスをつかんだ理由はなんだと思いますか?

「料理家になりたい」という夢は秘めていましたが、実際に料理家が何をするのか、どうやってなるのか、全然わからなかったんです。だから、誰かに就いて教えていただきたいとは思っていましたが、だからといって料理家なら誰でも良いというわけではなく、届けていきたい料理の方向性が一致している先生の元で…と思っていました。

――有賀薫さんのどんなところに魅力を感じていたんでしょうか。

有賀先生のレシピって、「この料理がどういう時、どのようにあなたの気持ちを満たしてくれるか」がすごく伝わってくるんです。今の時代、検索すればいくらでもレシピは出てきますが、有賀先生のスープには明確な思いがある。それがすごくいいな、と思って面接でお伝えしました。有賀先生のレシピのことなら他の誰よりも語ることができる、そんな自信をもっていたと思います。

 

自分の「好き」にこだわり過ぎず、周りの評価もヒントに

長谷川あかり 料理家 インタビュー タウンワークマガジン townwork――長谷川さんが料理家として注目されるのは、その後のことですよね?

大学を卒業してかなり時間ができたので、何か動き出さなくてはと自分もSNSで料理を投稿し始めたんですね。そしたら多くの反響をいただいて。そこから、「料理家」としての仕事が現実的なものになったという感じです。ありがたいことに今はたくさんのお仕事をいただいていますが、日々、手探りというか、必死です!

――長谷川さんがこれからやりたいこと、心がけていることはありますか?

今はまだ料理家として活動を始めたばかりなので、まずはいただいた仕事にていねいに向き合う。あとは、継続するのが目標です。もちろん、芸能界には長くいましたけど、でも「続けられた」と自信をもって言えることがまだないので、私のレシピを見てくださる方々と一緒に年を重ねていきたいな、と思っています。

――好きなことを探している学生に向けて、メッセージをお願いします。

好きなことがわからなくて普通だと思います。今の時代、「好きなことをしていいよ」「好きなことをするべき!」なんて言われることも多いですが、なんでも自由って自分で意思決定しなくちゃいけないから、むしろ結構つらいと思うんです。自分も正直、料理家という仕事が「好きか」と聞かれたら、よくわからない(笑)。でも、なりたかった自分には近づいているとも思っています。

――長谷川さんの原動力は「褒められること」でしたよね。

そうです(笑)。そもそも自信がないから周囲の期待を知りたいし、応えたいと思う。私は早く自分の道を見つけたように見えるかもしれないけど、働き始めた年齢を考えたら、結構時間がかかっています。学生のみなさんはまだまだこれからですし「自分の好き」にこだわり過ぎず、「向いているね」「得意だね」と褒めてくれる、周囲の声をヒントにするのも「好き」や「やりたいこと」を見つけるひとつの方法だと思いますよ。

 

■Profile
長谷川あかり

料理家・管理栄養士。
「なんでもない日を幸せにする、シンプルで豊かなごはんのレシピ」をSNSで発信中。著書に「クタクタな心と体をおいしく満たす いたわりごはん」(KADOKAWA)、最新刊に「材料2つとすこしの調味料で一生モノのシンプルレシピ」(‎飛鳥新社)がある。

◆X(旧Twitter):@akari_hasegawa
◆Instagram:@akari_hasegawa0105

取材・文/嘉屋恭子 撮影/八木虎造

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