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2017年06月21日

趣味に没頭できる人=仕事ができる人?(名越康文)

名越康文 コラム タウンワークマガジン

趣味や好きな芸能人に時間を忘れて熱中できる人がいます。その一方で、好きなことをしていてもあまり持続しない、情熱が持てない人がいます。何かに没頭できるということは集中力がある、ということだと思うのですが、そういう人は、やはり仕事でも成功しやすいのでしょうか、テレビでもおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)に答えていただきました。

没頭できるのは、それが「趣味」だから

名越康文 コラム タウンワークマガジン
何かに時間を忘れて没頭するということは、普通に考えれば、いいことですよね。僕も何度か、テレビ局でアイドルの「出待ち」をしている方を見たことがあります。彼らの表情をみると、彼らがどれだけそのアイドルのことが好きなのか、好きでいることが、どれほどその人にとって幸せなのか、ということがよくわかります。

また、時間を忘れて何かに没頭することは、その人の才能を伸ばしていく上でも、大きなカギとなるということは、経験的にいって間違いないところでしょう。音楽でも、絵でも、ゲームでも、読書でも、なんでもそうですが、時間を忘れて没頭することによって、初めて伸びていく力、得られる能力というのがあると思います。

ただ、そうした「没頭すること」の良さというのは、あくまでその対象が「趣味的な何か」だからこそ、成り立つものだということも、忘れてはいけないと思います。つまり、僕らは人生のすべてを「何かに没頭して過ごす」というわけにはいかない、ということです。

もちろん、「毎日仕事するのが楽しくて仕方がない!」「自分にとって、仕事というのは趣味のようなものだ」とおっしゃる人も、たくさんおられます。でも、やっぱり、仕事は趣味のように、没頭することはできないはずなんです。

僕らが何かに没頭できるのは、それが「趣味」だからです。

それが「仕事」になった瞬間、僕らは対象に百パーセント没頭することができなくなるのです。

仕事と趣味を分けるのは「締め切り」

名越康文 コラム タウンワークマガジン
そもそも、皆さんは仕事と趣味って何が違うと思いますか?

報酬があるかどうかでしょうか? でも、「無償の仕事」もあれば、「趣味だったのにいつの間にか報酬が貰えるようになった」というケースだってありますよね。

私の考えでは、仕事と趣味の一番の違いは「締め切り」です。「いつまでに、これをやってもらわなければいけない」という<約束>があるのが仕事。そういう<約束>がないのが趣味なんです。それは「始まりと終わりがある」のが仕事で、「始まりも終わりもない」のが趣味だと言い換えることもできるかもしれません。

たとえば、製造業には、必ず納期があります。レストランだって、注文してから何時間も待たせているようでは、二度とお客さんがきてくれませんよね。テレビのタレントさんは、収録の時間には必ず現場にいなければいけません。おそらく、世の中に「仕事」と呼ばれるもので、広い意味での「締め切り」や「始まりと終わり」がないもの、というのは存在しないのです。

それに対して、趣味には、締め切りがありません。始まりも終わりもありません。自分がやりたいときに、やりたいペースでやっていい。だからこそ、「没頭する」ということが可能となるのです。

すべての仕事は「中途半端」で終わる

名越康文 コラム タウンワークマガジン
どれほど仕事を愛している人であっても、それが「仕事」である以上、「没頭する」ということは許されません。なぜなら、没頭したら、締め切りを守れなくなってしまうからです。

締め切りがあるから、仕事は成り立っている。だからこそ、仕事はいつも、「中途半端」で終わるのです。

そんなの嫌だ、という人もおられるかもしれませんね。
私にはこだわりがある。中途半端で終わるわけにはいかない、と。

実際、中途半端で終わらせず、最後まで没頭して「仕事」をやりきろうとした人もいます。たとえば黒澤明やチャーリー・チャップリンのような人たちは、締め切りや予算を度外視した「仕事」をしてきたことで知られています。

でも、それはあくまで「例外」なんですよね。完璧主義が「仕事」として通用するためには、飛びぬけた才能はもちろんのこと、時代のめぐりあわせや、しりぬぐいをしてくれるサポート役の存在など、たくさんの条件がそろわなければ、決して実現できません。

しかも、そうやって実現した「完璧主義的な仕事」を成し遂げた人が、幸せであったかどうかは、誰にもわかりません。おそらく多くの場合、そういう、一つの仕事に没頭して行われる「完璧主義的な仕事」というのは、<幸せ>なものとは言えないだろうと思います。

仕事に必要なのは「続ける」ということ

名越康文 コラム タウンワークマガジン
仕事は趣味のように、没頭するものではなく、「煮詰まらずに続けていく」ものだというのが、僕の考えです。「これだけがんばっているのに成果が出ない」という煮詰まりの感覚が出ると、仕事が嫌になるし、続きません。

では、仕事で煮詰まらないためにはどうすればいいか。そこには2つの条件が必要です。それは、「好き」だけど「得意じゃない」ということです。

何十年も一つのことを続けようと思ったら、それが「好き」であることは絶対条件です。でも一方で、それをやっているうちに完璧主義に陥って、煮詰まってしまうようだと、続けることが、辛くなってしまうでしょう。

好きでありつつ、継続し続けるためには、それが「得意じゃない」ということが重要なんです。なぜなら、私たちはあまりにも自分が「得意」なものについては、すぐに煮詰まってしまいやすいからなんです。

あまり器用にこなせない。才能が有り余るほどあるわけじゃない。そういう対象を仕事にした人は、案外、だんだんとその業界での評価を高めていくように思います。なぜなら、そういう人はなかなか、煮詰まらないからです。

武術家の甲野善紀先生が、昔「煮詰まらないためのコツは、最後までやろうとしないこと」という名言をおっしゃっていたことがありましたが、人は得意ではないことほど、長続きさせることができるんです。

ですから「一つの物事になかなか没頭することができない」という人も、あまりそれを引け目に感じる必要はないと僕は思います。もちろん、何か没頭できるような趣味があれば、人生は豊かになるでしょう。しかし、突き詰めれば人生も仕事も、煮詰まらず、最後までコツコツとやり続ける人が、勝利者になるのです。

 
※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。