コミュ力養成講座 第13回「細かすぎる先輩」（企画：トキオ・ナレッジ　漫画：カマタミワ）

第13回：細かすぎる先輩

 

①些細なこだわりが強すぎる

②話がぜんぜん先に進まない

③細かいところを見過ぎて大きなミスをしがち

④マイルールが細かすぎる

 

マイルールから1ミリでもズレていることが許せない完璧主義者

何事にもきっちりしているのは、決して悪いことではありません。が、個人的な細かいこだわりを押しつけられるのは面倒なものです。
ハンコを押す位置から始まって、会議で資料を配る順番、ファイルの並び、部下のデスクの整理整頓etc.――彼らのマイルールを挙げるとキリがありません。「細かすぎる上司・先輩」の頭の中だけにある正解を探ることが、仕事の大部分を占めている人もいることでしょう。
とはいえ、そんな仕事を続けているとストレスで精神的にやられてしまう可能性大です。そんな事態を避けるためにも、まずは「細かすぎる人」とは、どんな人なのか？ その特徴を探っていきましょう。

まず挙げられるのは、「細かすぎる上司・先輩」はとにもかくにも完璧主義だということ。
自分の中で完璧な正解があるので、それと1ミリでも違えば、間違い認定されてしまいます。彼ら彼女たちと一緒に仕事をすると、「だったら全部自分でやれば⁉」とブチギレたくなることも少なくないでしょう。

次に挙げられるのが、ちょっとでも気になったことは「今すぐ聞かずにはいられない」という点です。
ビジネスパーソンたるもの、とりあえず話を全部聞いてから気になる点を質問するものですが、彼ら彼女たちは今すぐに答えを求めてしまいます。細かいツッコミを入れまくるため、もちろん話はまったく先に進みません。よほど暇、あるいは少人数の会社ならいざ知らず、会議室をずっと独占するわけにもいきませんから、彼ら彼女たちが参加している時点で、議題の次回への持ち越しは、半ば決定事項になってしまうのです。

とまあ、ここまでは「真面目だな…」とか「不器用なんだから…」と流してあげることもできますが、仕事を一緒にするうえで注意したいのは、先輩や上司なら当然知っているはずのことを見落とす、というありえないポカをやらかしがち、だということ。
細かすぎる人たちは、誰も気にしないような細かいミスを見つけることには長けている反面、固定観念が強すぎるためか「ありえない間違い」を見逃してしまうという欠点があります。木を見て森を見ず、の典型だと言えるでしょう。

彼ら彼女たちが細かすぎるのは、仕事だけではありません。性格なので、職場から出ても面倒です。「おはよう」から「おやすみ」まで面倒なのです。
細かすぎる人たちの“マイルール”は、プライベートも含めて好きに書かせたら広辞苑より分厚い本ができるほどでしょう。これが明文化されていないのですから、彼ら彼女たちにとっての「ルール違反」を回避するのは至難の業だと言えます。

 

 

1歩目：些細なこだわりには優先順位を決めてもらう

2歩目：細かい指摘は一旦、スルーする

3歩目：資料は完成前から小マメに見てもらう

4歩目：先に細かすぎるマイルールをアピール

 

【解説】

優先順位を決めてもらったり、事前に伝えておくことで面倒臭さはかなり回避可能

 
資料に細かすぎる修正を要求してくる彼ら彼女たちの言う通りにしていると、時間がいくらあっても足りません。たとえ時間があったとしても、非生産的です。
だったら、こだわりの優先順位を決めてもらいましょう。上から２～３個だけ修正し、あとは時間の都合を言い訳にスルーしてしまうのです。「時間のない中でも、最低限はきっちりやった」と言い張るための免罪符をもらっておくとよいでしょう。

「細かいツッコミで話がぜんぜん先に進まない」の対処法は２つあります。
１つは「できるだけスルーして、伝えたいことを一旦、すべて話す」作戦です。話が終わる頃には、最初の方に気になったことを忘れている可能性大、というのがポイント。忘れていなかったとしても、話を進めることで自然と自分の中で解決されている項目も多いはず。会議の時間をグッと短縮できるはずです。
もう１つは、「会議の前に話すことや、資料を彼らに教えておく」というもの。いわゆる根回しです。会議前に気になることを解消させておけば、スムーズに進めることができるでしょう。

先にも述べたように、彼ら彼女たちは木を見て森を見ずな人たちです。大きいチェックはあまり得意ではありません。
だったら出来上がったものを最終チェックしてもらうのではなく、大枠の状態から小まめにチェックしてもらいましょう。枝葉のない状態から見てもらうことで、ありえないポカをきっちり未然に防いでくれます。
この作戦は、彼ら彼女たちのこだわりを初期から入れ込むことを意味するので、多少の手間と時間は余計にかかります。それでもチームとして大ポカを防ぐだけでなく、最終修正を限りなく減らすことができるので、取り入れて損はないでしょう。

最後の「先にマイルールをアピールする」は、彼ら彼女たちへの最大の攻撃であり防御です。
重要なのは、細かすぎる当人から「細かすぎるよ！」とツッコませること。周りにはあらかじめ、細かい注意をすることを伝えておきましょう。なんだったら、「注意されたら不貞腐れて空気を悪くする」くらい仕込んでもいいでしょう。「細かいことを押し付けてごめん。めんどくさいよね」と謝るまでが１セットです。
細かすぎる人たちは「細かすぎるよ！」とツッコんだ以上、自分も細かすぎる注意はできなくなるでしょう。

何かと細かすぎる人は確かにめんどくさいですが、あながち間違っていることを言っているわけではありません。言い方やタイミングに問題があるだけで、彼らなりの正義がそうさせているのです。
きっちりしすぎるのは確かに窮屈ですが、社内にそういう人が1人くらいいたほうが引き締まる場合もあります。半分聞いて、半分スルー、それが彼らとのベストなコミュニケーションだと言えるでしょう。