コミュ力養成講座 第21回「せっかちな人（上司）」（企画：トキオ・ナレッジ　漫画：カマタミワ）

第21回：せっかちな人（上司）

 

①時間に厳しすぎる

②気づいたらいない

③人の話を最後まで聞かない

④イライラが露骨すぎる

 

待たされるのが許せない、待つのが苦手、待てない。ペースを乱されるのがとにかく嫌なタイプ

いつも何かに追い詰められたようにせかせかしている人たち――それが、今回のターゲット「せっかち上司」です。
エレベーターのボタンを連打したり、カップラーメンをお湯を注いで２分で開けたり、レジに２～３人並んでいるだけでイライラしたり……。彼ら彼女たちだけなら、いくらでも好きなペースで行動してもらってよいのですが、同行者がいても遠慮はありません。1人でギュンギュン先へ行ってしまいますし、買い物のペースも一般の我々には早すぎてついていけません。

そんな人が職場の上司だった場合、部下はそのペースに付き合わざるをえません。が、付き合いきれないというのが正直なところでしょう。その特徴を具体的に見ていきましょう。
まず、関わった誰もが口をそろえるのが「時間に厳しすぎる」という点です。
基本的に絶対待ちたくないマンなので、せっかち上司は遅刻を絶対に許しません。ここで覚えておきたいのは、そのあとの予定を変更したり、さらに誰かを待たせてしまうことに対して怒るのではなく、彼ら彼女たちが許せないのは「自分が待たされること」だということ。そのあとの予定などお構いなく、５分遅刻した相手への説教に30分以上費やしてしまうのは、そのためです。
彼ら彼女との待ち合わせに遅刻は絶対NG――肝に銘じておきましょう。

「気づいたらいない」というのも、あるあるです。
目的が終わったらすぐに帰ってしまう彼ら彼女たちの辞書に、「余韻を楽しむ」という言葉は存在しません。だいたいの人は「そろそろ行こうかなー」から、なんだかんだで5分10分経ってしまうものですが、せっかち上司にとっては「そろそろ帰る＝帰る」です。しかも信じられないくらいあっさり帰るので、気づいたらその姿はすでにありません。「帰りに伝えればいいか」とか「帰りに渡そう」といった甘い考えは極力避けるべきでしょう。

「人の話を最後まで聞かない」という特徴も、しばしばトラブルの原因になります。
まだ人が話している途中でも、自分の中で納得・理解できたと思ったら、もう最後まで聞くことはできません。そういう意味では、思い込みが強いタイプとも言えるでしょう。勘違いや聞き逃しも多いため、本人のためにも改善していきたいところです。

そして、もっとも彼らが嫌われる行動No.１が「イライラを露骨に出す」です。
作業しているすぐそばで、ため息＆舌打ちを連発したり、ペンをカチカチしながらの止まらない貧乏ゆすりを繰り出したりと、音を使ってプレッシャーをかけてきます。
そんな中で行う作業は、早くなるどころか集中力を削がれてミス必至。かえって作業効率が悪くなっていることに、本人たちは気づいていません。

以上を踏まえたうえで、対処法を見ていきましょう。

 

 

1歩目：待ち合わせは15分前行動

2歩目：伝言・報告・品物の受け渡しは最初に

3歩目：オチを最初に話す

4歩目：終わる時間を伝える

 

【解説】

オチ・結論をまず最初に。相手のペースに巻き込まれないための先回りを意識すること

 
まず心構えとして、せっかちな人と一緒に行動するときは相手のペースに巻き込まれない、急かされても合わせないようにしましょう。いつもと違うペースはミスの元になりますし、急かされて起きたミスだとしても自分のミスであることに変わりはありません。不本意なミスが起きる可能性は極力避けるべきです。
そのうえで、「時間に厳しすぎる」を封印するのは簡単。約束の時刻よりも、少し早く待ち合わせ場所に到着しておけばよいのです。念のために注意喚起しておきますが、社会人として5分前行動は当たり前のこと。つまり、せっかち上司は少なくとも5分前には待ち合わせ場所に到着しており、オンタイムまで1人でイライラを募らせているのです。
ここで述べている「少し早く」は、「15分前」くらいを意味しています。せっかち上司との待ち合わせ時刻が15時だとしたら、14時45分着。スマホ片手に「相手は10分遅れてくる」という前提で待つことで、精神的余裕を保ちましょう。

「気づいたらいない」せっかち上司は、基本的に放っておくことを推奨しますが、「伝言・報告・品物の受け渡しは後回しにしない」ことだけは徹底しましょう。手土産は帰り際でなく、会ってすぐ渡す、の法則です。
もし「あとでいいよ」と言われても、「忘れっぽいんで覚えているうちにお願いします」など、理由をこじつけてでも先に伝える（渡す）こと。せっかちな上司にかかわらず、「あとにして」と言った人が、あとになって「それで、さっきの話って何？」と自分から聞いてくることは皆無だと心得ましょう。

「人の話を最後まで聞かない」の封印術もシンプルです。
話がうまい人ほど一番興味を引くポイントを前に持ってきてしまいますが、最後までしっかり話を聞かない彼らにその構成はNG。オチがある話は最初にオチをしっかり伝えるか、「ちゃんと最後まで聞いてくださいね」と念押ししてから話しましょう。
最初にオチを言ってしまうと、「先にオチを言っちゃうの!?」なんてツッコミを食らうかも…という心配は無用です。せっかち上司は一刻も早くオチを欲しがるので、むしろ最初に言ってしまうほうが彼ら彼女たち好みだと言えるでしょう。

露骨すぎるイライラに対しては、そもそもせっかち上司をイラつかせないようにするのが大切です。
待ち合わせでもそうでしたが、彼ら彼女たちがもっともイライラするポイントは時間です。「もうすぐ」「あと少し」からの待ち時間が一番の苦痛なのです。
そんなシチュエーションにならないためにも、終了予定時刻を先にはっきりと伝えるのが上策。もしも終了予定時刻がせっかち上司の想定より遅くても構いません。余裕をもった時間を伝えましょう。「聞いてたよりも早い！」は彼ら彼女たちにとって最高のご褒美なのですから。