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2016年06月10日

多数派と少数派、どっちが有利?

石田衣良さん悩み相談main

多数派と少数派、生きやすいのはどっち? そんなお悩みに、作家の石田衣良さん(@ishida_ira)が答えてくれました。

Q. 多数派と少数派、どっちが有利?

19歳、大学生男子です。今まで枠からはみ出ないように堅実に生きてきて、それなりの大学にも進学できました。これまで、自分の意見を言う時は多数派になるようにしてきたと思います。

ですが、大学でいろんな人に出会う中で、少し変わった個性を持っている人たちがかっこいいと思うようになってきました。個性的な人たちは目立つので、いろんなチャンスを得られているようにも見えます。これまで「多数派のほうが生きやすい」と思ってきましたが、違うのかも。多数派と少数派、どちらが生きやすいのでしょうか?
 

無理やり型にはめる必要はない

これは、日本で生活しているすべての人が1度は考える問題じゃないですか。ただ、どちらも大変ではあるんだよね。少数派は少数派で生き残るのって難しいじゃないですか。多数派にいると安全なんだけれど、人数が多いので競争が激しくなります。中小企業の社長になるのはそんなに難しくないけど、従業員が1万人いる一部上場企業の社長になるのは、すごく大変ですよね。

あなたは今まで割と無難に生きてきたけど、いろんな個性的な人を見て「ちょっといいな」と思い始めていますよね。ということは、たぶん、あなた自身は割と個性派なんだよね。しかもこの文章の書き方を見ると、なかなか賢いじゃないですか。たぶん、今から何年か後には、少数派の生き方を選ぶ人間になってしまっていると思いますね。

みんな自分の頭で判断して「こちらが有利だ」とか「得だ」ということで生き方を選べると思っているかもしれないけど、実は選べないんですよね。自分の生き方あるいは個性って生まれつきのものなので、それを無理やり型にはめなくてもいいかなとは思います。意識的に選ぶというよりは、自然にはみ出していくものですから、そこも心配ないなっていう気がします。

たくさんの人から個性のあり方を学ぶ

今19歳ですから、これから新卒の採用を蹴るか蹴らないかっていう大きな決断があるでしょう。そこで蹴ってしまえば、嫌でも個性派の生き方になるのかな。逆にね、秘密情報部員みたいに大企業に入った上で、ひそかな個性派になるという生き方もあるので、あれこれ楽しみながら考えてみて下さい。世間にはすごく変わっていて、おもしろい仕事している人もいますから、いろんな人を見たらどうですかね。バイトして社会人に話を聞くのもいいと思います。

学生同士だと、個性的な人を見て「かっこいい」と言うぐらいで済みますけど、社会の中で、自分の個性を生かしながら仕事をしている人っていうのは、やっぱり数としてはなかなか少ないので。そういう人のサンプルを見ておくといいかもしれないですね。

個性っていうのをみんな履き違えていて、ちょっと変わっていたり突拍子もないことをしたりするのが個性だと思っているじゃないですか。でも実は、大学の頃とんでもない格好をしたり、中央線沿線のヒッピーみたいなことをしたりする人って、社会人になってから会うと皆普通になっているんだよね。かえってその頃、「自分は普通だ」と思いながら、心に何か過激なものを抱えていたぼくなんかのほうが変な生活をしていますから。そう考えると本当に深い部分での個性っていうのは、そう単純に見えるものではないよとは言いたいですね。もっともっと、いろんな人に会って、個性のありかたを学んでほしいな。

※この記事は公式メルマガ「小説家と過ごす日曜日」よりお届けします。

企画:夜間飛行

ira_ishida のコピー石田衣良(いしだいら)
1960年、東京都生まれ。‘84年成蹊大学卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターとして活躍。‘97年「池袋ウエストゲートパーク」で、第36回オール読物推理小説新人賞を受賞し作家デビュー。‘03年「4TEENフォーティーン」で第129回直木賞受賞。 ‘06年「眠れぬ真珠」で第13回島清恋愛文学賞受賞。 ‘13年「北斗 ある殺人者の回心」で第8回中央公論文芸賞受賞。 「アキハバラ@DEEP」「美丘」など著書多数。 最新刊「オネスティ」(集英社) 公式サイト http://ishidaira.com/