静電気が起こりやすい人がやっている対策方法は本当に効果がある?! 静電気の専門家にガチ質問してみた

こんにちは。ライターのたかやです。

 

この季節、困るものといえば…

あ゛スッ…！

静電気です。

 

日常生活やバイト中などあらゆる場面で発生する静電気。なにか良い対策はないものか…。
この記事を読んでいる皆さんは、日ごろ実践している静電気対策はありますか？

気になったので、自分と同じのような静電気に困っている知人・友人に質問してみました。

 

集まりました。

一番多かったのは定番の「ドアノブを掴む前に、壁や地面を触る」。中には「水をたくさん飲む」「柔軟剤を混ぜた水を衣服にスプレーする」など独特な方法も。みんな色んな対策をしている様です。

…しかし、それと同時にこんな疑問も浮かびます。これらの静電気対策は本当に効果があるの？

 

「静電気」というサイエンスの世界。自分のような一般人があーだこーだ考えても正解は見えません。そこで今回は、我々が日頃試している静電気対策は本当に効果があるのか、専門家に聞いてみました！

 

静電気に詳しい人をお呼びしました

静電気に詳しいチャーリー西村さんです。カラフルなシャツですね。縁起が良さそう。

「でんじろう先生の一番弟子」という肩書や、人気番組への出演歴があるなどめちゃくちゃ凄い人が来てくれました。さっそく静電気にまつわるアレコレを聞いてみましょう！

 

そもそも静電気ってなに？

たかや：静電気ってなんなんですか？ 僕のような一般人からすれば「突然発生する怪奇現象」ぐらいの認識です。

西村さん：実はですね、静電気の正体は完全に解明されてないんですよ。

たかや：え？！ こんな身近な現象なのに？

西村さん：もちろん静電気が発生するメカニズムはわかっています。ですが「静電気の正体がなんなのか」と問われると、素粒子レベルの話にまでいくので研究者の間でも答えが違うほどなんですよ。

たかや：生活上で当たり前にある静電気が、そんなにロマンあふれるものだったとは…。

西村さん：ただ、静電気をわかりやすく一言で表すなら「摩擦電気」です。物が擦れ合わさった際に発生する電気ですね。
例えば、風船をマフラーで何回か擦ると静電気を帯びます。これをたかやさんの髪の毛に当てると…

たかや：懐かしい感覚！

西村さん：物同士が擦れ合わさった際に生じる電気、これが「摩擦電気」です。

たかや：マフラーで風船を擦ったり、下敷きで髪を擦ると静電気が溜まるのはわかります。でも、僕たちはドアノブや金属に触れただけで「バヂッ」となるじゃないですか。どこにも“擦る動作”がないんじゃ？

西村さん：我々が外を歩くと、服と服…身体と服…いろんなところが“擦れ”ますよね。その動作によって、身体は静電気を帯びていくんです。

たかや：文字通り「自家発電」してるってことか…。

西村さん：静電気を帯びた状態で金属に触れると電気が一気に逃げていきます。金属は電気を通しやすいので、その勢いによって痛みが生まれるんですよ。

たかや：…あ、服と服が擦れるから静電気が生まれるんですよね？ じゃあ、全裸なら静電気も発生しないってこと？

西村さん：たかやさん…

西村さん：全裸なら発生しません。

たかや：しないんだ。

たかや：まだ記事の序盤ですが、最強の対策が判明しました。

西村さん：だからって街を全裸で歩いちゃダメです。別の事案が発生するから。

 

静電気対策は本当に効果があるの？

静電気の基本がわかりました。ここからは本題の「静電気対策は本当に効果があるのか」を聞いてみます！

たかや：まずは「金属に触れる前に、壁や地面を触る」です。よくある方法なので僕もなんとなく実践してますが、専門家から見てこの対策はどうですか？

西村さん：「効果アリ」ですね。はっきり言って、その方法が一番です。

たかや：おお！そうなんですね！

西村さん：コンクリートやアスファルトは静電気を“ゆっくり”逃がす性質があるんです。金属のように一気に電気を通さないので、痛みも発生しないんですよ。ほかにも、木の壁やクロス紙に触るのもOKです。

※ガラスやゴムは静電気を通さないので効果はないそうです。

たかや：わかりやすく言うなら「じめん」は「でんき」に強いってことですね。ポケモン世代だからよく分かります。

西村さん：その説明は逆にわかりづらくないですか？

西村さん：最近は見かけなくなりましたが、昔はタンクローリーの後ろに鎖がぶら下がっているのを見たことありませんか？

たかや：あ～、なんかあった気がします。「なんで車の後ろに鎖が…？」と思いました。

西村さん：あの鎖も静電気を逃がす役目があるんですよ。タイヤはゴム製なので、静電気が地面に逃げずどんどん車体に溜まっていきます。車に静電気が溜まると車両火災につながる可能性もある。だから鎖を地面に接触させて電気を逃がしているんです。

たかや：アースの役割を成していたんだ。

西村さん：近年はタイヤそのものが改良されて、ゴム製でも静電気を逃がすのでチェーンも必要なくなってきましたけどね。

たかや：「静電気を逃がす」という話が出たので、次はこの対策をどうでしょうか？

 
たかや：ここまでの話を踏まえると、足下がゴム（絶縁体）だから静電気が地面に逃げていかないってこと？

西村さん：仰る通りです。では、更にわかりやすい実験をしましょう。

西村さん：たかやさん、これを被ってください。

たかや：クリスマス誰にも誘われなかった男の一人パーティー？

西村さん：違います。では、次にこの台の上に立ってください。

たかや：クリスマス誰にも誘われなかった男のボトルキャップ？

西村さん：そんな哀しいおまけは欲しくない。

西村さん：この実験では、たかやさんの身体に静電気を延々と溜めることができます。

たかや：ああっ、なるほど！ 絶縁体の台に乗っているから、地面に静電気が逃げていかないんですね。

西村さん：帽子についてるビニール紐が逆立ってることからも、いまたかやさんが静電気を帯びているのがわかります。

たかや：「ぶわ」ってなってる！ かがくのちからってすげー！

西村さん：ゴム製のスニーカーも同じことです。足下が絶縁してるから静電気が逃げません。つまり、ゴム製のスニーカーよりは、革製や天然素材の靴の方が静電気を逃がしやすいと言えますね。

たかや：わかりやす～。

西村さん：まぁ先ほどのタンクローリーの話と同じで、全てのゴム底スニーカーが静電気を通しにくいとは一概に言えませんけども。
あと、新品のスニーカーほど静電気を貯める…というのもあります。汚れは静電気を通すので。

たかや：静電気…面白い……！

たかや：っていうか、いまの僕は静電気を帯びまくった人間…つまり「スーパーサンダー人間」ということですよね。

西村さん：…まぁ、そうですね。めちゃくちゃ帯びてます。

たかや：いいことを思いつきました。

たかや：大の静電気体質である、僕の担当編集に触れてみましょう。

西村さん：鬼畜！

たかや：あはははは！俺も痛てぇ～～～！

西村さん：なんだこれ。

 

まだまだ聞いていきます

たかや：では続いて「保湿する＆水を飲む」です。

西村さん：これも効果アリですね。ハンドクリームを塗ったり、加湿器を炊くのも静電気対策として有効です。
そもそも、静電気はなぜ冬場に多く発生するかわかりますか？

たかや：………乾燥してるから？

西村さん：その通りです。正解なので静電気をプレゼントです。

たかや：教育番組みたいになってきた。さっきから静電気しか貰ってないし。

西村さん：湿度の高い夏場は、空気中の水分を通して静電気が徐々に逃げていきます。だから夏にドアノブを触っても静電気を感じにくいんです。

たかや：「水を飲む」も効果があるのは何故ですか？

西村さん：水をたくさん飲むと、不感蒸泄という目に見えない汗が常に出ます。代謝を活発にさせ、身体に湿度を保てるから効果アリです。
…まぁ、あくまで原理的に静電気が溜まりにくいというレベルですけどね。

 
たかや：体内関連だと「ジャンクフードを食べると静電気が発生するから、野菜中心の生活を送る」という対策もあるんですが

西村さん：う～ん…。どちらとも言えません。たしかに不摂生な食事は体内のバランスを崩します。バランスが乱れると新陳代謝に異常をきたし不感蒸泄が弱くなることも考えられますが…。効果の大きさだけで考えると、そこまで重要ではないかな…。

たかや：静電気対策として考えるならあまり効果は望めないんですね。まぁ、僕も毎日「ハンバーガー」「カップ焼きそば」「油そば」のローテなので気を付けます。

西村さん：それは静電気関係なく改善してください。

 

西村さん：指先やグーで金属を触ると、電気が一か所から逃げていきます。一点に電気が集中するから痛みも増します。なので、パーで触ると効果がありますね。

たかや：「点」の痛みより「面」の痛みの方がマシってことですね。

静電気を貯めた状態かつ「パー」の状態で触ってみます。たしかに…そこまで静電気を感じないかも？ 痛いのには変わんないけど。

 
たかや：衣類に関する対策はどうでしょう？

西村さん：効果アリですね。先ほどの湿度の話と一緒で、衣類にも潤いがあると静電気は溜まった傍から逃げていきます。あと、完全に乾燥してなければ服の裾で金属に触れるのも有効です。

たかや：次からニットやカーディガンを洗濯するときは柔軟剤使おっ！

 
たかや：僕の友人が試している方法ですがどうでしょうか。素人の僕から見ても、この方法は違う気がするんですが…。

西村さん：アハハハ。その友人さんは誤解されていますね。静電気が起きている箇所にアルミホイルでサッと触れるなら除去効果はあります。ですが、ポケットに入れているだけでは静電気はどこにも逃げていきませんから。

たかや：ですよね。アハハハ。ちなみにこの方法を考えたのは僕です。

西村さん：なんで一回嘘つくんですか。

 
たかや：最後はこれです！ 専門家の見解は如何に？！

西村さん：これはねぇ、千差万別なんですよ。例えば「所有するだけで静電気が起きないグッズ」とかもあるじゃないですか。

たかや：静電気防止ブレスレットとかありますね。

西村さん：ブレスレットのような身に着けるだけのグッズは正直、効果は薄いです。先ほどのアルミホイル同様、身に着けるだけでは自然放電に任すぐらい…なので。

たかや：おお。そうなんですね。

西村さん：個人的には、静電気防止スプレーはオススメです。静電気防止スプレーを靴に吹きかけるんです。これなら、ゴム底のスニーカーを履いていても、地面に静電気を逃がすことができます。

西村さん：たかやさんのスニーカーで試してみましょう。

西村さん：静電気をマックスまで貯めた上で、靴にスプレーを吹きかけました。この状態でドアノブ（金属）に触れてください。

たかや：マックスまで貯めるな！ …うぅ、怖いけどこれも実験のため…。

たかや：あれ…？ 「バヂッ」とこない！？ 凄い！

西村さん：そうでしょう。静電気防止スプレーは値段もそこまで高くないし、外出前に靴に噴射するだけでいいので簡単な方法なんですよ！ 静電気に困ってる人は試してほしいですね。

たかや：なるほど！ とても良い情報をゲット出来ました！ …かがくのちからってすげー！

 

というわけで、今回お話を聞いた中で最も効果的な対策は「静電気防止スプレーを靴にかける」という方法。
完全に静電気を除去できるわけではありませんが、帯電体質の人は実践してみてはいかがでしょうか。

 
僕は早速、東急ハンズでスプレーを買ってきます。あと部屋の中では全裸で生活します。

 

＜おわり＞

 

※この記事で紹介された対策はあくまで個人の見解です。効果には個人差があります。

取材・文：たかや（@tky888tky）　取材協力：チャーリー西村さん（@charlie0401）