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2023年12月14日

金縛りはなぜ起こる? 原因・解き方・対策について解説【睡眠専門医監修】

金縛り 起こる原因 タウンワークマガジン townwork寝ているときに体が動かなくなり、起きているのに声が出せない、人の話し声がしたなど金縛りの症状を経験したことはありませんか。「もしかしたら心霊現象?」と思う人もいるかもしれません。今回、金縛りの原因や症状、金縛りが起こったときの対処法に関して、睡眠専門医である睡眠総合ケアクリニック理事長の井上雄一先生にお話を伺いました。
 

金縛りとは?その仕組みと原因

金縛りとは、規則正しいレム睡眠のリズムが崩れてしまうことが原因で起こる睡眠障害であり、医学的に説明される生理現象の一つです。睡眠中は、身体も脳も休息しているノンレム睡眠と、身体は休んでいるけれど脳は働いているレム睡眠を繰り返します。レム睡眠は筋肉の活動が抑制されている状態なので、何らかの要因でレム睡眠から覚め、睡眠と覚醒の中間くらいの状態になったときに、脳は起きているのに「体が動かせない」と感じるわけです。これが金縛りの正体です。
 

金縛りは10代で発症する人が多い

金縛りは10代の思春期に症状が出る人が多く、加齢につれて減っていきます。若い人に出やすい原因ははっきりとは解明されていませんが、遺伝の影響を受けやすいといわれています。井上先生によると、クリニックで金縛りの症状を訴えるのは9割以上が10代だといいます。金縛りにあうのは珍しいことではなく、性別に関係なく発症し、国民の約6割が金縛りの経験があるともいわれています。
 

金縛りの主な症状

金縛りでよくみられる症状は、体に何かがのしかかってくる感覚です。これは、意識で体を動かそうとしても、睡眠中は抗重力筋(地球の重力に対し姿勢を保つ筋肉)の緊張がなくなるため、その重みに抵抗できないために起こります。また、レム睡眠は夢を見る睡眠状態なので、覚め際に夢が人の姿が見えるなどの幻覚や幻聴につながり、時には心霊現象と勘違いをしてしまうこともあるわけです。

<金縛りの主な症状>
・意識はあるのに体が動かない
・何かが体にのしかかってくる感覚がある
・息苦しい感じがする
・声が出ない
・夢の内容が押し寄せてきて、目を開けるとパッと消える
・幻覚や幻聴

 

金縛りになりやすい人の特徴や習慣

金縛りは睡眠サイクルの乱れにより引き起こされますが、その原因はどこにあるのでしょうか。金縛りになりやすい人の特徴や習慣をみていきます。

不摂生な生活をしている

金縛りの一番の要因は不摂生な生活です。問題なのは睡眠の量ではなく、寝る時間が不規則なこと。寝不足や睡眠時間帯の乱れはレム睡眠のリズムを崩し金縛りが起こりやすくなります。

仰向けで寝ている

仰向けの姿勢はレム睡眠で体の力が抜けても安定感があり、体の動きが生じにくく金縛りが起きやすいといわれています。逆に横向きの姿勢は体の力が抜けると不安定なので、レム睡眠が中断しやすく金縛りを避けやすくなります。

ストレスを溜めている

ストレスが多いとレム睡眠の活動が増えます。メンタルの乱れは睡眠の質の低下にもつながり、レム睡眠も不安定になるため金縛りになりやすくなります。

昼夜逆転の生活をしている

昼夜が逆転する生活も金縛りが起こりやすいです。交代勤務の仕事のほか、夜勤のバイト、旅行から帰ったときの時差ぼけも注意が必要です。レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れ、金縛りが起きやすくなります。

お酒(アルコール)の飲みすぎ

特に睡眠前に飲酒すると、夜間後半にレム睡眠が集中しやすく金縛りにつながります。
 

金縛りを解く方法

金縛りを解くには、無理に体を動かそうとせず、意識的に「起きるぞ」と気持ちを込めるイメージで、一気に目を開けて覚醒してください。金縛りは生理現象の一つなので、怖がらず冷静に対処しましょう。
 

金縛りを予防するには

金縛りを予防するには、まずは質の良い睡眠をとることが大切です。金縛りになりやすい人は、次の方法を試してみてください。

規則正しい生活を心がける

毎日同じくらいの時間に寝て起床するなど、規則正しい生活を心がけてください。レム睡眠とノンレム睡眠のリズムが整い、金縛りの頻度は減るはずです。

適度な運動をする

適度な運動をしている人のほうが眠りは深くなります、深い眠り(ノンレム睡眠)は脳が休息している状態で、「よく眠れた」という感覚です。適度な運動をして身体を疲れさせ、深い眠りにつくのは金縛りを予防するのに効果的です。

横向きに寝る

金 縛りは安定感のある仰向けの姿勢で起こることが多いので、手っ取り早く金縛りを回避したいときには、横向きの姿勢で眠りに入ってみてください。

 

頻繁に金縛りになる人は医療機関の受診を

金縛りは病気ではなく、生理現象の一つです。多くの人が経験していることであり、治療が必要なものではありません。ただし昼間に強い眠気に襲われる、かつ1晩または週に何度も金縛りの症状がある場合には、ねむり病(ナルコレプシー)など何らかの病気の可能性もあるので専門の医療機関への受診をおすすめします。受診先は日本睡眠学会のホームページに記載のある睡眠の専門医(https://jssr.jp/list)か、近くに睡眠の専門医がいない場合は心療内科をおすすめします。

月に1度、年に数回など、それほど頻度が多くなければ受診する必要はありません。何度か経験したことがあるなら規則正しい生活を心がけつつ、生理現象の一つと認識して上手に付き合っていくことが大切です。

 

<お話を伺ったのは>
睡眠総合ケアクリニック代々木
理事長・井上雄一(いのうえ ゆういち)先生

医療法人社団絹和会 睡眠総合ケアクリニック代々木・理事長。東京医科大学睡眠学講座教授。睡眠総合ケアクリニック代々木は精神科、呼吸器内科、神経内科があり、睡眠障害の専門的な診断と、患者によりそう治療を行っている。著書に『ササっとわかる「睡眠障害」解消法』、監修に「名医が答える!不眠 睡眠障害 治療大全」などがある。

 
取材・文 荒川文乃

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