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2025年06月24日

カレー沢薫の「日々、なりゆき、運任せ」│多様化社会の歩き方

カレー沢 コラム タウンワークマガジン townwork「普通」の時代は終わった、これからは「多様化」である。

昨今呪文のように唱えられている言葉だが「で結局多様化って何なの?」と問われて「オウフ」と早口多様化語りを始める者は少ないだろう。

簡単に説明はできないが、自ら「多様」と名乗っているような奴が一言で説明できるようでも困る。

言葉だけが広がりすぎて、政治家の集まりに何故かセクシーダンサーを呼んだ言い訳にも「多様性」が出てくるなど、悪い意味で使われ方が多様化してしまっている感もあるが、今世界が目指す社会の在り様が「多様化社会」なのは確かだろう。

おそらく多様化社会とは、年齢性別人種などを問わず、全ての属性の人間が尊重され、差別なく平等に扱われる社会のことを指すのだろう。

しかし、多様化しようとするあまり、何故多様化を目指すのかという「目的」を見失っては意味がない。
おそらく「万人が差別なく『暮らしやすい』社会」が多様化の目的だ。

先日原稿に「いい年をしてインターネットばかりしている」と書いたところ「年齢差別に当たる」と修正を求められた。

「使ってはいけない表現が年々増える」という意味で、我々ライターは多様化のおかげで早速暮らしづらくなっているとも言えるが、時代に合わせられない奴はどんな職業でも二流ということだろう。

確かにインターネットと年齢は関係ないし「いい年をして」などという言葉が、年齢を問わないチャレンジを阻害する恐れがある、この多様化社会にあるまじき表現だ。

そんなわけで急ぎ修正した結果「年齢問わずインターネットばっかりやっていていいわけがない」という、全世代平等に厳しい文章になってしまった。

多様化社会も平等を追い求めた結果「全人類が等しく生きづらい社会」になったら無意味であり、むしろ多様化しない方が良かった。

多様化の真の目的は「平等に生きやすい社会」なはずである。

しかし日本人はストイックなのか、SMLがあったら「M」を選ぶ中庸の精神があるせいなのか、苦と楽があったら「全員苦労しよう」という発想になりがちだ。

平等にするなら、みんなが平等に楽をできた方が生きやすいのではないかと思うし、そのための多様化だろう。

だとすればデフォルトで苦要素高め説がある「労働」は一刻も早く多様化し、全員が等しく楽になっていくべきだろう。

求人に年齢や性別制限禁止など、労働に関しては早くから平等化が図られてきた。

しかし、老若男女問わず社員全員に朝礼前に100キロの岩を運ぶことが義務付けられ、運べない奴は無能、50キロに免除されている奴がズルいと糾弾されている会社が働きやすいかというとそんなことはないし、会社側にとっても離職率が78%ぐらいになってメリットがないだろう。

労働における平等と多様化というのは、万人が自分にあった仕事を選択でき、それで生計を立てられることを指すのではないか。

つまり万人の能力や適性に対応するため、業種や働き方の方を多様化させていくべき、ということだ。

そういう意味で私がやっている「漫画家」という職業は労働の多様化の先駆けと言えるかもしれない。

会社に勤め1日8時間、週5で勤務といういわゆる「普通」と言われた働き方がどうしても無理な人間が生計を立て税金を納める働き方の一つが漫画家である。

実際「会社勤めが無理だから」「人づきあいを避けられるから」という消去法的発想で漫画家になった者は少なくない。

幸い、そういうタイプが自活するための働き方は多様化傾向であり、仕事内容だけでなく、フレックスやリモートなど、勤務形態や場所の幅も広がりつつある。

そして先日ついに「無断欠勤OK」の会社が誕生したというニュースを見かけた。

そんなことをしたら週5で会社が無人にならないかと思ったが、一応2週間で合計20時間以上勤務などのルールはあるようで、それで問題なく、むしろ業績は伸びているらしい。

そのやり方で生産性が落ちないなら働き方の幅を広げて働ける人材を増やした方がいいだろう。

しかし「仕事の方が俺に合わせろ」というにも限界がある、少なくとも会社の方が自宅に来るという日はなかなか来ないだろう。

せっかく働き方が多様化傾向なのだから、こちらも自分に合った仕事を「選ぶ」ぐらいの努力はしなければいけない。

やりたいことや、就きたい仕事などなくていい、やりたい仕事の次に見つけるのは適当な仕事ではなく「できるだけ自分に合った仕事」であり、そのために自分が何に向いているかを早めに知ることが大事だ。

そこで「みんなが会社に入るから入る」などの普通に流されると地獄を見ることになりかねない。

私はそれで会社員になってしまい約10年、私と一緒に働いた人に地獄を見せて来た。

「仕事を選ぶ」というと、贅沢でわがままのように聞こえるかもしれないが、逆である、周囲の人間、そして社会のために仕事は選ぶべきなのだ。

カレー沢薫
1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビュー。SNSでは“自虐の神”と崇められる人気作家。
X(旧Twitter): @rosia29

【カレー沢薫の「日々、なりゆき、運任せ」】
▶第5回 仕事のやる気まち問題
▶第4回 お金をとるか、時間をとるか
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▶カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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