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2017年11月07日

【コラム】漠然とした将来への不安とどう折り合いをつける?(名越康文)

名越康文 将来 不安 漠然 悩み 心理学 タウンワーク 大学生 アルバイト

安定した職に就く、リスクを負って夢に向かうなど、若者には将来の選択肢がいくつもありますが、どの道を歩むとしても漠然とした将来不安を抱えている人は少なくないと思います。このモヤモヤした気持ちとうまく折り合いをつける方法などはあるでしょうか。TVなどでおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)にお話しを伺いました。

不安やモヤモヤの「本当の原因」とは

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漠然とした将来への不安、モヤモヤしてすっきりしない気分……。

そういうものを日々、抱え続けている人に一番必要なことは何か。

それは早起きして、近所をジョギングするとか、週に2回、ジムで汗を流す、ということなんです。

つまり、将来の不安や、モヤモヤしてすっきりとしない気分の理由は、何よりも「運動不足」だということです。

ただ、こう申し上げると、たくさん反論が来そうですね。社会にはさまざまな問題があるし、将来に不安を覚えても当然の社会環境じゃないか、と。

もちろん、そうした環境要因があることを、僕は否定しません。

しかし、朝、いつもより1時間早く起きて、近所をウォーキングする。毎日それを3か月続けてなお、「漠然とした将来への不安」や「モヤモヤしてすっきりしない気分」を抱え続けるという人は、私の知る限り、ほとんどおられないんです。

逆に言えば、どれほど恵まれた環境にある人であっても、寝不足や運動不足、不摂生な生活を続けていれば、なんとなく将来が不安になったり、モヤモヤしてすっきりしない気分を抱えてしまうことはあるのです。

自分をモニタリングする

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モヤモヤとした不安の原因はあなたの体調にある。

こう言われて素直に「そうですね」と受け入れられる人は、あまりおられないと思います。というのも、私たちは不安な気持ちに陥っている時、心のどこかで、そういう自分を正当化したいと考えているからです。

「こんな社会状況だから、不安になって<当然>だ」

「私の境遇に置かれたら、どんな人でもモヤモヤした気分になるのが<普通>だ」

でも、ここに落とし穴があります。

なぜなら、このように考えているうちに、私たちは無意識のうちに、「不安で、モヤモヤしている自分」を基準に、自分のアイデンティティを構築してしまうからです。

不安に囚われたり、スッキリとした気分に陥ること自体は、人間である以上、仕方のないことです。

重要なことは、そういう精神状態が「異常である」ということに気づくことなのです。

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僕の経験で恐縮ですが、先日、こんなことがありました。

確か、目黒の駅の階段を降りている時だったと思います。前から、同じ階段を上ってくる60代ぐらいの男性が、僕を見て、ギロッと睨んできた(ように感じた)のです。

「あれ? なんでこの人、僕のことを睨んでいるんだろう?」

そう思った次の瞬間、あ、しまった! と気がつきました。僕は、知らないうちに「上り」とかいてある側の階段を、降っていたのです。

そのおじさんは、階段を「逆走」している僕に、無言の抗議の視線を送っていた、というわけです。

仕方なく端に寄った僕を、その男性は、すれ違いざまに「フンッ」と大きく咳払いをして去って行きました。

大股に階段を上がっていく男性の背中を見ながら、僕が考えたこと。それは、「気づかないうちに、僕自身が、ちょっとモヤモヤとした気分に囚われていたのかもしれない」ということでした。

ちょっとしたケアレスミスが続いたり、いつもだったらやらないようなミスが出てしまう時は、自分の身体の状態をモニタリングしてみてください。

なんとなく「いつもどおりだ」「普通だ」と思っていても、丁寧に自分の身体を観察してみると、背中の筋肉がこわばっていたり、ふくらはぎに筋肉痛があったり、いつもよりも眠気が強かったり、いろんな不調のサインが見つかるはずです。

そうやって「今の自分は、異常な状態である」ということに気づき、そのことを受け入れる。それによって初めて、僕らは自己イメージを新鮮に保つことができるのです。

不安になるのは当然だけど

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生きている以上、不安を抱いてしまうことがあるのは、当然です。誰も、未来に何が起こるかということはわかりません。先行き不透明な時代であれば、なおさらです。

しかしながら、将来のことが不安で不安でしょうがなくて、他のことが全く考えられなくなる、というのは、生き物として「異常」です。

そして「異常である」ということに気づきさえすれば、「不安で不安でしょうがない」という状態からは、必ず抜け出すことができます。

つまり問題は、「アイデンティティをどこに置くか」ということにあるのです。

風邪をひいたり、体調を崩したりといった「異常」がたまに起きること自体は、大きな問題ではありません。

しかし、年がら年中、ずっと体調を崩していたら、それは問題です。

不安も同じです。たまに不安になる、というのは当然のことですが、「いつも不安で仕方がない」という人は、「異常な状態にある自分」を自分だと思い込んでいるのです。

異常な状態にある自分を「普通」だと思っている人の目を通すと、世界は現実以上に、過酷で、希望のない場所に映ります。

なぜなら、私たちの世界認識は、自己投影によって行われるからです。

不安で、暗い気分の時には、世界は不安で、暗い場所に見えます。

明るく、さわやかな気分の時には、世界は明るく、期待に満ちた場所に見える。

どんな自分を「普通の自分」だと捉えるかによって、世界はまったく違う場所に映るのです。

もちろん、どうにもならない状況の流れ、というものがあるのも事実です。どれほど努力しても、現状を変えられない時期があるのも確かです。

しかし、あなたの「体調」さえよければ、人生の中で出会う不安の大半は、十分に乗り越えることが可能であるということに、気がつけるはずなのです。

※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。