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2017年09月29日

学者芸人サンキュータツオが薦める学生時代に読んでおきたい「ヘンな論文」

サンキュータツオ

「論文」と聞くと、堅苦しくてつまらない印象を持つかもしれませんが、実はとってもおもしろい! 通常ではありえないテーマを本気で研究している『ヘンな論文』を見つけ、著書で紹介しているのが学者芸人のサンキュータツオ氏。そんなサンキュータツオ氏に学生時代に読むべき『ヘンな論文』を聞いてみました。“何か好きなことを突き詰めたい”。そんな人に参考になるインタビューです。

自分が興味のあることを純粋に綴るからこそ論文はおもしろい

「論文」とはそもそもアマチュアリズムです。学校の先生が喜ぶような題材できちんとした研究のもとに書きあげるのではなく、ただ、自分の興味があることをあらゆる手段で実証していく。つまり、自分が知りたいことをひたすら綴った文章なのです。お金や評価は気にせずに純粋に気になることを追い求めているからこそ、論文はおもしろい。その中でも「おおいなる時間の無駄遣い」と褒めたくなるものを紹介します。

論文No.1
「プロ野球選手と結婚するための方法論に関する研究」

サンキュータツオ

この論文を書いたのは女子大生。タイトルは論文風ですが、要はプロ野球選手と結婚したいと思った女子大生が、「プロ野球選手と結婚する方法」をまとめたもの。しかし、この論文が素晴らしいのは緻密な研究。実際にプロ野球選手にアンケートを実施して、プロ野球チームごとに選手の既婚割合、平均年齢、平均年棒、結婚相手の職業、年齢、知り合ったきっかけ、出身地などのデータを収集。これだけでも十分読み応えがあります。

また、日本の結婚の実態と照らし合わせて論じられているので「女性の結婚」という深いテーマも見え隠れしている点もすごい。「どうすればプロ野球選手と結婚できるの」という雲をつかむような状態から、具体的なデータを集め、日本の結婚の姿までを書いた傑作です。

論文No.2
「秘伝のタレの寿命は何歳? ~鰻数列の解明~」

サンキュータツオ

秘伝のタレという言葉は誰しも聞いたことがあるキーワード。継ぎ足しているタレ全体に含まれる、創業時のタレの量はどれぐらいなのかを調べています。タレの量を数学的な手続きを経て疑問を実証するというこれまでなかった研究であり、さらに驚くべきことにこの論文を書いたのは中学生! 

実証方法は1日に使うタレの量と使った分を継ぎ足す量を漸化式という方程式を使い解明。その結果、秘伝のタレという歴史ある題材に対して、創業からのタレは151日しかもたないというロマンのない結果も素晴らしい! 着目点と緻密な研究が光る論文です。

論文No.3
「手づくりお弁当テクニック」による好意獲得と説得効果

サンキュータツオ
出来合いの弁当を渡して何か買ってほしいとお願いしたときと、手作り弁当を渡して同じお願いをした際、人はどちらのほうが相手の要望を聞くのかという研究を実践し、まとめたものです。結果として、手作り弁当を渡したほうが8割も要望を断らないというデータが出ました。

これは数字よりも実際に行った実験をもとにまとめているのがポイント。さまざまな実証方法があるおもしろさを伝えてくれる論文です。

論文を学生のうちに読むメリットとは

サンキュータツオ

「物事を深堀りする目が養われる」

論文を読むメリットは、点でしか見ていなかった出来事が線になるということ。たとえば好きな野球チームが「今年は調子が悪いのはなぜだろう」と思うのは点。そのチームの実績を数年遡って調べてみると、調子がいいときと悪い時の傾向が見えてくると線になるわけです。つまり出来事を深堀りする楽しさを知れば、社会に出たときにより視野が広くもて、普段の会話に深みがでるでしょう。

今、大学生のみなさんは、さまざまな大学の先生から学問を学んでいると思いますが、講義以外の先生をよく観察してみれば、自分が好きなことを徹底的に研究している先生がほとんどでしょう。たとえば、授業はつまらなく感じても、先生が追求していることはものすごくおもしろい場合も多い。先生自身を深堀りすれば、すごく楽しい話が聞けるかもしれません。学生のうちに研究者でもある先生と仲良くしておくといいかもしれませんね。

まとめ

学生時代は自由な時間が多く、好きなことを突き詰めるには絶好の時期です。だから好きなこと、興味のあることをとことんやってみてはいかがでしょうか。それが少しヘンかな? と思うことであっても、今回サンキュータツオさんにご紹介いただいた論文レベルまで突き詰めれば、それはヘンではなくなるはず。ひょっとしたら将来の専門分野になるかもしれませんよ。

■プロフィール
サンキュータツオ

早稲田大学在学中に漫才コンビ「米粒写経」として活動開始。早稲田大学大学院修了後、一橋大学、早稲田大学、成城大学で非常勤講師を務める。文学修士として日本初の学者芸人でもある。最新著に『もっとヘンな論文』がある。

取材・文:中屋麻依子 撮影:刑部友康