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2019年12月13日

特技・個性がなくてもいい。ハライチ岩井勇気に聞く、平凡(フツー)に楽しく生きるコツ

ハライチ 岩井勇気 僕の人生には事件が起きない タウンワークマガジン
お笑い芸人、ハライチの岩井勇気さんが書いたエッセイ『僕の人生には事件が起きない』。タイトル通り、何も起きない普通の出来事が綴られていますが、この本がかなり売れているのだそう! そこで、普通であることのメリットや個性がなくても楽しく生きられるコツを聞いてみました。

個性があるからいいとか、ないからダメというわけではない

――岩井さんは学生時代、どんなタイプだったんですか?

リア充でしたよ。高校生のときはサッカー部でしたし、ダンスサークルにも入っていたし、友達も多かったのでわりとリア充だったと思います。

――いきなり予想外の回答で驚いています。エッセイでは大きな事件が起きない日常を書いていたので勝手に地味なイメージを持っていました。

こんな雰囲気だから一見、陰キャラだと思われがちなんですが、リア充です(断言)。ただ、リア充だからといって事件は起きないですよ。みんなSNSの情報や友達と派手に遊んでいるだけで「あいつは華やかで人生楽しんでいる」と勝手に思いがちですけど、たくさんいるリア充の中のひとりであって、個性があるわけでもないです。そもそも個性があるからいいとか、個性がないからダメだとかというわけでもないですし。

――でも、一般的には個性があるほうが良しとする風潮はありませんか?

そもそも個性ってなんですかね? “人と違う”ってことでしょうか。

――わかりやすく例えるとSNSで変わった場所に旅行へ行っていたり、珍しい趣味を持っていたりすると個性があって楽しそうだなと思うかもしれません。

SNSでいいねをもらいたいとか、人がおもしろいと思うものをアップしたいとかって個性と真逆の考えじゃないですかね。僕が考える個性は自分がやりたいことを、他人の価値観に左右されずにやり続けることで、やりたいことはひとりでやっていても楽しいから他人と共有しなくていいと思うんですけれど。周りが「そんなことやっているの?」と否定的だとしても、自分が楽しいと思っているならそれでいいわけで。だから個性と承認欲求ってすごく乖離しているものだと思うんです。

SNSで旅行に行ったことをアップしても、旅行をしているときがピークじゃなくて、いいねをもらったときがピークになると旅行の目的が変わる。最近は後者がピークの人が増えてきているんですよ。僕はSNSいいね旅行よりも熱海旅行に行きたい。どんなに地味だろうが映えなかろうが温泉に入って気持ち良ければそれでいいです。

自分の設定を受け入れればラクで俄然、楽しい

ハライチ 岩井勇気 僕の人生には事件が起きない タウンワークマガジン
――岩井さんは日常で特に何も起こらないことが一番いいと。

日常でいろいろな事件が起こったら大変ですし、日々何もなく暮らせるのが一番いいじゃないですか。何か起こったほうが楽しそうだし、華やかそうでいいと思うのは人に見せたいから。共感を求めるから事件が起きたほうがよくて、主観で生きれば事件はいらないんです。普通であることがつまらないとか、イケてないみたいなことを言う人がいますけど、それ、相当自信過剰ですよ。自分の設定が受け入れられていない。

――自分の設定とは?

例えば、金持ちの人はもともと家庭が裕福だったり、身長が低い人は高くはなれないし、イケメンは昔からイケメンだし。その設定に嘆いても仕方ないから受け入れることが大切なんですよ。そもそも、人生で自分とまったく同じ設定の人はいないんだから、他の人と比べてもしょうがないですし。僕は僕の設定の中ではMAX値を叩き出していると思っています。もしも、イケメンの設定の人が僕の設定に入れ替わったら、僕以上の結果は出せないと思っていますけどね(笑)。

――結果を出すために頑張っていることはあるんですか?

僕、頑張るとか苦手なんですよ。設定上、頑張ってこうなったわけではないので。たまにインタビューで「なんでそういう性格になったんですか?」と聞かれることがあるんですけど、「もともとこういう人なんで」と言うしかない。頑張るとか努力をするとか考えたことがなくて、ただ、できなかったとしても好きだったらできるまでやり続けるという感覚。自分が好きなことであれば、どれだけやっていても努力だと感じないじゃないですか。

――好きなことなら自然とやり続けてしまうし、自分の設定は自分だけしかいないから受け入れるしかないと。

そうそう。そこを受け入れないでひがんでいたり、うらやましがっていたりする人を見ると、自信家だなぁと。自分を高く見積もりすぎている。「俺なんてこんなもんだ」と受け入れて、今の設定を楽しんでいるほうがラクですよ。

人生の主人公は自分。ただ、主人公は勇者だとは限らない

ハライチ 岩井勇気 僕の人生には事件が起きない タウンワークマガジン
――岩井さんの著書を読んで、何も起きない普通の日常でもこんなに楽しくなるんだなと思いました。日常を楽しくするコツがあれば教えてください。

自分を客観視することですかね。芸人って基本的にいじられる存在ですけど、本当はいじられるのって嫌じゃないですか。でも、いじられている人を見ているのは楽しい。だから、自分がいじられているときは、それを客観的に見て楽しむんです。芸人はそれを必然的にしないといけないので、慣れているのはあるかもしれませんが。何も起こらない日でも、ツライことがあっても自分と切り離して客観的に見るとおもしろいことが見つかったり、ツラさが半減したりすると思います。もし、普通がつまらないとかツラいとか思っているなら、それは客観的に見られていなくて自分を高く見積りすぎかなと。

SNSで他人の状況が気になったとしても自分の人生の主人公は自分しかいないから、周りと比べてもしょうがない。ただ、勘違いしちゃいけないのは、あなたは主人公ではありますが勇者ではないかもしれない。みんな、勇者が主人公だと思い込んでいるから、勇者になれなくて傷ついたり、うらやんだりしてしまう。

賢者とか魔法使いとか村人とかモンスターとかいろいろいるから物語が成り立つし、盛り上がる。自分の設定を客観的に見て受け入れることです。

――誰もが勇者になりたいと一度は思いますからね。やはり、普通が一番ですね。

僕、一応、芸能人というカテゴリーに入っていると思うんですけど、芸能人の僕の日常が何も起きずに普通なんですから、みんな大体、普通ですよ。

ハライチ 岩井勇気 僕の人生には事件が起きない タウンワークマガジン

■Profile

岩井勇気(いわいゆうき) @iwaiyu_ki

1986年埼玉県出身。2005年、澤部佑とお笑いコンビ「ハライチ」を結成。ノリボケ漫才が注目され2009年にはM-1グランプリで決勝進出し話題に。アニメ好きが高じてTBSラジオ『岩井勇気のアニニャン!』のパーソナリティーを務める。初の著書『僕の人生には事件が起きない』が発売中。

取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造

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